2023年4月14日
働き方の変革とともに、採用のあり方も変化を迫られています。新卒採用ではなくポテンシャル採用とは何なのか?なぜ導入を行うとよいのか?成功させるポイントや実際に導入している企業の事例とともに解説します。
ポテンシャル採用は、スキルや経験よりも人材の将来性や潜在能力を重視する採用方法のことです。
明確な年齢制限は定められていないですが、第二新卒・20代の求職者を対象としている傾向にあります。第二新卒は、卒業後に就職して3年以内で離職し転職を志す若手求職者のことを一般的に指します。ポテンシャル採用では中途採用のように、スキルや経験を持つ即戦力となる人材を採用するのではなく、将来の活躍が期待できるかを評価基準とすることが多いです。
日本では近年の労働人口の減少により、企業の人材確保はますます困難になっています。特に即戦力となる人材の獲得競争率は高く、人材を確保するのが難しい状況です。このような背景から、中長期的に高い成長が見込める人材を確保するためにポテンシャル採用が行われています。また、既存の採用方法とは異なる、さまざまなバックグラウンドを持った多様な人材を採用する手法としても注目されています。
他でもなくあえてポテンシャル採用を行うと良い理由を3つ解説します。
ポテンシャル採用では優秀な人材を採用できる可能性が高いです。というのも、「より自分を活かせる企業に転職をしたい」という成長意欲を持った人材が応募をすることが挙げられます。他の企業を経験した人材や、画一化されていない採用の結果、今までにいない新しい価値観を会社にもたらしてくれる人材が、会社内で良いアイディア・成果に貢献する可能性は十分にあります。
ポテンシャル採用は、主に20代や職種未経験者が対象となっています。そのため、前職の企業における在籍年数が短く、前職の企業や業界の風土に染まりきっていない特長があります。前職のノウハウや、発想方法、業界知識を活かしつつ、新しい企業に順応できる2つの嬉しい側面をもっているのがポテンシャル採用の特長です。
ポテンシャル採用ではすでに社会人経験のある人材がほとんどです。そのため、社会人としてのビジネスマナーやコミュニケーションスキルの研修や実践を経験しており、初期研修・指導の手間やコストがカットできます。新入社員と比較してより早期の戦力化を望めることがメリットです。
どの採用の方法にも注意点があるように、ポテンシャル採用でも上記のような3つの懸念すべき特長があります。
ポテンシャル採用で採用した人材は実務経験が足りない場合もあります。その際には、業務にかかわる教育・研修を別途行う必要があるため、新卒と異なる教育プランを用意する必要があり、コストがかかってきます。
人事としてはポテンシャル採用1名あたりにどの程度費用をかけるのか、事前に決めておくとコストの無駄が出にくいでしょう。
企業と求職者の間で、ミスマッチが起こる可能性は他の採用方法と同じくポテンシャル採用でもあり得えます。実務やスキルのない求職者から得られる情報は少なく、本質を見抜くのには不十分な場合も。
ミスマッチを防ぐためには、採用したい人物像を明確にすること、そして求職者の本質を見抜くスキルが重要です。
ポテンシャル採用で採用した人材は転職をすでに経験している分、転職に抵抗がない人が出る可能性も否めません。
せっかく採用を行うには長く働いてもらいたいもの。早期退職をしやすい人材を避けるために、選考において転職回数や勤続期間、退職理由、志望動機などをしっかりと確認しましょう。
ポテンシャル採用を成功させるために気を付けたいポイントを4点ご紹介します。
ポテンシャル採用は、人間性や潜在能力を重視する採用ですが、基準が曖昧になりがちです。基準として具体的な項目を設けておくと、採用担当ごとのバラつきをなくしミスマッチを減らせます。例えば、「コミュニケーションが自然」や「挨拶やメールのやり取りが丁寧」「端的に話せる」「分からないことをその場で質問できる」など求める能力を言語化してチェックリストを作成すると良いでしょう。
ポテンシャル採用は即戦力採用とは異なるため、入った後の企業側の教育体制が重要です。社員教育をしっかりと実施することで、早期離職の防止や即戦力育成につながります。社内の教育体制が不足している場合はオンラインの外部研修も活用も検討してみましょう。
求職者の現時点のスキルが足りていなくても、カルチャーマッチしていると企業の方向性に沿った行動につながるため、大きな活躍を期待できます。逆にスキルがあっても、カルチャーに合っていない場合は周囲との連携や協力が上手くいかない場合があり、期待した以上に活躍してもらえないことも。
社風や業界や職種のルールなどがあれば、採用の段階で細かく説明を行うことでミスマッチを防げるでしょう。
採用サイトやSNSなどで、ポテンシャル採用や社風、応募職種の働き方などを広く発信することで、それにフィットした人材の応募につながります。ポテンシャル採用枠で入社した社員の声は特にリアルに働き方を想像できるため、良いコンテンツと言えるでしょう。
ポテンシャル採用を考え始めた企業にとって、世の中に上手くいっている事例はあるのか気になるところでしょう。今回3つの事例をご紹介します。
ヤフーでは、2016年10月から新卒一括採用を廃止し、代わりに経歴にかかわらず30歳以下であれば応募できるポテンシャル採用を通年行っています。これによって第二新卒や既卒者に対して平等な選考機会を創出し、また海外留学生や博士号取得者に対しても門が開きやすくなっています。
IT業界・職種未経験でも挑戦したい求職者向けにポテンシャル採用を行っています。年齢や過去の経験の有無で制限を設けず、企業に興味を持つ求職者やさまざまな背景を持つ求職者の採用を行っています。採用サイトにはポテンシャル採用で入社した方のインタビューもあり、働き方のイメージがしやすいように整えられています。
サイボウズ 和田 武訓 チームワーク総研所長 インタビュー https://jinzainews.net/jinjiguide/teamwork-cybozu2/
リクルートホールディングスは、「就職活動時期はそれぞれが望むタイミングであって良い」「将来を考える時期は多様であって良い」という考えを持ち「通年採用」や「30歳まで応募可能」といった採用方法を行っています。サイト内の表記のされ方は新卒採用となっていますが、実質ポテンシャル採用と言っても良いでしょう。採用フローでも個人の意思や個性を尊重する手法を用いており、時代に対応した採用を行っているのが見て取れます。
リクルート 佐藤 学 Division統括本部 HR本部 HRエージェントDivision Division長 インタビュー https://jinzainews.net/jinzaiguide/r-agent/
今回ポテンシャル採用の意味や背景、導入の際のポイントや事例など広く解説してきました。生産年齢人口が減っている中、従来と同じ採用方法だけでは頭打ちになってしまうでしょう。対策方法として若手の採用手段にポテンシャル採用を含めることで、多様性や能力の高い人材の採用が見込めます。今回ご紹介したポイントを踏まえつつポテンシャル採用の導入を視野に入れてみるとよいでしょう。
配信元:日本人材ニュース
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