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ワーク・エンゲイジメント

ワーク・エンゲイジメントとは、オランダの心理学者である、ユトレヒト大学のシャウフェリ教授を中心に提唱された概念です。「働き手が仕事に誇りをもち、仕事にエネルギーを注ぎ、仕事から活力を得て活き活きしている状態」のことを指します。仕事のやりがい、働く楽しさを感じる社員を増やすことは、組織全体のメンタルヘルス改善、パフォーマンスや生産性の向上につながるため、ワーク・エンゲイジメントを高める施策づくりに取り組む企業が増えています。

ワーク・エンゲイジメントとは、以下の3つの局面が揃っている状態を指します。
・活力:仕事をすることで力がみなぎり、活き活きしていると感じる。
・熱意:自らの仕事に誇りややりがいを持ち、仕事に熱中している。
・没頭:自分の仕事に完全に熱中し、自分がすることに喜びを感じている。

ワーク・エンゲイジメントを実現できている働き手は、仕事によってやる気がみなぎり、ワクワクしながら成果をあげることができます。自分の仕事に進んで努力し、工夫を重ねる意欲があるので、困難にぶつかっても粘り強く対応し、新たなイノベーションを創出しやすくもなります。また、重い仕事や役割を任された際に発生する肉体的・精神的な負担感、ストレスを低減させる効果もあるため、心身共に健康なウェルビーイングの状態で働き続けることも可能となります。

ワーク・エンゲイジメントは、以下2つの資源が相互に影響し合うことで生み出されると考えられています。 
①個人の資源
ポジティブな心理的状態を生み出すための資質や特性のことを指します。自己効力感(「私は達成できる」と自らを信じ、組織・チームに自分が貢献できていると感じる状態)や楽観性、レジリエンス(困難をしなやかに乗り越える力)といったものが該当します。
②仕事の資源
本人以外の外部(上司、先輩、後輩、顧客)から与えられる刺激のことで、目標の達成や、個人の成長、活動を活性化するための動因となるものです。自身に認められた裁量性や社会的な支援があること、正当な評価やキャリア開発の機会などが該当します。

自己効力感やレジリエンスといった個人の資源は、若いうちから豊富に備わっているものではありません。仕事の成功体験を積み重ねることによって育まれます。つまり、上司・先輩によるコーチングや、仕事の成果に対するポジティブなフィードバックなど、仕事の資源を充実に与えることでやりがいを感じさせ、「また次も頑張ろう」という前向きな気持ちを引き出すことが、個人の資源の強化につながります。

職場の誰かが仕事の意欲を失っていたら、周囲が「仕事の資源」を投入して再び活力を取り戻す。このような、ワーク・エンゲイジメントを高める体制が整った組織をつくることが、すべての従業員が長く健康的に働き続けるための重要な施策となります。

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