2023年8月09日
従業員エンゲージメントは、従業員の貢献度を左右する重要な指標であり、企業にとって業績にも関わるため、高めていく必要があります。 この記事では、従業員エンゲージメントについての概要や重要とされる背景、高める方法について解説します。
従業員エンゲージメントとは、従業員が会社に対する理解や信頼を持っていることをいいます。
エンゲージメント(engagement)には、雇用や契約、約束などの意味があり、会社と従業員の双方のつながりを示しています。
従業員エンゲージメントが高ければ、会社に対しての愛着の高さにつながり、貢献度にも影響します。
従業員エンゲージメントは、従業員満足度と混同されやすいですが意味合いが異なります。
従業員満足度は、福利厚生や職場環境、働きがいなど企業に対して従業員がどれくらい満足しているかを表す指標です。従業員満足度が高いことで、従業員エンゲージメントにつながることもありますが、必ずしも貢献度に直結するわけではありません。
従業員エンゲージメントは、従業員と企業のつながりを意味し、企業にとって業績につながり、従業員にとって企業への信頼につながる、双方にとってメリットのある関係性だといえるでしょう。
なぜ従業員エンゲージメントが重要とされるようになったのか、その背景について解説します。
働き方の多様化
働き方改革の推進やコロナ渦によるテレワークの増加によって、働き方は多様化しています。
さらに人生100年時代とされ、終身雇用や年功序列の意識は薄れてきました。入社すれば定年まで働いてくれる方ばかりではなく、従業員は良い条件があれば転職するということが当たり前となってきたため、企業として優秀な人材を確保するために、従業員エンゲージメントを向上させる必要があります。
価値観の多様化
従業員が企業に求めることが多様化していることもひとつの理由です。
これまで企業に求めるものといえば、給料や福利厚生、大企業での安定性などが挙げられるでしょう。しかし近年では、自分らしい生活ができることやプライベートを大切したいなど、ワークライフバランスを重視する人が増えました。また自身の能力を活かせる、スキルアップができるなど、企業に求める価値観が多様化しているのです。
コロナ禍によるコミュニケーション不足
コロナ禍によりテレワークが取り入れられるようになり、従業員同士のコミュニケーションが不足して従業員エンゲージメントが低下しているといった背景もあります。
テレワークは、ワークライフバランスを向上させるメリットがある反面、コミュニケーション不足の原因となり、会社に対する不満や問題を一人で抱えてしまうリスクが高まります。誰にも相談できない、会社側も課題に気付けないといった懸念点もあり、コミュニケーションの大切さが再認識されています。
従業員エンゲージメントを高めることで企業が得られるメリットをご紹介します。
組織の活性化につながる
従業員エンゲージメントが高ければ、会社への信頼や愛着から、組織の活性化につながります。従業員が会社に対して不満や悩みを抱えていては、業務の生産性が悪化し、離職のリスクも高まります。前向きに業務に取り組めることで業績の向上へとつながります。
社員のモチベーションが向上する
従業員エンゲージメントは、モチベーションにもつながります。会社に対しての理解や信頼が深まれば、業務内容にも意義を持ち、モチベーションを維持しながら取り組めるようになります。
離職率の低下につながる
従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上すると、会社への愛着や信頼感があるため、離職率は低下します。離職率が低下すれば、人材の採用や育成のコスト削減も可能になります。
生産性が向上し業績アップにつながる
組織が活性化して、社員がモチベーションを持ちながら業務に取り組むことで、生産性が向上します。さらに離職率が低下すれば、業務が停滞することなく、企業内で従業員が成長を続けていけるため、結果的に業績アップにつながるでしょう。
従業員エンゲージメントを高める方法を7つご紹介します。
従業員エンゲージメントの現状を把握する
現状の従業員エンゲージメントをまず把握して、従業員が抱える不満や悩みなどを可視化させることがポイントです。
従業員への質問内容を検討してWebツールや紙ベースなどでの調査や、外部に委託するなどの方法で現状を把握します。調査結果を見て表面化していなかった課題に気づけ、施策の必要性や効果的な施策のヒントになるでしょう。
企業ビジョンを従業員へ共有する
従業員に企業ビジョンを共有します。
企業が描く将来の展望や方針を理解してもらい、従業員が日頃行っている業務の意味や自身の役割を意識しながら業務に取り組むことで、仕事のやりがいにつながります。
社内のコミュニケーション方法の改善を行う
従業員同士のコミュニケーションが薄れてしまうと、従業員エンゲージメントの低下につながります。
テレワークをしている従業員が孤独に感じてしまわないよう、定例日にはオフラインでの会議をする、誰でも利用できる休憩スペースを設けるなど、コミュニケーションを図れる対応策が必要です。
多様な働き方に対応する
従業員一人一人の能力や家庭環境などを考慮して、多様な働き方に対応することも大切です。
たとえば、家族の介護や自身の通院などが必要で、定時まで働けない方のためにフレックスタイム勤務を導入するなど柔軟に対応できれば、継続して勤務できる従業員が増え、従業員エンゲージメントも向上します。
福利厚生を見直す
福利厚生は、企業が従業員に対して提供する施策や取り組みです。
福利厚生が充実していると従業員は働きやすさを感じ、満足度だけでなくエンゲージメント向上にもつながります。従業員の生産性を高めることに加えて、人材を確保するための取り組みにもなり、企業にとっては経営戦略のひとつになります。
資格取得などトレーニングの場を設ける
資格取得などの能力開発を支援する制度を設けることも、従業員エンゲージメントを高めます。
福利厚生の一環として支援できる制度や、会社がトレーニングの場を設けることで、従業員は成長の機会を得ます。自分自身の成長や、成長することで会社へ貢献していることが実感できると従業員エンゲージメントの向上につながります。
正しい人事評価を行う
従業員エンゲージメントを高めるためには、正しい人事評価が必要です。
正しい人事評価とは、明確な判断基準があり従業員もそれを理解していること、人としての好き嫌いではなく成果を公平に判断しているかがポイントです。
従業員エンゲージメントとは、従業員の会社に対する理解度や愛着、貢献度などを表す指標です。企業として優秀な人材を確保することや人材が成長していくために、従業員エンゲージメントを高める施策は欠かせないでしょう。
配信元:日本人材ニュース
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