広報・IRの仕事とは|仕事内容・やりがい・心構えなど
2019.03.11
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広報・IR業務とはどんな仕事なのか、皆さんご存知でしょうか?本日は、広報・IRが行っている仕事内容や、求められる心構え、やりがい、大変さなどをご紹介いたします。
広報の仕事内容とは
広報はPublic Relataionsの略語で、その名の通り、Public(=一般の人々)とRelations(=関係性)をつくる仕事です。企業の方針や新商品・サービスについて外部に発信することがミッションです。
広報業務は社内広報と社外広報の2つに分かれます。
<社外広報>
社外広報は「攻めの広報」と「守りの広報」の大きく2つに分けることができます。
①攻めの広報(マーケティング広報)
企業側から新商品・サービス等の情報をアピールし、企業イメージを高める能動的な広報活動です。プレスリリース(ニュースリリース)の作成や、メディアとのリレーション構築が主な仕事です。
②守りの広報(危機管理対応)
情報漏洩や商品クレーム等で不祥事を起こした場合、その後の対応が重要です。対応の仕方を間違えるとネット上で炎上したり、信用の失墜を招き経営に甚大な被害を及ぼすこともあります。
<社内広報>
社内広報では、自社の新商品・サービス、活動内容を社内報にまとめて社内に向けて情報発信し、情報共有をはかります。紙やWeb、メール等手段は様々です。従業員のモチベーション向上や問題意識の共有、経営層と従業員との認識の相違なくすことを目的にしています。
広報と広告の違いとは
広報と広告には、明確な違いがあります。主な違いは以下の表の通りです。
広報 | 広告 | |
---|---|---|
掲載方法 | 報道・記事 | 広告・CM |
掲載決定権 | メディア | 広告主 |
情報の特性 | 客観性 | 主観性 |
情報の信用性 | 高い | 低い |
メディアに払う掲載費 | 無 | 有 |
コスト | 低い | 高い |
広報の場合、メディアが価値のある情報であると判断したら報道し、報道するかどうかはメディアが決めます。一方で広告は、メディアにお金を払って新聞やCM等のスペースを買って宣伝してもらいます。
広告の場合、広告主の意図を反映させやすいですが、広報の場合いつどのように取り上げてもらえるかはメディアにゆだねられています。
IRの仕事内容とは
IRとはInvestor Relations略で、株主や投資家に対して、企業の財務状況等の情報を開示します。したがって「投資家向けの広報」と言うこともできます。IRは広報部に配属されることもありますが、決算等で数字を扱うため財務・経理部が担当することもあります。
また、近年ではネット取引の利便性の高まりから、個人投資家向けの広報が盛んに行われるようになってきました。
IRの仕事内容には、以下のようなものがあります。
①株主総会の運営
株主総会では、会社の重要事項(定款変更、解散、合併、取締役・監査役の選任・解任等)を決議します。決議は通常、株主の多数決によって決定されます。
②有価証券報告書の作成
有価証券報告書(有報)とは、上場会社など、有価証券を発行している企業が自社の情報を開示するために作成します。金融商品取引法により、作成・提出が義務付けられており、事業年度終了後3カ月以内に金融庁に提出します。
③決算短信の作成
決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた書類です。証券取引所が上場企業に対して決算短信の作成を要請し、決算後45日以内(30日以内が望ましい)に決算短信を開示することが適当とされています。
④IRサイトによる情報発信
自社のHPにIRサイトを設けIR情報を発信することで、個人投資家が情報にアクセスしやすいサイトを運営します。HPで情報を発信することで、タイムリーで細かな情報まで発信できます。また、ページのデザイン性を高めたり、動画による情報発信をすることで個人投資家にもわかりやすい情報を伝えることができます。
広報・IRに求められる心構え
(1)会社の信用を背負う仕事
会社のHPで公開されているニュースリリースの情報に間違いがあれば、会社としての信用下げてしまいます。逆に正しい情報を適切なタイミングで公開し、会社としてのイメージがアップすれば、会社の売上向上にもつながります。
(2)年間計画が広報・IR業務の始まり
広報・IR業務を円滑に進めるためには、まず年間スケジュールを把握することから始めます。決算月等組織によっても異なりますが、以下の上場企業3月期決算の場合の年間スケジュールを見てみましょう。
<年間スケジュール(3月期決算企業の場合)>
月 | 内容 |
---|---|
4 | 決算発表準備開始 決算発表説明会準備 |
5 | 決算発表 決算発表説明会 株主総会準備 役員人事発表 |
6 | 株主総会 有価証券報告書作成 |
7 | 第1四半期決算発表 |
8 | 決算発表説明会 |
9 | |
10 | 中間決算発表説明会準備 |
11 | 中間決算発表説明会開催 |
12 | |
1 | 年頭挨拶 |
2 | 第3四半期決算発表 |
3 | 新年度経営方針発表 |
(3)スケジュールを決め、必ず守る
年間スケジュールを決めたら、そのスケジュールにしたがって、やりきります。最初に決めた年間スケジュールをこなすのは大前提ですが、そのスケジュールをアップデートし続けることも重要です。
各部署と密にコミュニケーションを取り、公表すべき情報を集め、いつその情報をどのように公表するか決めて、スケジュールに追加します。
広報・IR担当はスケジュールを確実に進めるために、各部署に先手で準備を促すことが大切です。情報が出てくるのを待っていては後手に回ります。
(4)法令・規則を守る
金融商品取引法で禁止されている不正行為をしてはいけません。金融商品取引法とは「投資家の保護」を目的とした法律です。
・相場操縦行為(相場を人為的に変動・固定させる行為)
・風説の流布(株式の価格を変動させる目的で虚偽の情報を流す行為)
・インサイダー取引(企業の内部情報に接する役員・従業員・大株主・取引先から、重要事実を知り、その情報が公開される前に株式の売買を行うこと)
など、法律で禁止されている不正行為をしないよう常に意識しなければなりません。
また、インサイダー取引を防止するために、株式の発行や株式分割、提携、合併、業績予想の大幅修正などの重要事実を早く市場に公表する必要があります。
(5)数字に強くなる
数字の見方を知ることは、広報・IR業務の基本となります。数字自体は経理部門等が作成しますが、その数字をどう見せるのか考えるのは広報・IRの役割です。
また、数字は投資家や株主との共通言語になるため、数字を聞いたらどのような意味を持つのかわかるようにしていなければなりません。
(6)自社について理解する
広報・IR担当は自社のあらゆる事業を把握する必要があります。投資家や記者から経営戦略、新サービス、商品について質問がきた際に答えられるように事前に情報を把握しておかなければなりません。情報は、自らキャッチしに行くのが原則です。待っていても社内の情報は入ってきません。
また、社内の情報だけ把握するのでは不十分です。自社を取り巻く環境まで把握することで、どのタイミングでどの情報を発信すべきなのかわかります。
広報・IRの仕事、ここが大変
・求められる専門知識が多い
経営に関するさまざまな数字の見方、書類の書き方や申請の仕方など多くの専門知識が求められます。株主や外部の方からすれば知っていて当然となるような前提知識も数多くあり、その知識を常にアップデートする自主的な努力が必須です。
・ミスが許されない、責任重大な仕事
広報・IR業務では経営に関わるような重要な書類を多く作成します。その書類でミスがあれば責任は作成者だけでは取れないかもしれません。広報・IR業務に従事する人には、組織を代表しているという意識が求められます。
広報・IRのやりがい
・安定した企業基盤を作ることに貢献できる
安定した企業の運営には資金が必要になります。多くの資金を得るためにはより多くの人に株主になってもらう必要があります。広報・IR業務を行い、企業についての正しい情報を発信することで、株主を増やすことができ、安定した企業基盤を作ることができます。
・多くのステークホルダーと関わることができる
広報・IR業務では、株主や投資家、取引先、社内の人などあらゆるステークホルダーと関わります。広報・IR業務に従事していなければ接することのできない経営陣や企業のトップにも接することができます。人脈も広がり、それが自分の成長にもつながることも広報・IRのやりがいです。
最後までご覧いただきありがとうございます。広報・IRの仕事には専門知識が求められるのに加えて、業務内容も多岐に渡ります。常に主体的に努力することの求められる仕事と言えそうですね。