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ジョブディスクリプション
ジョブディスクリプションとは、職務内容の詳細を記した雇用管理文書をいうビジネス用語です。日本語では「職務記述書」と呼ばれ、1970年頃アメリカから日本に伝わりました。
仕事に必要な人を割り当てる「ジョブ型雇用」が主流の海外と違い、人を採用してから仕事を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が多い日本では、ジョブディスクリプションはあまり浸透していませんでした。しかし近年は、企業活動のグローバル化や労働力不足を背景に外国人の雇用が増加し、ジョブディスクリプションが必要となるケースも増えています。
今日では、年功的な人事運用に対する強い危機感や、同一労働同一賃金の問題などでジョブ型雇用への関心が高まっています。ワークライフバランスを意識した柔軟な働き方を希望する人も増え、ジョブディスクリプションによって職務内容や勤務地を限定することで、優秀な人材の確保につなげるねらいもあります。
一般的にジョブディスクリプションには、以下の内容を記述します。
①企業が求める人材像
ポジション、肩書、経験やスキル、求められる資質について明記する
②具体的な業務内容
業務を細分化し、それぞれの比重や数値目標、責任の範囲などを明記する
③レポートライン(報告経路)
指示命令・情報共有の相手(上司あるいは部下)を明示する
④ 給与・待遇・福利厚生など
⑤ 評価の基準・タイミングなど
⑥ 勤務時間・勤務地
転勤や出向の可能性の有無、移動先での待遇についても明記する
職務内容を明確化することで、採用される側も自分の役割を把握しやすくなり、入社後のミスマッチが起こりにくくなります。
また、評価基準を定めることで、その後の人事評価を客観的かつ効率よく進められるのも、ジョブディスクリプションのメリットです。客観的な評価の結果、不足するスキルがあれば研修等で強化することで、効果的な人材育成につながります。
一方、明記されていない業務は拒否されるなど組織内のトラブルの原因になる、次世代の経営層など総合的な視野が必要なゼネラリストの育成には不向き、といったデメリットもあります。
ジョブディスクリプションは、一度作ればよいものではありません。組織を取り巻く環境や業務内容の変化、人事評価の改正などにも対応できるよう、人事担当者が経営層や現場と連携を図り、定期的に内容を見直すことが肝要です。