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ENERGY vol.13(2024年春号)掲載

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企業アンケートからの現状と課題~リスキリングの現在地

重要度が増すリスキリング教育

企業が直面している人に関わる課題として、採用難や採用コスト、人件費の上昇などがあげられます。新しく採用することのコストや難易度が上がる今、組織で働いている人材をいかに教育し、活躍させるかという点でリスキリング教育は重要なものとなっています。また、人的資本経営推進の面からも、人材に関わる人事施策として「リスキリング」教育は欠かせないものと考えられます。

現状リスキリング教育を実施している企業は約3割

では、現状、企業はどのくらいリスキリング教育を実施しているのでしょうか。2023年10月~11月企業の人事・教育担当者向けに当社が実施したアンケートでは、回答企業67社のうち、実施していると回答した会社は3割となりました。今後実施予定があると回答した企業をあわせると28社(42%)という結果です。実施予定の年齢をみると、40代、50代が多く、現状は以前から実施されていた必要なスキルを学び直す「リカレント」教育の要素も強いことがわかります。

リスキリング教育の必要性は感じている

実施状況ではなく、リスキリング教育の必要性という質問では「年齢問わず必要」という回答が最も多くなっています。実施や検討状況に関わらず、その教育の必要性を感じている人事・教育担当者は多いという結果です。年齢別にみると、実施状況と同様に、年齢が高いほうが必要性があるという結果となっています。

20-30代は思考力、コミュニケーション、40代以上でデータ分析やOAスキル

各年代別での教育したいスキルを見ていくと、各年齢での不足スキルを補うようなテーマが多くあがっています。
年齢を問わず必要と回答した場合の結果を見ても、論理的思考力、対人コミュニケーションが最も多くなっています。年齢が高くなるとOAスキルやデータ分析などのスキルが高くなってくるのが特徴的です。(図1・2参照)

図1:年齢問わず実施したいもの、図2:年齢別実施したいもの

DXを学ばせたい企業と抵抗のあるベテラン

学ばせようとする一方で、従業員側には抵抗があるように見受けられます。当社が各企業からの要望や課題を聞く中で感じるベテラン社員の意識は、「ITスキルはすでに十分にあると思っている、今のやり方を変えるつもりはない」というものや「ITへの苦手意識がある」、「ついていけないと感じる」などが多くなっています。新しくスキルを学んでほしい企業側の想いとは裏腹に、ベテラン社員側はそれほど意欲的ではない傾向にあります。(図3参照)

図3:ベテランのリスキリング(特にDX)に対する不安・反発

リスキリングと並行しキャリア教育が重要となる

今回のアンケート結果や昨今の状況から、リスキリング教育自体の定義がまだあいまいで、通常の階層別教育やスキル強化の教育と混在してしまっている状況がうかがえます。まずは、自組織でのリスキリング教育の再定義が必要となるでしょう。
また、今回のアンケート結果から、各企業が抱くキャリアやリスキリングでの課題としては「従業員の学ぶ意欲の低さ」「管理職候補の不足」が最も多くあがりました。企業内での既存の教育に加え、新しくリスキリングによって個人のモチベーション向上へつなげていくこと、並行してキャリア教育を実施することが重要となります。

文/矢野 由香里

株式会社インソースクリエイティブソリューションズ執行役員。九州大学文学部卒。情報誌の編集職、市場調査会社の企画職等を経験し、2015年入社。コンテンツ開発職としてこれまでに1000件以上の研修テキスト作成に携わる。お客さまの様々な要望に合わせたテキストや、新作コンテンツや新サービスの開発を多数行う。2023年10月より現職。

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