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まず、若手社員・職員に「仕事を通じて組織に貢献する」「組織の成長を自分が担っている」という自発的なマインドを持たせる必要があります。「何かをしてもらう」のではなく、「自分が組織に対して何かをやる」という自発的なマインドを持つことで、「自立して働く」ことができます。
次に、業務に必要となるスキルを身につけてもらう、つまり、「仕事ができる状態にする」ことです。学校の勉強では「英語ができる」など、抽象的なことで評価されるのに対し、会社においては具体的に、「会社の役に立つ何か」ができないと評価されません。「ちゃんと仕事ができて、その成果が出て、褒められる」というルーチンに入れないままだと、退職したり、心の病を誘発したりする事態にもなり得ます。若手に健康で元気に働いてもらうためにも、「業務に必要なスキルを身につけさせる」ことは大事です。特に「ビジネス文書が書ける」「みんなの前で話せる」「人の話を上手に聴ける」などのスキルは、最優先で身につけてもらう必要があります。
中堅層に対し、今の仕事をより良くするスキルや方法論を身につけてもらうことで、仕事に対する意欲が高まり、成長が加速します。"離職防止"の観点に立っても、自身の成長実感が確認できるような研修は重要です。仕事ができるようになると、仕事とはまた違ったところで「まだまだダメだな」とか「この会社にいて自分は大丈夫なのかな」といったことを考えがちになります。そこで研修を通して、これまでに達成してきたことや、これからやらなければいけないことを整理することで、働く意欲を増強することができますし、更なる成長にもつながります。
初級管理職は、今までメンバーや同僚として働いてきた人たちが、いきなり部下になるということもあり、マネジメントの基本の習得が求められます。具体的には、部下指導、仕事の進め方、リスク管理、労務管理等が挙げられます。特に大切なポイントは、「どういう風に部下を指導し、育てていくのか」という点です。そのためにはプロセス評価の仕方や"ほめ方・叱り方"などの具体的なスキルを伸ばすのが有効です。
その次に、チームを率いて仕事をする方法を、しっかりと学ぶことが必要です。それまでは個人として仕事をすることがメインでしたが、今後はチームを率いる際に必要な準備やプロセス管理のやり方などを身につける必要があります。
中級管理職、つまり課長に求められるものは非常にたくさんあります。日本企業において課長は、"実務統括の責任者"です。まず、課長の職務で最も重要なのはPDCAサイクルを回すことです。仕事を計画し、実行して、そのチェックをし、改善していく。このプロセスを確実に実行できることが、課長に求められる最大のミッションになります。その他にも、人材育成のリーダーだったり、現場におけるリスク管理の中核だったり、新規事業を考えたりすることも課長の仕事になります。とにかく課長は忙しいので、求められる能力やスキルの整理が中級管理職に向けた研修の中核です。
上級管理職、つまり部長は、課長と異なり、経営の代行者として組織全体に関わるリスクから組織を守ることが求められます。次に、前年比3割増し以上の業績を上げること。また、現在の環境を分析し、将来において中核となる仕事、新しい事を組織の中で発見・支援して成果を出すこと。つまり、新しい仕事を作り出すことが求められます。そして、組織をどんな風に作っていくのかという、組織作りも部長の仕事です。
上級管理職の研修で求められるのは、部長の仕事を明確にすることと、研修時間中に、ある程度アウトラインの作り方を覚えていただくことです。こういう研修内容であれば、部長の利益実感も高く、会社に対する貢献も高くなるのではないかと思います。
外部研修の利点は、「組織の中ではなかなかできないことをやらせること」にあります。
例えば、次の通りです。
・「プレゼンテーションの仕方」や「文書を書く」などのスキルを習得させること
・組織ではなかなか話題にしづらいセクハラやパワハラ、コンプライアンス
遵守のような禁止事項を、第三者から厳しく伝えさせること
・"役割認識"など、社内ではトップであっても言いづらいようなことを、内部の
人間の代わりにしっかりと伝えること
加えて、研修の中で、ご自身の考えをまとめる時間を取っていただけることも外部研修の利点です。特に管理職の皆さんがゆっくりと考えられる時間は、日常の業務にはなかなかありません。また、考えをまとめるサポートをする講師や新しい考え方を与えてくれる他の受講者という仲間も普段はいません。そのため、研修の時間を利用して、受講生が考えを深めていただくことができます。
さらに、受講生が元気になる場であることも外部研修の利点です。講師からの動機づけがあったり、同じ受講生で触発しあって、モチベーションや意欲が向上する場にもなります。