経理の仕事とは/仕事の内容や流れ、財務・会計の違いを解説
2019.02.19
- ビジネス
経理の仕事にこれから挑戦したい方へ、経理の仕事内容ややりがい、厳しさ、心構え、業務のスケジュールについてお伝えします。未経験の方、初心者の方向けに財務・会計の違いについても解説します。
経理の仕事内容 ~会社のお金の動きを数字で表す
経理の仕事とは、会社の経済活動(お金の動き)を数字で表すことです。 経理の仕事は、大きく会計・税務申告・経営管理の3つに分けることができます。
<会計業務>
ア.日常的なお金の流れの管理
イ.貸借対照表の作成
ウ.損益計算書の作成
エ.新しい会計制度への対応
オ.給与計算業務
<税務申告業務>
ア.法人税の申告
イ.法人住民税(都道府県税・市町村税)の申告
ウ.法人事業税の申告
エ.消費税の申告
<経営管理業務>
ア.経営に必要な資料の作成
イ.経理の観点からみた経営のマネジメント
経理の役割 ~会社の数字を記録し、会社の資産を守る
経理は、会社が行う毎日の取引を把握して記録し、さまざまな情報の発信源となって会社を支える役割を担っています。また、会社の資産を管理することや会社の経営陣が会社の意思決定を行うための判断材料を用意することも経理の役割です。
<経理の役割>
1.会社の数字を記録し、様々なステークホルダーへの情報源となる
2.会社の資産を守る
3.健全な経営の舵取りをする
経理の仕事のやりがいと厳しさ ~経理は会社の縁の下の力持ち
経理の仕事を行うためには「正確さ」と「忍耐力」が必要です。あまり注目を浴びることはなく、コツコツと仕事を進める業務が中心となります。しかし、会社の経営に関わる重大な仕事に関わることになります。経理はいわば会社の縁の下の力持ちであり、会社にとってなくてはならない存在です。
<やりがい>
・会社の経営に関わることができる
・専門性が高く、数字を扱うスペシャリストとしてスキルアップできる
<厳しさ>
・お金を扱う仕事であり、ミスは許されない
・他部署との調整ごとが多く、時には「提出書類の締切を守ってほしい」「書き方を改善してほしい」などと厳しく接する必要がある
経理の心構え ~信頼される経理になるための5カ条
①疑いを持って、変化に敏感になれ ~小さなミスが組織の不正に繋がる
経理は日々、入力作業や確認作業を繰り返します。そして、1つの小さなミスが、組織全体の不祥事に繋がってしまうことがあります。日々の業務の中で、些細なことでも、「いつもと違う」「おかしい」と感じることは必ず確認することが大切です。
②小まめなホウ・レン・ソウを徹底する ~一人で完結する作業こそ全体共有が必須
経理業務は会社によって分担方法が異なりますが、「請求業務」「消込作業」など、一人で完結する仕事を担当することが多いです。その場合、上司への小まめなホウ・レン・ソウを意識しましょう。
③組織の動き、情報をいち早くキャッチする ~周囲との関係構築が業務に直結する>
経理部門は組織の社内外のあらゆるステークホルダーと繋がりがあります。日頃の周囲との関係構築が自身の業務に直結するのです。組織内・外の動きにアンテナを立て、日々の情報収集に努めましょう。
④思い込まない ~自身から変化を求める
経理は、周囲からなかなか「見えにくい」部署になります。専門知識が必要な業務であるため、経営者でさえ経理部門の内情を知らないことが多くあります。自身の業務のことから、自部署全体の動き方まで、「今までのやり方」に捉われず、改善できることはないか、という意識を持ちましょう。
⑤不正は暴くのではなく、不正をさせない仕組みをつくる ~個人の人生、組織の未来を守る
経理の仕事の1つが、社内のお金の動きに目を配らせることです。お金に関係する業務なので、疑う姿勢を取ってしまうこともあります。しかし、「不正を暴く」のではなく、「不正を阻止し、個人・組織の未来を守る」という意識を持ちましょう。不正を防ぐ仕組みづくりが経理部門のミッションです。
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経理のスケジュール ~日次業務・月次業務・年次業務
経理の仕事は、以下の「日次業務」「月次業務」「年次業務」に分けられます。自身と周囲の仕事のサイクルを理解し、スケジュールを管理していくことが大切です。
<日次業務>
・伝票入力、帳簿への記録
・証憑の整理、保存
・現金出納帳の作成、現預金の管理
・売上請求書の発行と入金管理
・支払請求書の決済と支払業務
・現金の入金と支払い
・当座預金の確認
・手形・小切手の確認
<月次業務>
・日次処理の確認
・月次試算表の作成
・給与計算、給与の支払い
・源泉税の納付
<年次業務>
・帳簿の締め
・預金残高の確認、売掛金や買掛金の残高確認
・棚卸
・売上原価の計算
・減価償却費の計上
・決算書の作成
・税務申告書の作成・提出
・税金の納付
・時期の事業計画や予算の作成
会社の規模によって、業務は異なります。例えば、非上場企業と上場企業では、以下の様な違いがあります。
◇非上場企業
税務申告の業務が中心。証券取引所に株式を公開していないため、決算書類の作成などを一部簡素化できる。
⇒企業がいかに節税できるか(必要以上の税を払わずに済むか)を検討する
◇上場企業
財務会計の業務が中心。株主を公開しているため、株主への報告が重要。有価証券報告書や四半期報告書の開示、月次決算を行う必要がある。
⇒企業がいかに利益を出せるかを検討する
財務と会計の違いとは ~会社の「過去・現在」と「未来」に関わる仕事
会社によって、「経理」部門の名称や仕事内容は大きく異なります。一般的に、「会計」「財務」と呼ばれる仕事の違いについて、お伝えします。
<経理・会計とは>
会計は「お金の管理」のことを指します。会計の仕事は、会社のお金の動きや資産を記録することです。会計は経理の仕事の一部であり、経理は会計の仕事に加えて、給与計算や決算書の作成なども行います。経理・会計の仕事は、会社の「過去や現在」に関する仕事と言えます。
・毎日の取引を帳簿などに記録する
・帳簿などの記録を集計して決算書を作成する
・預金口座への入出金や経費の精算などお金を管理する
<財務とは>
反対に、財務は「これからどのようにお金を使うか」「どのように経営していくか」などを考え、会社の「未来」に関する仕事を行います。主に、銀行との融資交渉や資金調達などの資産運用を行います。
・過去の内容を分析して会社の課題を見つける
・過去の内容をもとに会社の将来の計画をつくる
・資金繰りや資金計画など会社の資金を上手に管理する
<財務会計と管理会計の違い>
財務会計 | 管理会計 | |
---|---|---|
目的 | 自社の経営数字の状況を示し、利害の調整を行う | 自社内で活用するための数字の情報を管理する |
用途 | 会社の外部へ自社について報告する | 将来の経営計画のために分析し、意思決定に活用する |
情報の利用者 | 会社のステークホルダー(投資家、金融機関取引先、従業員、税務当局など) | 自社の経営者や部署の管理者など |
作成方法 | 他企業と比較しやすいように、決められた会計ルールに従い、会計処理する | 会社独自の方法で管理する |