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イマドキの管理職に求められる部下コミュニケーションとは?
変わりつつある上司と部下のコミュニケーションのかたち
1990年代くらいまでの我が国では、上司と部下のコミュニケーションと言えば、指示命令を基本とするコミュニケーションスタイルが基本でした。年功序列の組織風土がまだ色濃く残る時代であり、今と違って情報検索の手段も限られていたため、年長者の知識と経験は大変重要な存在でした。
こうした環境下においては、上司は常に"正解を知っている人" であり得ました。そうした状況では、自ずと上司は「必要なら部下の方からコミュニケーションを取ってくるはず」と考えるものです。そのため、わざわざ部下とのコミュニケーションのためにスキルアップを図るなどという発想は、思いもよらなかったのではないでしょうか。
主流は部下の能力を引き出すコミュニケーションに
その後、バブルの崩壊を経て、グローバル化の進展や、高度情報化社会の到来といった、変化の時代を迎えることになります。こうした激しい変化の時代においては、過去に身に付けた知識や経験は以前ほど意味を持たなくなります。
上司も部下も正解が見えない中でいかにして成果を出すか。そこでは、部下の能力を最大限に引き出し、成長を促すためのコミュニケーションが求められます。コーチング型の部下育成、サーバント型のリーダーシップといったものが、身に付けるべきコミュニケーションスキルの主流となってきたのです。
良質なマイクロマネジメントを通じて部下に早く成果を出させる
ただし、これらのコミュニケーションスタイルは、部下が潜在的に高い能力を持っていることを前提としています。もちろん、そう信じて接していくことは大事ですが、一方で上司には早く成果を出すことも求められます。コーチング型のコミュニケーションですぐに成果が出ない部下には、具体的な指示出しをして動かすことがやはり必要です。過度に部下に干渉し、部下のモチベーションを下げることのないよう留意しつつ、「良質なマイクロマネジメント」を通じて、部下に早く成果を出させるコミュニケーションが、今、あらためて注目され始めています。
部下のタイプを踏まえながら、その部下にあったアプローチで早めに成功体験を積ませ、独り立ちさせていくことが、イマドキの管理職に求められるコミュニケーションスキルといえるのではないでしょうか。
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