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アウティング
「アウティング」とは、本人の承諾なしにその人の秘密を第三者に明かすことを言います。現在では特に、性的指向や性自認に関する情報を暴露してしまうことを指します。
本人の同意なく言いふらすアウティングに対して、本人が自身のセクシャリティについて自ら告白または公表することを「カミングアウト」と言います。自分の意思で、告白する相手も決められる点がアウティングと大きく異なりますが、告白した相手から第三者に広まってしまうケースも少なくなく、両者は密接に関係していると言えます。
性的マイノリティを指す言葉として、LGBTあるいはLGBTQが広く知られています。最近では、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字を合わせたSOG I(ソギまたはソジ)という言葉もよく使われています。
厚生労働省は、SOGIを本人でない者が公表することをパワーハラスメントと見なし、2020年に施行されたパワハラ防止法で、SOGIハラスメントやアウティングの防止策を講じることをすべての企業に義務づけました。
具体的な防止策としては、社内規定で禁止や懲戒規定を明文化する、相談窓口を設ける、研修などで社内に認識を周知する、などが挙げられます。
また、当事者からSOGIハラやアウティングの相談を受けたら、以下のような配慮が必要です。
・相談をもみ消したり、安易に片付けない
・相談者が解雇や異動などの不利益を受けないようにする
・相談内容が社内に広まらないようにする
アウティング行為は嫌がらせ、いじめ、人権侵害にあたります。被害を受けた従業員のメンタル不調、モチベーション低下を放置しておくと、組織力の低下につながるだけでなく、最悪なケースでは本人やその家族から損害賠償訴訟を起こされ、社会的な信用を失う恐れもあります。
SOGIハラに限らず、様々なハラスメントに対する知識を常にアップデートし、認識不足や意識の低さから企業が社会的信用を失わないようしっかりと対応していくことが肝要です。すべての人材が働きやすい組織をつくることが、企業のダイバーシティ・インクルージョン推進への第一歩です。