【インソース講師・福嶋晴夫氏インタビュー】
インソース講師・福嶋晴夫氏インタビュー 【1】
★警察に入るまで★
私は1981年に大学を卒業しました。当時、「モラトリアム」という言葉が流行っていましたが、私は、小説家が夢の文学青年で、暇さえあれば小説を読んでいました。
そのため、あまり就職活動も熱を入れてしませんでした。しかし、たまたま、兄が警視庁に勤めており、親のためにもなんとか就職しろといわれ、警察官になりました。
★警察官時代★
最初、警察学校に行って、東京の中野で寮生活をしたんですが、これがまさに塀の中の生活だったのです。「出て良し」と言われない限りは一歩も外に出られません。規則上では、土曜の午後から日曜日の間は、勤務規則上自由なはずなんですが、昼食に中野ブロードウェイに行くくらいで、ほとんど外出できませんでした。
始めの8ヶ月の寮生活で、いずれはここを出るだろうな、と確信しました。
ただ、閉鎖的な警察学校時代も、多くの仲間ができることで、面白みを見出せるようになってきました。
その後の交番勤務をすることになりました。私は、若い頃は「人見知り」だったのですが、警察官は必要とあらば誰とでも話さなくてはなりませんでしたので、自然と人見知りもなくなり、誰とでも話せるようになりました。
交番勤務の他にも機動隊やパトカー勤務を経験しました。色々な思い出がありますが、印象的だったのは、機動隊では87年の東京サミット開催時に赤坂御所の辺りに立っていたら、迫撃砲が私の目の前に3発落ちたことですね。
★転職の経緯★
そのような経験をしながら、警察官時代を過ごしたのですが、そのうち転職をしようかなと考えるようになりました。
私が30歳を過ぎた頃から、バブル景気になって、採用ニーズが高まってきました。
その頃から、就職情報誌を毎週買って帰って、夜勤明けの布団の中で見て、履歴書を書いて出すということを繰り返していました。
100箇所ぐらい、履歴書を送りつけましたが、どれも、「今回は残念でした」という不採用の通知をもらいました。
結局、民間企業での実務経験がないので、使えないと判断されているのだろうと思い、「今度履歴書を出してだめだったら、警察官を続けながら小説を書こう」と、子供が生まれる直前に、ぼんやり決めました。
そのとき、ピンときた会社があって、それが研修業界でした。
そのころは、社員研修というのが何をするのものかわかりませんでしたし、そもそも商売として成り立つのかという思いはありました。
ではなぜ応募したのかというと、その情報誌に書いてあったことが良かったんです。
会社は2年目ながら、急成長していて、「経営に一緒に参画してみたいと考えている人を求めています」ということでした。
また、採用の方法も私向きでした。まず、書類を送れというのではなく、まず予約を入れて、履歴書を持って、面接をするという形でした。何度も書類で落とされましたが、これはいけるんじゃないかなという予感がしました。
面接の日のことは、よく覚えています。確か夜勤明けで、その前の日に娘が生まれて、おまけに、その夜勤で事件があって、一睡もしていない状況で面接に行きました。
私が面接に行った会社は結構人気があったようで、私のほかにも、20人ぐらいの応募者が来ていました。
採用されたのはそのうち3人で、その1人が私です。
面接では、志望理由を聞かれましたが、私は正直に、「よくわからない」と答えました。
今のようにインターネットで会社を調べることもできないので、情報収集の手立てがありませんから、逆に、「いったい何をやってる会社ですか?」という質問を投げかけました。
実はその時、受験した人の中には、10年ぐらい研修業界で働いている人もたくさんいたようですが、なぜか、全く業界もわからない人間が気に入られて、採用されたのです。
それが1990年でしたが、その後は6月に内定が出て、警視庁に申し出ました。本当ならそれで、8月末退職で9月1日から新しい職場で働くという予定でした。
年休を消化して、8月は勤めなくてもよいはずだったのですが、最後の私の勤務日に、盗難車を追いかけていた際に、部下が発砲してしまいまして、その後始末で休みがとれなくなってしまいました。
結局、捜査書類などの処理を行うために、辞令をいただいたのが8月末になりました。こうして、新しい会社の歓迎会にも参加できないような忙しい日々を送りながら、警察官を辞することになりました。
(つづく)
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