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ENERGY vol.10(2022年冬号)掲載

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人的資本経営 の取組み方 ~経営戦略との連動性を踏まえた人材戦略とその開示項目の設定

「人的資本経営」の具体的な施策というと、「DX人材の育成」や「ダイバーシティの推進」などが挙げられ、その実績を開示項目として選定されることも多いと思います。
では、その目的は何かというと、株主をはじめとするステークホルダーに、人的投資を根拠とする成長可能性を示すことだといえます。
カギを握るのは、「人を資本として捉える」とはどういうことか、これまでの人材に対する考え方とは何が変わってくるのかを正しく認識したうえで、人材教育やダイバーシティ推進に取り組んでいく、ということなのです。
当社の作成例をもとに、人的資本の開示項目の作り方をご説明します。

人的資本経営のアウトカムとしての生産性

株主が注視している人的資本経営のアウトカム(成果)とは、ずばり、「生産性の向上」でしょう。
当社では、決算説明資料で開示している「重視している人的資本開示項目」のトップに、「社員一人当たりの売上高」を掲げています。
これは「人」を軸にして見た時の当社の生産性を示すものであり、人的資本経営が上手く回っているかの成果を表すものとして選定したものです。
この数値が継続的に伸び続けていれば、人的資本経営の総合評価として、株主から及第点をいただくことができるだろうという認識です。

自社の成長戦略と連動したDX人材の育成策とその実績開示

人的資本の開示項目に、多くの企業が採用しているのが、人材教育に関する実績数値です。
DX推進が叫ばれる昨今、デジタル関連の教育プログラムの展開状況や、その履修実績を開示項目にしている企業も少なくないでしょう。
人材教育が人的資本投資の要であることに異論の余地はありませんが、問題は個々の教育施策がどう、企業の経営戦略と結びついているのかということです。どの事業にどんな人材が欲しいからどういう教育プログラムを展開するのかを、ストーリー立てて伝えることが、今後はさらに強く求められてくると推測されます。
当社でも、過去にはRPAに関する研修を、最近ではPythonに関する研修を従業員の必須履修プログラムとして設定しました。これらは大雑把な「ITリテラシーの向上」といった目的ではなく、具体的に実務の中でデジタルを活用することで成果が上がることをきちんと検証したうえで全社展開したものです。
実務者だけでなく管理職も含めて全社員に受講してもらったのは、業務改善や新規事業を進めるにあたって、上席者が「ITのことはよくわからないから」と議論を停滞させてしまったり、意思決定を遅らせてしまうことを避けるためです。
何を課題として捉え、その解決策として誰にどんな教育を施すのか、という狙いすました人的資本投資が、今後ますます重要視されると考えます。

ESG経営の要となるダイバーシティの推進

ダイバーシティに関する指標も、人的資本開示項目としてポピュラーなものの一つです。これも、単純によく使われている項目を採用するのではなく、自社の経営戦略との連動性を踏まえて、どんな多様性が経営のどこにプラスに働くのか、その推進によってこの先にどんなことが期待できるのかをストーリーとして発信していくことが必要です。
当社では、「女性管理職比率」とともに、「女性管理職登用数」を経年でお示ししています。一見よくある開示項目ではありますが、ここには当社なりの戦略を踏まえたメッセージが込められています。
当社に女性管理職が多いのは、創業期に男性社員がなかなか集まらず、女性社員の占める割合が高くなったから、というのが実態です。
しかしその結果、実力重視でフラットな組織風土が生まれ、それが経営にプラスとなったと実感しています。幸運にも手に入れられたこの多様性のメリットを、今後も維持することが将来の成長に不可欠と考え、「現在の女性管理職比率」だけでなく「新たに登用した女性管理職の比率」も開示しているのです。

成長可能性を示すための指標「エネルギー」を独自設定

最後にもう一点、当社が採用している、一風変わった「エネルギー」という開示指標についてご紹介します。エネルギーとは、当社の特性診断テスト「giraffe」を使って定量的に測定できる特性で、一言でいえば「困難に打ち勝つ意志力」です。
当社も上場から6年が経ち、最近では新卒採用でも優秀な学生に多数応募してもらえるようになりました。その一方で、かつてのようなベンチャーマインドに溢れたエネルギッシュな人材を採用するチャンスが減ってきているのでは、という懸念もありました。そこで、通常の採用基準とは別枠で、エネルギー指標を重視した人材を一定数採用することにしました。この指標は、全従業員も定期的に診断をしており、その従業員平均値を経年で開示しています。成長性のポテンシャルを測る指標と捉えていただくとよいですね。

人的資本経営の実態を把握するシステムもインソースにお任せ

このように、当社なりに経営戦略にもとづいた人材戦略を実践してきたという自負はあるものの、これらを定量的に把握していくとなると、 想像以上に膨大な労力がかかることが新たな課題になっていました。
「人」に関わる情報というものは、組織のあちこちに分散して存在しているものですが、それらを一元的に集約・管理するしくみがこれまで存在しませんでした。「無いのならば作ろう」ということで開発したのが「Leaf人的資本管理」です。
現在、社外向けにも販売を開始し、多くの上場企業から関心を寄せていただいています。人事部門の実態を知り尽くした我々だからこそ作り得たシステムとして、今後、多くの企業で役立てられることを期待しています。

文/大畑 芳雄

株式会社インソース執行役員 グループコンテンツ開発部 部長。 大阪大学経済学部経済学科卒。大手百貨店勤務後、大手芸能プロダクションの子会社にて商品企画に携わる。 その後、ビジネスプロセスの改善支援を専門とするコンサルティング会社を経て、2010年インソース入社。2019年から現職。

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2022 WINTER

Vol.10 人的資本経営の進め方

vol.10は近年注目が高まっている「人的資本経営」がテーマです。 企業に対して非財務情報の開示が求められる中、具体的な取組み策の検討が急務となっています。 本誌では、お客さまの取組み事例や人的資本の開示項目設定、人事サポートシステムの活用についてご紹介しております。

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Vol.15 日本最大級のLMS

Vol.15は、eラーニングシステム/LMSの「Leaf」がテーマです。 当社最新のLMSである「Leaf Lightning」に焦点を当て、なぜこのシステムが日本企業の教育に適しているのかを、 導入企業のインタビューと、約10年前に描いた、当システム開発の背景を基にお伝えします。 LMSの活用事例も多数紹介し、教育のDX化を行うための情報が詰め込まれています。

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