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メンター制度とは、人材担当部門が人材育成の一環として、計画的に、組織の人員から助言者(メンター)と助言をうける人(メンティー)のペアをつくる制度のことです。その中で行われるメンターとメンティーの交流そのものを「メンタリング」といいます。 近年では、様々な組織課題を解決する制度として、メンター制度を導入する企業が増加しています。
世の中には新人の定着化、女性が活躍する組織作り、グローバル人材育成、経営幹部育成など、多岐にわたる課題を解決するために様々なメンター制度が存在します。とはいえ、やみくもに「他社が導入しているから」というだけで制度を導入しても成果が出ることはありません。 当たり前のことのようですが、メンター制度を成果につなげるためには、導入の目的を明確化することが重要です。つまり、「今、当社として何を課題とすべきなのか」「その課題を解決する手段として、メンター制度の導入が適切なのか」「どのような成果を得たいのか。」を再度確認すると良いでしょう。
上述の通りメンター制度にも様々な導入目的があります。これらの目的によってメンターの役割は異なります。また、トレーナー制度など他の計画的な育成制度を導入している場合は、「トレーナーとメンターとの違いは何か?」が理解できず、現場が混同してしまいがちです。
このため、メンター制度を導入する上ではメンターの役割を明確化するとともに、メンター・メンティーに対して制度・役割・運用ルールを周知する必要があります。メンター制度の周知に際しては、説明会や研修を行うことが一般的です。特にメンターに求められるメンタリング・スキルは日常的な業務上のコミュニ
ケーションと性質が異なりますので、併せてメンター向け研修を実施するケースがほとんどです。
メンターを集めて研修を実施することが難しい場合は、時間・場所の制約なく周知を行うことができるeラーニングを実施するケースも増加しています。
通常、メンターは通常業務と並行してメンターとしての役割を担います。その負荷を軽減するためにも上司や職場の理解は欠かせません。また、メンティーの職場の上司や同僚がメンターの役割を正確に理解していれば、メンター⇔職場間の連携が円滑になります。つまり、メンター制度についての周知はメンター/メンティーにのみ行えばいいのではなく、組織全体に行うことが求められます。