■要件定義のポイント
---市場で物流を半年ほどなさったあと、経理を2年、社内システムを2年半担当なさったとのことですが、その後はどのような進路を取られたのですか。
◆情報処理技術者の資格がとれたので、SEとしてシステムインテグレーター企業に移りました。家で例えると、SEは「設計士」、プログラマは「大工」さんです。
私はSEをしておりましたので、ひたすら仕様書を書き、仕様に矛盾が無いように考えるのが仕事でした。お客様相手の商売ですから、どのようにお客様のニーズを実現するかがポイントです。
---お客様からヒアリングするときに注意していたことなどありますか。
◆私が要件定義を行う際に注意している点は、「よく聞く」ということです。真のご要望を外してしまうと、後々、手戻りが発生して、大きな損害をこうむる恐れがあります。
要件定義には、相手を慮る力、イメージする力が非常に大切だと思いますが、頭で想像しているだけでは追いつかないと思います。手を動かしていろいろな図や表、文章に起こし、情報を自らアウトプットすることで気付くことも多いのです。わからないポイポイントをまとめ、質問を通して全体を明らかにしていくことが大切だと思います。
◆大型受注の際には、お客様も専門知識をお持ちの方が窓口になります。そのため、作業の基本的な段取りについては、思い違いや食い違いが少なく助かりましたが、その分、要望のレベルが高く、精度を求められますので苦労しました。
逆に、こちらはまったくの新参者(未熟)である場合もあります。ところがお客様は、こちらに同じ知識とノウハウがある前提でご要望をお出しになります。基本的に「できません」とは言えませんから、後付けで勉強する必要がある場合もありました。
---具体的には、どのような苦労がありましたか。
◆現場にはさまざまな環境、言語、ツールがあり、それらを習得し、場面によっては習熟する必要があります。例えばロータスノーツを操作するのが初めての場合でも、マクロ程度はすぐ作れないと、業務に支障が生じるわけです。
---自分が詳しくない分野の受注でも、短期間で仕上げなければならない状況があったと思います。その場合はどうされるのですか。
◆結局のところ、ノウハウのショートカットはありません。時間を掛けて勉強すれば、かけた分だけ身につくわけです。業務時間内に時間が作れない場合は、個人的に勉強していました。時間は無いように思えますが、作ろうとすれば何とか作れるものです。普段から本を良く読み、実際にそれを実行してみるということを心掛けていれば、どんな人でも「ひとかど」の人になれると思います。
■変化なくして成長なし
◆「分からないことがあっても、すぐには諦めずに、とりあえず期限を切って考える」それでもわからない場合はペンディングにするしかありませんが、そのようなチャレンジ精神がないと、人間は成長しないと思います。
---SEという仕事の中で、プログラマの方たちに業務を指示する場面があったと思いますが、難しいと思われた部分はありますか。
◆それはいろいろあります。プログラマにもいろいろなレベルの方がいます。仕様には書いていないことでも、経験から、こうした方がいいと判断してくれる方もいます。
スキルのある人はバグが出ないように、初めから考えてプログラムを書いてくれますが、スキルがない方は、1から10まで説明しないと書いていただけません。
私も最初は何もわからなかったので、初心者にはしっかりと説明したり、指導する必要があると思いますが、それでも、プログラマとして成長できるかは、最終的には本人の自覚です。成長したい、レベルアップしたいという本人の気持ちがなければ、他人がとやかく言っても効果はありません。
(つづく)
次回は証券会社の営業担当としての経験を語ります。お楽しみに!
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