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多様な働き方の追求。働き方改革実現会議で紹介された事例とは?

2020.05.22

  • キャリア

働き方改革実現会議は、長時間労働や女性の働きにくさといった労働現場の諸問題について、解決へ向けた取り組みを行ったり、各社の成功事例を紹介しブラッシュアップすることを目的とする諮問機関です。働き方改革実現会議で話し合われた内容や改革事例についてご紹介します。

働き方改革実現会議とは

働き方改革実現会議とは、労働現場を取り巻く様々な課題解決のために設立された諮問機関です。平成28年8月、安倍総理大臣によって加藤勝信氏が働き方改革担当大臣に任命され、9月26日から定期的に会議が実施されています。

同会議のメンバーは、安倍総理大臣と働き方改革担当大臣を始めとして、厚生労働大臣、内閣官房長官、経済産業大臣などの閣僚、経団連会長、日本労働組合総連合会会長、大学教授等の有識者、および各企業の代表取締役等の経営者です。会議では、メンバーが相互に事例紹介や意見交換を行うことで、労働諸問題を解決するための政策作りも含めて対策を検討しています。

なぜ今、働き方改革が必要なのか?

戦後以降の日本では、年功序列式の昇給制度や、長時間労働を前提とした労働制度が運用されてきました。こういった日本的な労働システムは、「終身雇用」「家庭のことは女性に任せて、男性は仕事に専念する」という働き方が正常に作用していました。

しかし少子高齢化による労働人口の減少を迎えた現代では、社会機能を維持するためには今まで働いていなかった人(主婦や、パートタイム労働者)も社会で働く必要が出てきたのです。

同時に、少ない労働人口で今までと同じように社会を支えるためには、必然的に一人あたりの労働量は増大し、長時間労働や過重労働が常態化します。特に中小企業で言われがちな「ブラック企業」の事例においては、健康不安のリスクも高く、離職者も増え、事業存続そのものが危うくなる例も少なくありません。

つまり社会構造の変化に伴って、男性・女性問わず多種多様な人材にとって働きやすい組織作りや、心身共に健康に働けるような労働量の再検討が求められているのです。

働き方改革実現会議で話し合われたこととは?

会議では様々な労働課題の解決に向けた取り組みが行われていますが、特に2016年12月20日の第五回会議での主要トピックは「同一労働同一賃金」に関する議論でした。

現代の日本では、非正規雇用労働者が労働者全体の四割程度を占めています。今後、子育て中の女性や介護者などの社会参加の必要性がますます増大していくなかで、この数字はより上昇すると見られています。しかし、給与や雇用条件面での待遇が正社員と比べて低く、働いても生活の向上が望めない「ワーキングプア」と呼ばれる実態が社会問題化しています。

この問題を解決する同一労働同一賃金とは、正規雇用・非正規雇用を問わず、同じ労働に取り組む人には同額の賃金を与えようという考え方です。同一労働同一賃金が実現すれば、労働者は雇用形態にとらわれず、より柔軟な働き方ができると考えられています。

働き方改革実現会議で決まったことは?

12月20日の会議では、同一労働同一賃金実現に向けた「ガイドライン案」が発表されました。現段階では法的な強制力はありませんが、これから同一労働同一賃金の検討を始める組織に対して基本的な考え方を示しているものです。

「ガイドライン案」では、労働者へ支給する基本給を「職能」「成果」「勤続年数」による給与の3要素に分類したうえで、3要素の全てについて、正規雇用・非正規雇用の違いによって差を付けるべきでないとすることを求めています。また、昇給、賞与、役職手当、福利厚生、休暇、教育の実施についても、非正規雇用であることのみを理由として正規雇用労働者との間に不当な差を付けてはならないとしています。

今後の働き方改革実現会議では、この「ガイドライン案」をベースに同一労働同一賃金を実現する制度づくりを目指して議論を深めていく模様です。

働き方改革の事例紹介

すでに各企業で行われている働き方改革の事例に迫ってみましょう。

例えば、プリンターメーカーのブラザー工業では、フレックスタイム勤務者にはコアタイム出社の義務を免除したり、従来「小学校就学前の子を持つ親」が対象であった看病休暇を「中学校就学前」まで拡充したりするなど、ワークライフバランスを重視した施策をとっています。

サントリーホールディングス株式会社の事例では、「会議ダイエット」「資料ダイエット」と称する業務のスリム化を行うことで、不要な長時間労働を防ぐための取り組みを行っています。また、従来は育児介護者のみが対象であったテレワーク(在宅勤務)を、所定の勤続年数を満たした全ての従業員に対象拡大し、無理なく家庭と仕事を両立できる環境づくりを行っています。

一人ひとりが安心して働ける社会を築くために

働き方改革は、日本の労働者にとって決して無視することのできない身近な課題です。
働き方改革実現会議においては、これから数年間の取り組みのなかで、多様な人材にとって等しく快適に働くことができる柔軟な労働制度づくりが行われていくと予想されます。

もちろん、政府が舵を取る制度づくりに期待するだけでなく、現場で働く私たち一人ひとりが多様な働き方を理解するよう努めることも大切です。

配信元:日本人材ニュース

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