FORUM 2019
近年、不況が続く中で多くの組織がリスクをとることを恐れるあまり、「新しいこと」にチャレンジすることを避け、イノベーションが起こりにくくなっています。一方で、職場を構成する社員の年齢層や雇用形態が多様化しており、1人ひとりの強みや個性を生かしたマネジメント・指導が求められています。
時代の変化が激しいなか、組織としてその変化に対応するためには、多様性を生かし、イノベーションを起こせる個人を輩出することが求められています。では、それを実現させるには何が必要かをお伝えします。
今の時代には、4つの特徴があります。
現代は、「個人の小さな物語」が乗数(10倍、100倍)的に伸び、新産業化している時代です。一方で、従来からの産業が付加価値を生み出せなくなっている時代でもあります。これからは、時代の変化をふまえながら、小さな物語や発想を大事にしていかなければ、産業を成長させることが難しくなっていくことでしょう。
日本では、イノベーションは「技術革新」のみを捉えられがちですが、それは正しくありません。
例えば、ヨーゼフ・シュンペーターが定義したイノベーションには5つの種類があります。
1 | プロダクト・イノベーション(画期的な新商品によるもの) |
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2 | プロセス・イノベーション(新しい生産方法) |
3 | マーケット・イノベーション(新しい販売先の開拓) |
4 | サプライチェーン・イノベーション(原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得) |
5 | オルガニゼーション・イノベーション(新しい組織体制によるもの) |
技術革新は、1のプロダクト・イノベーションにあたりますが、2~5も全てイノベーションです。これらは個人の着想からスピーディに生み出せる可能性があり、イノベーション実現の余地はまだまだ大きいことがわかります。イノベーションは、決して一部の特別な人が実現できるものではなく、誰もが実現できる可能性を持っている、ということです。
例えば、インソースでは2の「プロセス・イノベーション」を行っております。研修の実施者とテキスト(コンテンツ)の製作者を分離する、たったこれだけの仕組み作りで、比較的廉価に研修が作れるようになりました。
失われた20年で起きたことを考えると、「不況が続くなかで、多くの組織がリスクをとるのを恐れるようになった」ということが言えます。
新しいことに挑戦するのは、リスクがあるし困難なことでもあります。失敗したら責任も問われます。経済低迷のもと、日本の多くの組織は「あそび」を避けるようになり、「自分発の小さな物語」を生かす余裕をなくしてしまったのです。
これが失われた20年で起こってきたこと、ではないでしょうか。
今こそ、脱却を図るときです。
イノベーションの議論というのは数えきれないほどあります。宇宙開発といった規模でないとイノベーションとは呼ばない、という声もあります。しかし、まず企業において「利益を出しながら」という前提であれば、イノベーションのポイントは以下の4点ではないかと考えます。
1 | レベルや大小は問わないこと ~年間コスト10%減の改善でも、20年続ければ90%になる |
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2 | 数を追うこと ~組織の皆がイノベーターであることが理想 |
3 | お金のにおいがする(収益性がある)こと |
4 | 組織の内部だけでも実施できるとなおよい ~失敗コストが低減できる |
多様性と寛容性は、自然に生まれるものがではなく、経営者や人事が作り出すものです。
意図的に、ねらいを持って作り出すようにするとよいでしょう。
世の中の変化に合わせて、自組織も常に変化させるべく、柔軟な組織体制や人員配置の変更が可能な状態をつくっておくことが重要です。つまり、組織体制や人員配置、業務フローなどは「経営者や人事が、流動性を“デザイン”する」ということです。
流動性を確保することの付随的なメリットは2点あります。
(1)変化の少ない組織は、無意識のコンプライアンス違反が起きやすいが、流動性があると、「自部署にとっての『当たり前』、他者から見た『異常』」に気づきやすくなる。
(2)流動性(=キャリアパスのパターンが複数あること)を示すことは、社員が自社内での成長余地を大きく感じることにつながり、離職防止に効果的である。
現代において、法令順守は絶対です。しかし、変化の少ない組織というのは、無意識のコンプライアンス違反が起きやすいものです。外部から情報が入ってこないため、前例踏襲が善だと思ってしまう可能性があります。そこで、他者から見た異常に気づきやすくするためにも、流動性は必要です。また、キャリアパターンが複数あることは、社員が自組織でどのように成長していくかを想像する余地を生み出すため、離職防止につながります。
「多様性・流動性」と「一体感」は相反するところがありますが、これらを両立させるためには2つの視点が必要です。
まずは「理念」という視点です。自分が何のために働いているのかをわかっており、理念をもとにした判断や行動ができるということです。次に「収益確保」という視点です。つまり、お金のにおいがわかる人材であるということです。
全てのメンバーが理念と収益確保の2つの視点を理解していると、同じ視点で判断や行動ができるだめ、基準が明確になります。そうすることで、様々の多様な人材を束ねることや権限委譲が可能になり、フラットでシンプルな組織を実現することができます。多種多様な意見があったとしても、理念と収益確保という全員が認識している基準で判断することで、異なる意見を持つメンバーにも理解や納得を促すことができます。結果的に、変化の激しい環境の中で、存分に勝負できる組織になっていきます。
また同時に、理念に基づく行動が利益を生み、利益をあげることが社会貢献につながるという"普遍的な真理"を浸透させることもポイントになります。
個人がイノベーションを起こすには、以下の5つの要件が求められます。
なお、人事部門が意識して育成を行えば、どんな組織でもこれらの5つの要件を身につけた人材を輩出することができます。
個人がイノベーションを起こすには、以下の5つの要件が求められます。
なお、人事部門が意識して育成を行えば、どんな組織でもこれらの5つの要件を身につけた人材を輩出することができます。
<「かけ合わせ」を起こすための知識とスキル>
③の要件である、イノベーションを起こすために「かけ合わせる」知識や教養には、雑学だけでなく社会意識や業務ノウハウ、ITリテラシーなどがあります。これらを多面的にかけ合わせることが重要です。さらに、観察眼やゼロベース思考、着想力、プロジェクトマネジメント力をかけ合わせることで、組織で収益性のあるイノベーションが実現できます。(※◎がついている要素は、インソースの研修で強化することが可能です)
イノベーションは才能のある一部の人ができるのではなく、これら知識やスキルのかけ合わせでできるため、知識やスキルを身につけていけば必ずできます。自分は才能がないから、と諦めたり言い訳をしたりするのではなく、イノベーションを起こすために自分に何が不足しているのかを理解し、身につける努力を行えば良いのです。
さらに、ITを活用すると、イノベーションはスピードアップします。例えば、システムの画面イメージ(プロトタイピング)を作れるだけでも、劇的にイノベーションの可能性が広がり、スピードが早くなります。
実際に、インソースでも社内のITリテラシー向上に向けて、次のようにレベル分けした教育を実施しております。
<インソースの社内人材ITリテラシー向上教育の例>
イノベーションを起こす一環として、IT人材というのは今後のテーマになってくると考えております。インソースは、公開講座を中心に、このようなIT人材を育成する研修体系を提供していく予定です。IT人材の不足で悩んでいるお客さまに、寄り添うサービスを提供していきたいと考えています。
組織における多様性・寛容性・流動性の醸成には、以下のようなサービスがございます。
≪Point≫
※インソースグループの株式会社らしくが提供
≪Point≫
≪Point≫
※インソースグループのミテモ株式会社が提供
イノベーション人材の育成には、以下のようなサービスがございます。
実際に“小さな物語”を発案できる個人に対しては、事業として形にするための教育を実施することが有効です。
研修名 | 日数 | 研修のポイント |
---|---|---|
第1回新規事業開発研修 | 2日間 |
※研修中に作成したミニビジネスプラン(要約)を持ち帰り、宿題として、日常業務の中で追加資料(特にユーザーニーズ調査と実現方法)の作成を進める |
第2回新規事業開発研修 (1回目の1カ月後) |
2日間 |
※研修中に作成したビジネスプランを持ち帰り、不足部分を宿題として作成を進める |
第3回新規事業開発研修 (2回目の1カ月後) |
1日間 |
※宿題が不十分であったり、成果が出ないと判断した場合、この回で終了とする |
第4回新規事業開発研修 (3回目の2週間~1カ月後) |
3時間程度 | プレゼンテーションの基本を踏まえ、事前のリハーサルを行い、経営陣を前に成果を発表 |
その他にも、様々な知識・スキルの向上に関するサービスがございます。