10月のトレンドワード
キャリア・アンカー
キャリア・アンカーとは、人がどのように働きたいのかを決定するうえでの「価値観」を意味します。アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャイン博士により提唱されました。人がキャリアを選択するうえで最も大切にしたいと考える価値観は、一度形成されると生涯にわたって崩れにくく、人生の「錨(anchor)」としての役割を果たしていくと考えられています。
キャリア・アンカーのタイプは以下の8つに分類されます。
①管理職志向 ②職人・専門職志向
③安全・安定志向 ④起業家志向
⑤自律・独立志向 ⑥社会貢献・奉仕志向
⑦ワークライフバランス志向 ⑧純粋チャレンジ志向
従業員のキャリア・アンカーを理解することは、組織内の最適な人員配置を行うためうえでの重要な資料になります。キャリア・アンカーに合っていれば、これまでと異なる環境や職務においても新しい働きがいや前向きな意欲が生まれやすく、職種転換による離職防止効果も見込めます。また、人材育成の観点においても、キャリア・アンカーを知ることは重要です。「何が得意か」ではなく、「どのように働きたいか」を、それまでに築いた価値観から分析し、今後の中長期的なキャリアプランに活かすことで、モチベーション向上やエンゲージメントの強化につながります。
部下のキャリア・アンカーのタイプは、上司が部下との日頃のコミュニケーションや行動観察を通じて理解することがまずは大切です。外部のアセスメントツールを利用して、効率よく把握するという方法もあります。多様化する人材のキャリア・アンカーを適切に把握し、働きやすい職場づくりに活かすことが重要です。メンバーの価値観をふまえた職場活性化によって組織の基盤を強化し、揺るがぬ「錨」のように安定をはかりましょう。
Pick UP
- 役割認識とスキルの棚卸しを行い「今後のやりたいこと」を整理する
- 部下それぞれの特性に合わせた意思疎通の手法を身につける
- 風通し・見通し・一体感をふまえた働きがいのある職場を考える
- 個人の「能力やスキル」に加え「特性(らしさ)」を把握する