《第3回》トップセールスを目指すなかで突如訪れた、営業としての成長期
インソース講師・福島晴夫氏インタビュー【3】
《第3回》トップセールスを目指すなかで突如訪れた、営業としての成長期
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先達との経験の差は、自己研鑽による知識量で埋めた
営業として結果が出始めた矢先、「講師として仕事をしないか」というお話をいただきましたが、ちょうど営業が楽しくなってきていた頃でもあり、もともと3年は営業をやろうと考えていたので、結局そのまま営業を続けることになりました。
しかし、少し軌道に乗っていたとはいえ、まだまだ10年選手の先輩方を追い抜くことはできません。もちろん体力には自信がありますし、飛び込みは苦になりませんが、それだけでは先輩方の経験値には適いません。
そこで考えたのが、経験で足りない分を知識で補うという戦略です。新宿の本屋さんのビジネスコーナーに立ち寄って、最低でも月10冊は本を読みました。1年で200冊ほど、マネジメント・セールス・マーケティングなどの類の本を読み漁りました。
本を読んでいるうちに、何が書いてあるのかさっぱりわからない状況から、徐々に、ぱっと見ただけでよい本かどうかわかるようになり、読書時間も次第に短縮されていきました。知識を積み重ねることで、本来なら長年の経験が必要な領域にまで、数ヶ月で到達したというわけです。
営業スタイルの転換によるブレイクスルー
次に自分の中で変化が訪れたのは、入社して3年目です。それまでは自社の商品の魅力や利点をプレゼンテーションするような営業ばかりしていたのですが、そのスタイルを大きく変えざるを得ない出来事がありました。
それは栃木にある中小企業を訪問したときのことです。当時はすでにかなり業績を上げていたので、自分のセールストークに自信を持っていたのですが、その企業の社長は頑固そうで、訪問したものの私の話は聞いてもらえず、創業以来の話をひたすら聞かされました。
今日はもうだめだと思って聞き役に徹していたのですが、社長の話を1時間ほど聞いて、そろそろ失礼するという頃、突然「今日の話を提案書としてまとめて、幹部向け研修を企画してくれ」と言われました。できるだけ早くと言われたので、その通りにしたところ、すぐに受注となりました。
一言も発していないにも関わらず、社長は「君のような話上手なセールスには初めて会った」と言うんです。はじめは不思議で仕方なかったのですが、よく考えてみると、もしかしたらセールスというのは「話すことではなくて聞くことなのではないか」と思い至りました。
話すというのは自分の考えを伝えること。というのはつまり、説得じゃないですか。逆に聞くというのは、相手の考えを探ることなので、相手の問題やニーズが出てきやすい。私はそれを分析して、自社の商品をソリューションで提案するようにしました。
それまでは、研修のお試しとしてとりあえず公開セミナーの受講をお勧めしていたのですが、以降はまず会社でどのような問題があるのかをヒアリングし、それを解決する方法を考えていくようになりました。そうすると、会社の問題の全てを対象にするので、総合的なコンサルティングになるわけです。
新人から部長クラスまで、それぞれの抱える問題に対応していくわけですが、こちらの提案はそれを解決するためのものですから、単発の提案ではなく、大きなビジョンや戦略を見据えたものになります。
そして、この戦略を浸透させるために、部長クラスにはこうした研修が必要です。課長にはこういう研修が必要です。営業担当者には...というように、案件そのものがどんどん大掛かりになっていきました。
受注案件の規模が今まで100万円ぐらいだったのが、時には1,000万円ぐらいの提案書を持っていくという具合になり、規模が違ってきました。「件数が減っても、受注金額は上がっていく」これが1つのターニングポイントでした。聞くセールスに営業手法を変えて、ついに、会社で2番目の営業マンになりました。
(つづく)