6月のトレンドワード
職域接種
職域接種とは、ワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため、企業や大学等において、職域(学校等を含む)単位でワクチンの接種を行うものです。
新型コロナウィルス感染の急拡大から約1年半を経て、日本でもワクチン接種が本格化しています。当初はワクチン供給量に限りがあったため、医療従事者・高齢者・基礎疾患を有する方など、接種優先順位を定めたうえでのスタートでした。
現在はワクチン供給の目処が立ったため、政府は可能な限り広範な接種機会の利用を推進しています。そこで、6月21日からの職域接種開始に向け、政府では6月8日から企業等からの申請受付を始めています。
主に1,000人以上の大企業からの申請が見込まれていますが、中小企業が商工会議所等を通じて共同で実施すること、企業が下請け企業など取引先も対象に含めて実施すること、大学等が学生も対象に含めて実施することも可能とされています。また職域接種でも、接種の優先順位を踏まえて高齢者や基礎疾患を有する者が優先的に接種できるよう求められています。
ただし、国や自治体による高齢者等への接種に影響を与えないよう、接種に必要な医療従事者や会場等は自ら確保しなくてはなりません。また、ワクチン保管用の冷凍庫、ワクチン、接種用の針とシリンジ、マスク・手袋等の個人防護具は国から提供されますが、それ以外の必要物品の確保・保管は企業等が自ら行う必要があります。
■企業等に求められる実施要件
① 医師・看護師などの医療職の他、会場運営にかかわる必要人員を企業等が自ら確保すること。また、副反応報告などに対応できること。
【必要人数の例】
・接種人数 400人/日
・接種時間 8時間(9:00~18:00 ※1時間休憩)
・レーン 3レーン設置 15人接種 (1レーン1時間に付)
・医師2名(問診)、看護師6名(接種に3名・予診票に2名・接種補助に1名)
・事務職6名(受付に2名・誘導に2名・消毒の対応に2名)
・会場責任者1名
② 接種場所・動線等の確保についても企業等が自ら確保すること。
③ 社内連絡体制・対外調整役を確保すること(事務局の設置)。
④ 同一の接種会場で2回接種を完了すること、最低2000回(1000人×2回接種)程度の接種を行うこと。
⑤ ワクチンの納品先の事業所でワクチンを保管の上、接種すること。
■職域接種を実施する方式
① 企業内の既存の診療所にて、産業医等が実施
② 外部の医療機関が、企業の会議室などに出張して実施
③ 職員が委託先の外部医療機関に出向いて実施
■準備するもの(例)
・医療法上の開設届け、巡回診療または新規開設の届出
(医療機関でない場所で接種を実施する場合)
・会場レイアウトの作成、導線確認
・卸売販売業者立ち会いのもと、ワクチンの配送リハーサルの実施
・冷蔵庫(2℃~8℃)、消毒用アルコール綿、体温計、救急用品、針捨て容器 など
■事務局で実施すること(例)
・従業員等のうち、接種を希望する者の把握、必要なワクチン量の算定
・スケジュール設定(接種計画の作成)
・会場運営にかかる企画・全体調整
(医療機関、都道府県、ワクチンを配送する卸売販売業者等との連絡調整などを含む)
・集合契約への加入等の行政手続き
・医療機関と連携しつつ、予防接種に係る費用の請求
以上が職域接種の概要となります。大まかに見ても準備から報告完了まで、担当部署はかなりの準備と労力、責任を伴います。接種案内や問診票の配布・回収、出欠・キャンセル・接種完了管理といった煩雑な事務作業については、システムを利用して簡便化して行うことも一案です。
関係者の健康のため、また企業活動の健全な再開のためにも、職域接種で従業員へのワクチン接種を加速化させたいと考える企業は多いと見込まれます。ただし、ワクチン接種は義務ではないため、接種を望まない従業員への配慮も忘れてはなりません。接種の有無で差別やハラスメントが起きないよう、いま一度社内のハラスメントへの対応フローを見直しておくとよいでしょう。
参考:
・厚生労働省「職域接種に関するお知らせ」
・首相官邸「新型コロナワクチンの職域接種の総合窓口」
(最終アクセス 2021/06/09)
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