10月のトレンドワード
ワークアウト
ワークアウト(workout)とは、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元会長によって1980年代後半に開発された問題解決や組織風土改善のためのメソッドです。価値のない仕事(work)をはじき出す(out)という意味があり、重要な組織改革を強力に推進するための手法として、現在幅広い組織で活用されています。
GEでワークアウトが制度化された当時、アメリカではダウンサイジングと呼ばれる合理化が行われていました。GEではもともとマネージャーと部下との風通しが良くありませんでしたが、リストラが断行されたことで社員の士気はさらに下がり、人は減ったが仕事は減らない状況が続くなど、職場の雰囲気は一層停滞しました。
ウェルチはそのような現状を打破するため、「短期的に問題解決を行い、成果を上げる」「不必要な仕事をスクラップし、官僚主義的体質を除去する」ことを主な目的としてワークアウトを立ち上げました。
■ワークアウトの4つのステップ
①ワークショップ
現場のリーダー達が職場に存在する様々な問題を抽出し、組織変革案を作成する
②タウンホールミーティング(※)
オーナー(立案者)が組織変更案をプレゼンし、経営トップが実行の可否を決定する
③実施フェーズ
他部署を含めた組織内でメンバーを幅広く募った変革チーム(クロスファンクショナルチーム)を結成し、実行に移す
④最終報告会
成果をトップ・幹部に報告する
※「タウンホールミーティング」とは 様々なテーマについて経営層と従業員が直接対話する場のこと。「対話集会」とも。 詳しくはこちら
※「クロスファンクショナルチーム(CFT)」とは 詳しくはこちら
ワークアウトと似た活動に、QC(Quality Control)があります。QCは現場単位の品質改善活動であるのに対し、ワークアウトは経営層によってオーソライズされた、より全社的な活動である点が大きく異なります。オーナーには変革案を実行するための権限や予算が十分に与えられるため、部署横断で必要な人材を集めやすいなどプラン実行における障壁が少なく、より成功しやすくなります。
また、経営層のトップダウンで行われるTQM(Total Quality Management)と違い、ワークアウトでは現場リーダーや中間管理職がオーナーとなります。自ら企画を立て変革をやり遂げることで、オーナーは組織から評価を得て自信を深めるとともに、リーダーシップ、問題解決力、意思決定力などのスキル向上につながります。変革チームの活動を通じて、現場のメンバーがやるべきこと、改善すべきことを自ら考え実行するため、組織全体に活力、推進力、生産力がみなぎるのも、ワークアウトのメリットです。
社会人の多くは生活の時間の大部分を仕事に費やしています。人生の多くの時間を仕事に費やすのですから、嫌々ではなく、やりがい・面白さを感じながら仕事ができるよう、ジョブ・クラフティングの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。
Pick UP
- 仕事をポジティブにとらえ働きがいを手に入れる
- 関係者の期待に応えるためのコミュニケーションスキルや、安定したパフォーマンスを発揮するためのプロ意識を身につける
- 一人ひとりが主体的に行動し、成果を上げることができる職場づくりにつなげる
- 「風通し」「見通し」「一体感」の3つの観点から、働きがいのある職場づくりを学ぶ
- それぞれの立場でやりがいや達成感を得るためのノウハウを学ぶ