近年、「不測の事態に備える」「働き方を見直す」などの目的で、テレワーク導入を検討する企業が増えています。また、厚生労働省や東京都がテレワーク導入の経費を助成する取り組みを始めるなど、支援の動きも広まってきています。
参考:厚生労働省 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)(最終アクセス2020年03月9日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html
参考:公益財団法人 東京しごと財団 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金(最終アクセス2020年03月9日)
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html
かく言う私もワーキングマザーとして長らくオフィスで仕事をしておりましたが、最近、業務状況や家庭の事情もあり、テレワークをはじめることになりました。
はじめての在宅勤務で悩むこともあれば、意外とスムーズに移行できたこともありました。
そこで今回は、実際に取り組んでみて私が感じたテレワークの「リアルな戸惑い」と「体験談」をお伝えいたします。皆さまのお役に立てれば幸いです!
そもそもテレワークとは
「様々な情報通信技術を活用した、勤務地や勤務時間帯に制約されない働き方」のことです。パソコンとインターネットさえあればどこでも働ける時代だからこそ、注目を浴びている新しい働き方の1つです。
私がテレワークに際して悩んだことは下記の3点です。
〔1〕上司・メンバーとのコミュニケーションに対する不安
〔2〕自身のモチベーションに対する不安
〔3〕情報セキュリティやシステムに対する不安
それでは、具体的にテレワークの際に感じた悩みや不安と、その解消のためにどんな対策を実践したかをご紹介いたします。
「上司へのホウレンソウは通常勤務時と同じようにできるのだろうか?」
オフィスでの勤務時はプロジェクトメンバーと随時進捗状況をすり合わせながら仕事をしていました。
社内にいれば、周囲の様子を見つつ、相談や報告のタイミングを計ることができましたが、テレワークではそうもいきません。忙しい上司やプロジェクトマネージャーに相談しにくくなるのでは?という不安がありました。
実践したこと
●始業時と終業時にビデオ通話で上司に連絡する
上司に今日の状況の確認と報告のため、決めた時間に連絡をいれました。
また、画面越しでのコミュニケーションになるため、対面以上にあいづちやアイコンタクトを増やすなど意思の疎通を図るよう気をつけています。
●意識して自己開示する
社内にいないということで、自分が元気かどうかを伝えるためにも、体調や心情について日報でこまめに記載するようにしました。
●緊急の用件以外はメールで連絡を取る
連絡手段として、相手の都合がいい時間に確認をしてもらえるメールを利用しました。
その際、長々とメールを書いて、読み手の時間を奪わないよう以下の点に気をつけています。
・報告を受ける人にとって、知りたいことがすぐにわかる簡潔な報告にする
・一行は50字程度におさめるようにする
・相手にどう対応してほしいかが伝わる一文を付け加える
例:「返信は〇〇日頃までにお願いします」や、「返信不要です」など
●報告する際のCCリストを作る
事前に指示系統や業務フローをはっきりさせて、どこまで報告するか上司に確認するようにしています。
「メンバーへのコミュニケーションはスムーズにいくだろうか?」
プロジェクトメンバーとの会話も、メンバーが在席か不在か、休暇ならいつまでか、など、誰が今何をしているのか在宅勤務だと分からないことが不安でした。
また、決定事項を展開する際のメールで「どのメンバーまで情報を共有するか」といった些末なことで迷うことがありました。
実践したこと
●メンバーの業務状況を把握する
スケジュールやタスクを共有するツールを使い、できる限りリアルタイムでメンバーの状況を把握するようにしました。
●コミュニケーションの頻度を増やす
間接的であっても、情報共有やメールでの進捗報告などの頻度を増やしました。
●プロジェクトごとのメールグループを作る
メールでの連絡・情報共有をやりやすくする仕組みを作りました。
やってみたら大丈夫だった!コミュニケーション
ビデオ通話は、顔を見て会話できて、安心につながりました。テレワーク前から風通しの良いコミュニケーションがあったことも良かったように思います。
こちらの様子が上司やメンバーにも伝わるように、連絡は簡潔に、しかし回数を増やすことを意識しました。「誰かが伝えてくれるだろう」と丸投げしたり、「同じことを違う人に繰り返し伝えているな」と悩むことが無いよう、チーム内でどのように情報を共有するか、ルール作りや業務フローの整備が不可欠だと感じました。
いつにもましてホウレンソウを心がけることにより、伝達ミスやモレがなくなり、チーム間での共有が定着したことが良かったです。
<今後の課題>
最初のころは、相手に遠慮しすぎてコミュニケーションが薄くなる時もありました。
「共通ルール」や「共有ツール」を使いこなして、こまめなコミュニケーション頻度を保っていきたいと思います。
「ONとOFFのメリハリがつけられるだろうか?」
テレワークが実際に自分に務まるか不安でした。
自宅にいるとメリハリがなくなるようで、家事と仕事をスパッと切り替えて仕事に集中できるか自信がありませんでした。
子どもがいることもあり、家族と過ごす時間との区切りがつけられるかも不安でした。
実践したこと
●タスク管理
その日の達成目標を定めて付箋に書き、目につくところに貼ってクリアすることにしました。また、上司にその日の朝に達成目標としてのタスクを報告して、夕方に実際の達成状況を報告するようにしています。
●身だしなみをととのえる
モードチェンジのため、部屋着のままではなく、気が引き締まる服を着るようにしています。
●メールやビデオ通話を使用する時間をスケジュールに組み込む
社内のメンバーの状況をふまえ、時間を区切り、定期タスクとして連絡するようにしています。
●始業時間までに家事を終わらせる
仕事と家事のメリハリをつけるようにしています。
仕事だけでなく家事も効率よく終わらせることができるようになりました。
●家族に理解を求める
自分の仕事について家族にきちんと説明することで、働き方に関して家族で会話をする機会が増えました。
やってみたら大丈夫だった!モチベーション
テレワークでは自分は集中できないと思っていましたが、意外と集中できるタイプでした。
他人の目がない場所だと自分がどんな風になってしまうのか......。
集中しすぎるタイプか、サボってしまうタイプか、やってみないとわからないものです。
大まかなタイムスケジュールを決めて勤務することは、タイムマネジメントの観点からも意識していましたが、テレワークをすることでよりいっそう意識するようになりました。
1人で仕事をしていると孤独感を感じることもあります。
頻度を決めて定期的に出社したり、ビデオ通話を使った会議に参加したりすることで、社内で働く人との温度差を作らないことを心がけています。
<今後の課題>
やってみてわかったことですが、途中で話しかけられたり、緊急の仕事に対応したりすることが減り、集中しすぎてしまうことがありました。
良いことではあるのですが、健康管理の面からドライアイや腰痛にならないよう、タイマーをかけて目を休めたり、ストレッチをしたりする時間の確保が課題だと思います。
管理する人がいない場所での勤務では、自身の健康管理も怠らないことが重要です。自立した仕事をするためにも、健康管理の知識が必要だと感じました。
「テレワーク中のPC管理など、自分にできるだろうか?」
テレワークが実際に自分に務まるか不安でした。
家にネット環境があるとはいえ、作業に問題のない速度か、社内と同じように作業できるかが懸念されるところでした。無線LANがつながらない場合や、PCが立ち上がらなかったらどうしようといった環境面でのトラブルが不安でした。
また、コンピューターウイルスに感染したらどうすべきか、感染しないようにするにはどうしたらよいかなど、会社外での作業に不安を感じることもありました。
実践したこと
●情報セキュリティとITリテラシーについて学ぶ
情報漏洩のリスクなどをテレワーク前に学んだことで、気を引き締めて実施できました。
●何かトラブルがあった時の連絡先の確認をする
オフィスから離れた場所での作業になりますが、事前にサポート体制を確認したことで安心して業務が進められました。
やってみたら大丈夫だった!情報セキュリティ・システム
テレワークを実施する前に、eラーニングで「コンピューターウイルスの脅威や感染を防ぐためにできること」「自宅でソーシャルメディアに投稿した情報から洩れる個人情報」などを学びました。
プライベートとビジネスの境界があいまいになりがちなテレワークに潜むリスクを効率的に学ぶことができました。家のネットがつながらなかったらカフェの無線LANを使えばいいや、などと安易に考えていたことを反省しました。
テレワークだからこその自己責任を痛感し、コンプライアンスなどの社内ルールを意識するようになったことも良かったと思います。
また、現在は用意されたノートPCで問題なく業務できていますが、トラブルがあった際にすぐに問い合わせることができる社内ヘルプデスクがあると聞き、心強く思っています。
<今後の課題>
社内のルールについて随時キャッチアップすることで、セキュリティ意識を高く持ちたいと感じています。
業務にあたって使用するデータファイルの取り扱いや、メールのやりとりなどに不備がおこらないよう、これからも気を引き締めて参ります。
テレワークを体験してみて、スムーズな移行には、以下のようなことがポイントだと感じています。
・風通しの良いコミュニケーション
・毎日の自立したタスク管理
・業務フローなど指示系統の整備
・チームの進捗状況の可視化
・セキュリティ教育
当たり前のことかもしれませんが、これらを整備して徹底することは、テレワークでなくとも生産性向上や組織の成長に大きく寄与します。
「地方の有能な人材の活用」「災害時での事業継続」「育児や介護との両立」「メンタル不調時の柔軟な勤務体制への対応」と、テレワークが示す可能性は無限大です。
時短勤務やフレックスなどと同じように、多様な働き方の一つとして、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。テレワークは、やってみて、PDCAを回しながら、改善を重ねつつ浸透させていくことがポイントです。
まずはできることからノウハウを積み重ね、はじめの一歩を踏み出しましょう!
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