コミュニケーション力はどうやって身につければよいのか、 「『できる人』の見分け方・育て方」シリーズの最終回です。
「できる人」の見分け方・育て方(3)
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.書く力を鍛えることで、話す力・聴く力・読む力の全てを伸ばすことが可能になる。
2.書くことは面倒だが、「書く力」はコミュニケーション力アップに欠かせない要素である。
- ■コミュニケーション力
- 先日2013年8月20日のSankei Bizの記事に,昨今の学生の就活力が下がってい ることに関連して,就職を控えた学生にとって必要なのは,何よりも「コミュ ニケーション力」であると述べられていました。そして,その必要な「コミュ ニケーション力」をどうやって身につければよいかが記されていました。 (「内定塾」講師,水本幸太郎氏の執筆記事です。)
- この記事では,コミュニケーション力は,「話す力」,「聴く力」,「読む力」 の3つから構成されると述べられています。ここに「書く力」が要素に含まれて いないことが,私なりのポイントなのですが,この点はあとで触れることにし ましょう。
- ■話す力
- この記事にも書かれているとおり,「話す力」は通常,コミュニケーション力 の最も重要な構成要素と考えられています。就職面接に限った話ではありませ んが,話すことを通じて,相手に自分の主張をうまく伝えられないとコミュニ ケーションは成立しませんから,これはある意味,当然です。
- ■聴く力
- 2番目は「聴く力」です。自分から一方的に話すだけでは,もちろんコミュニ ケーションは成立しません。相手の話すことに耳を傾けて聴くこと,そしてそ の内容を理解して自分の話に適宜反映させることが重要です。 この話す力と聴く力があれば,一応のコミュニケーションは形の上では成立し ます。
- ■読む力
- この記事が興味深いのは,それに加え「読む力」の重要性が指摘されているこ とです。「空気が読める」とか「読めない」というのは,学生どうしの会話で もよく話題に上るようですが,ここで「読む力」とは,相手の質問の意図,真 意をきっちり理解できるかどうかということです。
- 就職面接で,面接官の質問の意図を全く読まず,表層的な質問としてだけ捉え てしまい回答している学生が多いようです。「この面接官は私にいったい何を 聞きたいのだろう」と自身に問いかけないといけません。
- ■書く力が3つの能力の根底に
- コミュニケーションのこの3つの力は,実は私のいう「書く力」と大きく関わっ ています。書く力を鍛えることで,話す力・聴く力・読む力の全てを伸ばすこ とが可能になるのです。
- 口頭で話すだけだと,ICレコーダーなどに記録しているときは別として,あと に残りませんから,ある種の「ごまかし」もできないことはありません。自分 のわからないところには触れず,適当に話していてもその場は繕うことが可能 です。
- ただ,当然のことながら,それでは就職面接のような重要な場でのコミュニケ ーションとしては不足です。
- ■書いて鍛えられる能力
- こうしたオフィシャルな場で話す際には,自分の述べるべきことをある程度は 理路整然と述べる能力が試されています。この力を身につけるためには,やは り「書くこと」が必要なのです。書くことを通じ,構想力と要約力,全体を組 み立てる力を鍛えてやることが重要です。 しかも,書くと自分の文章があとに残りますから"ごまかし"は効きません。
- ■テーマを決めて書く
- あるテーマについて文章を書くという作業は,当然読み手を意識して書かない といけませんから,何が求められているかを「読み」,またそのテーマについ て,これまで一般にはどのように考えられ,議論されてきたのかを調べ(これ は「聞く力」とも関係します),それらを要約的にまとめてから,自分の主張 を展開しないといけないのです。
- 書くことは手間暇がかかり面倒ですが,「書く力」がコミュニケーション力アッ プに欠かせない要素であることを知って頂ければと思っています。