第6条 テキストで新人に安心を
新人研修テキストの重要性
新人研修の課題は、「自立していない若者」をどう教育するかということに尽きます。そのため、以前にも増してテキストの重要性は高まっています。
昨今の新人は、「勉強熱心でまじめであるが"知恵"に欠ける」と言えるでしょう。 以前は「業務を見せ」「やらせてみて」「理解を確認する」という OJTを教育の基本に据えていましたが、最近の傾向としてOFF―JT(OFF the Job Training、いわゆる研修)を先行させ、その後でOJTという流れを取らないと、ついてこれない若者が増えています。
あくまで私の経験則ですが、近年の若年層の傾向として「机上で教えられた」という実感がないと、「聞いていない」と感じる傾向が強くあります。まず、テキストで体系的な知識の整理を行い、その後でOJTにより各人に合わせた指導を徹底することが求められます。
自社のテキストor市販のテキスト?
研修を内部で行う場合、テキストをどうするかということが大問題です。自社にテキストがあれば別ですが、新しくつくるとなると非常に手間がかかります。自社でつくらなくても、市販のテキストを使うという選択肢もあります。ビジネスの常識を身につけるマナーや接客や、IT系・C言語やJAVA・データベース・ネットワークなどは市販のテキストでも良いものが出ていますので、敢えて自社でつくる必要はほとんどありません。
市販テキストの選び方
市販のテキストを選ぶ際に注意する点は、以下の3つです。
(1)薄いものを選ぶ!
厚いテキストの方が良さそうな気がしますが、内容が多かったり、複雑すぎるテキストは逆効果です。
研修で受講生に知識を詰め込み過ぎても消化不良に終わるだけですし、現場で使う知識はそれほど複雑でたくさんある訳でもないからです。
(2)図表が多い、分かりやすいものを選ぶ!
最低限、必要な知識を確実に身につけることができるテキストが良いです。
図などが多い分かりやすいものが良いです。
有名なテキストは比較的良いものが多いですが、名前にだまされず、最低限必要なことが載っている比較的薄いテキストがお勧めです。
(3)早く注文する!
良いテキストはすぐに無くなるので、早めに注文して用意しましょう。
研修日間近になり、テキストが無ければ目も当てられません。
自社でテキストをつくる場合の注意点
(1)テキストの分量
インソースでは、JAVAとかデータベースなどのIT系の技術系研修は市販のテキストを使っていますが、それ以外のものは、自社で内製化しています。
また、分量は基本的に1時間で4ページ進む割合で、テキストを作成しています(グループワークをふんだんに取り入れることを前提とした量です)。それ以上の量になると、テキストを読むだけの研修になってしまい、それ以下だと物足りなくなります。4ページぐらいが受講者が退屈せず、かといって忙しすぎずという、ちょうど良い分量でしょう。
(2)テキストの他に用意しておきたい補助教材
- 「業務の流れ」図
新入社員が、仕事の意義や位置づけを分かるような、時系列で仕事の流れをまとめた図が補助教材としてあれば良いと思います。なるべく全体を俯瞰できる内容のもので、紙一枚にまとまったものが良いでしょう。 - よく使う「用語集」
自分達が仕事でよく使う単語については、新入社員が困らないように、「用語集」を補助教材として作るのも良いでしょう。