前回は、事業継続計画(BCP)を作るにあたって、優先的に復旧すべき
3つの重要業務を選定しました。今週は目標復旧時間(RTO)について
考えます。
■業務の中断が与える影響の大きさを評価する
まず、不測の事態が起きた際に業務の中断が顧客などに与える影響を
具体的に推定します。これは、「ビジネス影響度分析(BIA:Business
Impact Analysis)」といい、5つの観点(売上・利益、信用、雇用、
法令違反、復旧コスト)から影響を評価します。
例えば、不測の事態が発生してから12時間後、売上・利益は何の損失
もなかったとします。しかし、顧客からすると12時間後にはクレームが
発生し、1日も経てば強い復旧要請、1週間後には損害賠償請求、
1ヵ月後には他社への切り替えが行われてしまうでしょう。1ヶ月後にも
なれば、売上・利益は5億円の損失が考えられ、非正規雇用の社員は
解雇しなければならないかもしれません。このように、時間経過と5項目
の影響の大きさを相対させて、影響の大きさを想定します。
■業務停止の影響が許容されるタイムリミットを設定する
上の作業と同時に、顧客はどのくらい復旧を待ってくれるのか、という
許容範囲(=「目標復旧レベル」)内のタイムリミット(=目標復旧時間
(RTO))を考え、設定します。
例えば、安否確認(・人命救助)は1日で全員安否確認を終わらせると
設定します。(この場合、「目標復旧レベル」が「全員安否確認」、目標
復旧時間(RTO)が「1日」ということになります。)
・電力が、100%復旧するのには、6日かかる。
・取引先への商品供給が、8割可能になるのには、7日かかる。
・在庫が、供給の50%になるのには、7日かかる。
・取引先からの注文が、80%になるのには、10日かかる。
このように考えていき、復旧目標を「10日」と設定します。
■実際に目標復旧時間(RTO)を考える
それでは、あなたの職場における優先的に復旧すべき3つの重要業務
それぞれについて、業務停止の影響が顧客などの許容範囲(=「目標
復旧レベル」)内のタイムリミット(=目標復旧時間(RTO))がどの程度
か、考えてみましょう。
☆来週もお楽しみに!