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ENERGY vol.10(2022年冬号)掲載

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人事部長に求められるファイナンシャル・リテラシー

人的資本経営における人事部長の役割

人的資本経営とは、投資により価値を増加させうる「人的資本」としてヒトを捉え、人的資本の価値向上を通じて中長期的な企業価値向上を実現する経営のありかたであり、人事部長はその推進責任者としての役割を担うことになります。以下、その具体的内容、およびそのために必要なリテラシーについて述べていきます。

人的資本投資家としての人事部長

機関投資家やベンチャーキャピタリストなどの投資家の役割は、①企業への投資を行い、②投資先企業の企業価値(株価)の向上を通してリターンを獲得し、③資金提供者に対し投資結果を説明することです。
人的資本経営推進における人事部長の役割は、①自社の経営戦略と連動した人的資本への投資を計画・実行し、②人的資本価値の向上を通じて中長期的な企業価値向上を図るとともに、③人的資本投資に係る諸施策や開示項目が企業価値向上につながる筋道を論理的に投資家等のステークホルダーへ説明(対話、情報開示)することであり、いわば「人的資本投資家」といえるでしょう。

ファイナンシャル・リテラシーは投資家との共通言語

このような人的資本投資家としての役割を果たすには、企業価値や企業価値向上に対する理解が欠かせません。企業価値とは「将来生み出すキャッシュフローの割引現在価値の総和」と定義され、企業価値向上は「成長率」「資本利益率(ROICやROE)」「資本コスト」により決まります。
人事部長は、これらの枠組みに依拠したうえで人的資本投資を実行することで企業価値向上を実現するとともに、諸施策および開示項目の企業価値向上との関連性を論理的に説明する責任を担うことになります。そのため、人事部長には人的資本経営推進の役割を遂行するにあたっては、投資家等との対話での共通言語であるファイナンシャル・リテラシーが求められることになるのです。

文/藤本 茂夫

株式会社インソース取締役 執行役員。神戸大学経営学部卒。1988年ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。
本社経営戦略部門、カンパニー総合企画部門にて中期計画や事業計画、原価計算を担当。関連会社にて事業戦略部門マネージャー、管理課長、管理部長を歴任。
2012年インソース入社。2016年マザーズ市場新規上場および2017年市場第一部市場変更のプロジェクト責任者。

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