ほぼ日の糸井社長が自社株を従業員に無償譲渡、贈与税はかかる?

2023年6月26日

ほぼ日の糸井社長が自社株を従業員に無償譲渡、贈与税はかかる?

ほぼ日<3560>が創業25周年を記念して、役員や正社員、契約社員、アルバイト、業務受託者、派遣社員ら約190人のスタッフ全員に同社株を100株ずつ無償譲渡すると発表して話題になった。同社の糸井重里社長が保有する同社株の一部を当てる。気になるのは無償譲渡に伴う税金だ。糸井社長やスタッフは課税されないのか?

ほぼ日のケースは贈与税非課税の可能性が大きい

個人に対して株式を無償で譲渡する際には、譲渡人である糸井社長に税金はかからない。株式を無償譲渡しているので、利益を得ているわけではないからだ。一方、株を譲受した社員たちには、今年1月1日から12月31日までの1年間で無償で譲り受けた株式の価額が110万円を超えた場合に贈与税がかかる。

東証スタンダードでの同社株の6月9日終値は3635円で、譲渡された株式価額は1人当り36万3500円。株式贈与は8月に実施する予定で、同社の株価が現在の3倍超の1万1000円を上回らない限り社員への課税の心配もなさそうだ。

ただし、同じ無償譲渡でも法人(企業)相手では事情が異なる。企業に対して株式を無償譲渡する場合には、譲渡人、譲受企業のそれぞれが課税されるのだ。所得税法では企業に株式を無償譲渡した場合でも、譲渡時の企業の時価で資産の譲渡があったものとみなすと規定されているからだ。

譲渡で対価を得ていなくても時価で株式を譲渡したとみなされ、その「譲渡所得」金額に対して所得税が課される。譲渡人には「譲渡所得」に対して20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%の合計)の譲渡所得税がかかるのだ。

一方、株式の無償譲渡を受けた企業側にも、譲り受けた株式の時価評価額が受贈益として法人税が課される。無償でも株式譲渡には譲渡側も譲受側も課税されると考えておく方が無難だ。ほぼ日の無償譲渡は、少額だから課税されない「例外」と見た方が良いだろう。

株式の無償譲渡でかかる税金一覧(*ほぼ日の事例)

譲渡→非譲渡主体 譲渡側の課税 譲受側の課税
個人→個人* 非課税 贈与税(110万円未満は非課税)
個人→企業 みなし譲渡所得税 法人税
企業→個人 法人税 給与所得または一時所得
企業→企業 法人税 法人税

配信元:M&A Online

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