ENERGY online

ENERGY vol.02(2020年夏号)掲載

PICKUP

コロナ禍で結果的に出現した「フェアに戦う環境」で成果を競う

ダイバーシティ時代を象徴する「女性リーダー」の台頭

コロナ禍における混乱の中で注目されたのは台湾、ドイツ、ニュージーランドをはじめとした女性リーダーの活躍です。(図表1参照)

「決断力」と「細部への丁寧な説明」が国民の信頼と世界の注目を集めました。能力の高い人物がその性別や性的指向で淘汰されず、公平にトップに選ばれる環境がある国(組織)は危機にも強いことを示唆する、まさにダイバーシティ時代を象徴するニュースとなりました。

「不要不急」から「緊急必要」のダイバーシティ推進へ

ダイバーシティ推進の本質は、多様性の実現による組織の業績向上です。しかし現場では、制約や事情を持ち働く人の救済施策と見る向きが強く、取り組みが進まないのが現状でした。今回、コロナ禍により意図せずリモートワークが浸透し、多様な人と働き方で業績を上げざるを得ない環境に直面することとなりました。アフターコロナ・ウィズコロナ時代、ダイバーシティ推進は「緊急必要」の施策となったのです。

リモートワークがもたらした、よりフラットに、よりシビアになる評価

図表2のようにコロナ前後では、リモートワークの浸透が働き方に対する組織の考えを大きく変えています。

今回、急遽リモートワーク体制に移行して明らかになったのは、同じ制約下でも成果を出せる人材とそうでない人材に分かれるということです。

リモートワーク下では、働くうえでの事情や制約に関わらず、等しく時間あたりの成果がシンプルに問われます。多様な働き方を受容する組織で何よりも必要となるのは「個」の仕事力です。

加えてリモートワーク下では、残業は労務リスクかつコストとなります。残業はスキル不足をカバーする余剰の時間ではなく、成果を出せる人材が承認をもって得る一種の権利であり、意識して仕事力の向上に努めなければスキル格差は広がる一方となるでしょう。

バイアスを打破しリアルスキルを獲得せよ

成果をもって報酬を得る時代において、リーダーの役割は部下の仕事力を高めることです。部下の雇用を守り、会社を存続させるためには、組織から必要とされる人材を育成する必要があります。

部下の仕事力向上を実現するうえで必要な視点は、「アンコンシャス・バイアス(※)の打破」と「リアルスキルの獲得」の2点です。まず、「アンコンシャス・バイアスの打破」は、個を見るマネジメントの実践です。『女性だから管理職は荷が重いだろう』『シニアは新しいことに挑戦しないだろう』といったバイアスを発見し取り除くことで、個々の強みを最大化するタブーのない業務采配が可能になります。

次に、組織成長に直結するリアルスキルを獲得させることです。往々にして部下育成は、現場で今役立つスキルの教育が優先されます。しかし、それが必ずしも企業の拡大・成長に必要なスキルと合致するとは限りません。問題解決や強烈な業務推進につながる成果を出すためのリアルスキルを、リーダーが提示し、獲得させる場づくりを行う必要があります。

アンコンシャス・バイアス:無自覚の固定観念・決めつけのこと

未来を見据え教育投資を継続する

アフターコロナ・ウィズコロナ時代は、ダイバーシティ推進による業績向上を加速させる転換期と言えます。ダイバーシティ推進の現在地を理解し、未来を見据えた人材育成に取り組むことで、コロナ禍によってもたらされた働き方の変化を好機にすることができるでしょう。

関連サービスのご紹介

本コラム掲載号の記事一覧

2020 SUMMER

Vol.02 リーダー渇望

Vol.02は、組織の新たな未来を描いて実現に導く「リーダー」がテーマです。アフターコロナ・ウィズコロナ時代、組織が生き残るためには、環境変化への即応や最適化が急務となっています。特に主体的に判断し、行動できる強いリーダーの存在こそ、危機を突破する力になります。

Index

ENERGY最新号はこちら

2024 SUMMER

Vol.14 使えるアセスメント

vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。

Index

ENERGY.online
コンテンツ一覧に戻る

似たテーマ・関連テーマの記事一覧

最新作・ニュース

新卒採用募集中
  • WEBins
  • モンシャン