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研修設計の段階で、受講者の業務内容と悩みを「リアルに」把握することが大切。~受講者に「なるほど!」「自分もやってみよう!」と思っていただくために~
この2点を把握することで、「的外れな研修」になることを防ぎ、受講者に役立つ内容を作ることができると考えています。受講者に直接聞けない場合は、それに近い経験を持った人に聞きましょう。とにかく「リアルな声」を集めることです。
具体的なスキルであっても、考え方や一般的なビジネススキルであっても、研修を作る上で最も大切なことは、受講者の立場や業務内容、気持ちを想像し、受講者に寄り添うことです。仕事に関する考え方や行動について、「あるべき論」をとうとうと語ることも、もちろんできます。ただ、それでは受講者から見て「なるほど!」「自分もやってみよう!」「自分もできそう!」につながっていきません。
「分かっているけどできないんだよね~」と思った瞬間、受講者の気持ちは離れていきます。受講者のことを理解し、寄り添う気持ちが、良い研修を生むためには不可欠です。
とはいえ、受講者に寄り添い、「大変ですよね、分かります」というだけでは、受講者にとって新たな発見につながりません。受講者に寄り添い、彼らの「主観」を理解すると同時に、どこが足りていないのか、どうすればより良くなるのかを、客観的な視点で眺め、冷静に判断する必要があります。そのために今度は、受講者にとっての「お客さま」や「上司」の気持ちを想像します。受講者が「どうあってくれれば、周りがもっと喜ぶのか?」を考えます。
これに尽きます。研修を企画する人間は、万能である必要はありませんし、「受講者より上」である必要もありません。研修企画者は、編集者です。
受講者について想像し、必要な情報を収集し、編集する力さえあればいいのです。業務のことは受講者に聞くのが一番です。受講者が解決できない悩みは、それを解決できる人の力を借ります。そういう意味で、研修を企画する人には、知識や能力、人間としての立派さよりも、人脈や、人にうまく助けを求めて巻き込んでいく力が求められているのです。