前回の3つのポイントを踏まえ、聴衆目線に立った、有効なプレゼンの構成方法を紹介します。
ビジネスに活かせるプレゼンのコツ(2)
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.プレゼンの冒頭で結論を述べることで、聴衆がプレゼンを聞く際の焦点を定められるようにする。
2.具体例を述べる場合、最初に結論を述べた上で、要所要所で結論へとフィードバックし、自分の主張との関連を示すことが大切である。それにより、自分の主張の要点が聴衆に伝わりやすくなる。
- ■まず結論を述べる
- プレゼンの出だしは,聴衆はプレゼンター(発表する人)が何を言うかの予備情報は何も持っていないのが普通です。ビジネスのシチュエーションでは,プレゼンターが話す内容についてある程度情報が共有されている場合もありますが,そういう場合でも、初めに「私の結論は○○○です」と明快に述べることが大切です。
- ■聴衆に照準を定めさせる
- 最初に結論を述べること―これはプレゼンでは鉄壁の大原則です。いわば,何の情報も持ち合わせていない聴衆に対し,「私は今からこういうテーマについて,(従来とは違う)こんなことを主張するんですよ」と冒頭で"宣言"してやるのです。そうすることで,初めて聴衆はプレゼンを聞く際の焦点を定めることができます。
- 聞く側は,その"宣言"を受け,テーマについて自分の思い描くストーリーと,プレゼンターの話との異同やその落差に照準を合わせながら,プレゼンターのストーリーを聞こうと努めることになるのです。
- ■ディテールは逆効果
- 実は,この"冒頭の宣言"は,簡単なようでいて実践するのはなかなかの難関です。プレゼンに慣れていない初心者は,出だしは,たいてい具体的な話題から入ろうとしがちなのですが,これは頂けません。
- 具体的なトピックスが,いったいどんな主張に繋がるのかがわからないうちに,詳細なディテールばかりを聞かされると,聴衆はわけがわからずイライラします。そのうち聞く側の集中力が途切れ,せっかくいいことをプレゼンターが主張しようとしても聞く耳を持てなくなってしまいます。
- ■結論へのフィードバックが必要
- ディテールを述べる際も,そのそれぞれのディテールはどういった自分なりの主張につながるのか,時々,冒頭の結論にフィードバックしながら進めていくことがコツです。
- 皆さんも経験があると思いますが,聴衆はプレゼンの興味ある部分はきっちり聞いていますが,必ずしもプレゼンターの話の全てを、集中して網羅的に聞いているわけではありません。適当に取捨選択しながら聞いているのです。
- 具体的なディテールを話す際には,常に「この話はこういうポイントを説明したいから述べているんだ」ということを聴衆に伝えながら進めていくと,たとえ全てを聴いていない聴衆に対しても,自分の主張の要点は伝わります。
- ■「抽象から具体へ」が科学の王道
- このように,抽象的な結論から具体化していく説明の仕方は,哲学の世界(K.マルクス)で"上向法"と呼び,科学的には王道の正しい説明の仕方であるとされます。それに対し,具体から抽象へと向かう説明の仕方は"下向法"と呼ばれます。
- 日常ではいずれの説明法も使われますが,ここでのポイントは,下向法を採用する場合には,冒頭にひとこと結論を述べてやることで,プレゼンの効力が大きく向上するということです。