09
人の能力には個人差があります。もって生まれた資質、学校(大学・高校など)を卒業するまでに培われた後天的な能力、性格・人間性など、まさに十人十色です。採用当初は個人の能力・資質を判断できないこともありますが、仕事をさせていくうちに分かってくるものです。
社会人の能力を大きく2つに大別すると、概念化能力(コンセプチュアル・スキル)と対人関係能力(ヒューマン・スキル)に分かれます。周囲から評価が低い人に言えることは、考えて仕事を進めることが苦手、仕事に関する勉強をしない、仕事のスピードも遅い、仕事の間違いも多い、などです(人間性に問題があり、周囲から良い評判が得られないこともありますが)。このような人には、
①その人の能力に見合う仕事を与える(多く与え過ぎない)
②他の人よりも長い時間軸で仕事の習得を考える
③こまめに振り返りを行うなど、他の人よりも手間暇をかけて育てる
④就いている仕事に適性がなければ最終的に、適性のある職場に異動させる
ことが大切であると考えます。
すべての人には必ず、「強み」が存在します。本人の弱みを克服する前に、強みを活かして自信をつけさせ、その後次のステップに進むというように、人よりも長い時間をかけて、段階的に育成していきます。大して手も施さずに、「あの人はできないからダメだ」と決めつけずに、「あの人を成長させるにはどうしたらよいか」と真剣に考えて向き合うことです。そのためには、上に立つ人がその人の能力、強み・弱み、性格をきちんと把握していることが肝要です。「適材適所」とよく言われますが、適材適所の肝は、上が下の能力をよく見極めていることです。
組織の結果を出すためには、人と業務(+お金)という経営資源をいかにうまく組み合わせるかというマネジメントが不可欠です。評価の低い人をいかに底上げして、組織全体をうまく機能させ、組織の結果を出すかは、上に立つ人の腕の見せ所と言えます。評価の低い人であっても、その人に「関心」と「愛情」を
持って、「我慢」して育てていけば、相応に成長してくれるはずです。