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OJT制度やメンター制度を導入する際、説明会や研修などを実施して、社員・職員に最初の意識づけを行う組織は多いです。しかし、それ以降は特に手を施すことなく、そのまま現場任せにしてしまっている組織も少なくないように思われます。それでは、せっかく導入した制度も形骸化してしまいがちです。
この場合に有効な手段は、1年毎に“振り返り”を行うことです。意外に、この“振り返り”を行っている組織は少ないのですが、この“振り返り”がポイントです。具体的には、アンケートを実施して1年間の活動を通じて、改善したほうが良いと思った点や良かったところなどを回答してもらいます。得られた回答をまとめ、制度として改めるべき点や他の人にも真似をして欲しい点をリストアップして、組織内で共有しましょう。
例えば、OJTのトレーナーを担当した人に対して、"これからトレーナーになる人へのアドバイス"のような、具体的な回答が得られる設問を設定するのがコツです。
そうして得た改善点や真似すべき点を、次年度の活動に活かすようにすると、制度自体の改善にもつながり、組織全体の制度に対する意識向上にもつながります。この“振り返り”を毎年繰り返すことによって、制度の浸透、定着が図れます。
また、OJTやメンターを育成担当者任せにしてしまうと、育成担当者の負担だけが増加し、かえって育成を担当している若手社員の成長の妨げになりかねません。新入社員をはじめとした若手社員が育つためには、人事部門・管理職及び職場全体が育成担当者のサポートを行う必要があります。“振り返り”はOJT制度やメンター制度を現場任せにしないためにも有効な手段となります。
アンケートで得られた回答をもとに、若手社員や新人が苦手としていることや、うまくいかないことに対して研修を行ったり、業務改善を行ったりなど、様々なフォローができるのも、“振り返り”の良いところです。