2024年5月27日
印刷業界最大手のTOPPANホールディングス<7911>が、アニメやマンガなどの日本発コンテンツ事業の次に選んだのは、SNSやEC(電子商取引)などのネットビジネスだった。
同社は2024年3月にSNS広告とEC支援を行うココラブル(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化した。
2024年2月に買収した英国で日本文化の発信イベント「HYPER JAPAN」を運営するCross Media(ロンドン)に次ぐものだ。
TOPPANは2026年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画で、M&Aによる非連続な成長を目指すとしており、今回のココラブルの子会社化もこの一環。この先もまだまだM&Aは続きそうだ。
TOPPANはオンラインとオフラインを融合させることでマーケティング成果を向上させる手法であるOMO(Online Merges with Offline)に強みを持っており、ココラブルは商品やサービスの購入や申し込みなどを直接促すマーケティング手法に強みを持つ。
両社が連携することで、ターゲット領域や提供サービスの相互補完が可能になるほか、両社の人材交流などによりWeb広告事業を拡大できると判断した。
今後ココラブルはTOPPANの顧客に対して、ココラブル自体のEC事業のノウハウを活かして、顧客の事業計画や商品企画などを支援する。
帝国データバンクによると、ココラブルの2023年9月期の売上高は30億円(前年度比13.2%増)で、2022年9月期(前年度比1.9%の増収)に続き2期連続の増収だった。
TOPPANはココラブルの子会社化によって、Webでの集客から顧客体験の設計、EC購買までの一連の支援を行う機能を整え「シナジーとして2030年度までに100億円の売り上げを目指す」としている。
TOPPANは現中期経営計画の3年間でM&Aに約1000億円を投じる計画で、デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組みであるDX領域をはじめ、ヘルスケアやメタバースなどの新事業領域でのM&Aに力を入れている。
Cross Mediaの子会社化では、Cross Mediaのリアルな事業と、TOPPANのメタバース事業を組み合わせて事業を拡大し、2030年に20億円の売り上げを目指すとしていた。
中期経営計画の初年度となるTOPPANの2024年3月期は、売上高1兆6450億円(前年度比0.4%増)、営業利益700億円(同8.7%減)の微増収営業減益の見込み。
当初は1.8%の営業増益を見込んでいたが、DX領域での基盤整備のための先行投資などにより、減益を余儀なくされた。
売上高が1兆円を超える同社が、M&Aによって非連続な成長を目指すとなると、次のM&Aは大型案件となる可能性もありそうだ。
配信元:M&A Online
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