2018年1月30日
東京商工リサーチの調査によると、2017年に希望・早期退職者を募集した上場企業は25社で、5年ぶりに前年を上回ったことが分かった。
2017年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は前年の18社から7社増加した。「人手不足」が深刻さを増す中で、希望・早期退職者を募った上場企業数が5年ぶりに前年を上回った。
2017年に希望・早期退職者募集を実施した上場企業数が前年を上回ったことについて東京商工リサーチは「業績不振から人員削減に踏み切った企業に加えて、業績が好調な時に将来のビジネス展開を見据えて既存事業の構造改革を進めるといった、"攻め"のケースも増えていることによる」と指摘した。
さらに、「有効求人倍率が高水準に推移し、転職が比較的容易になった雇用環境の緩和も組織スリム化の追い風になっていることも見逃せない」としている。
募集人数は3087人で、前年(5785人)から減少した。
2000年以降で募集企業が最も多かったのは2002年の200社で募集人数も過去最多の3万9732人、次いでリーマン・ショック後の2009年に191社(募集人数2万2950人)。 円安が進行して大手企業の業績が好転した2013年からは減少傾向をたどり、前年は調査開始以来最小の18社にとどまっていた。
2017年の募集企業25社を産業別に見ると、日立国際電気、ジャパンディスプレイ、ウシオ電機など電気機器が8社で最多だった。次いで小売が3社で続いた。
個別企業で募集人数が最も多かったのはニコン(グループ会社を含む)の1000人(募集)。次いで、スズケン(グループ会社を含む)の350人、みらかホールディングス(グループ会社を含む)の350人、ジャパンディスプレイの240人、スリーエフの180人など。
募集(応募)人数が100人以上になったのは8社で、前年と同数となった。
東京商工リサーチでは今後の動向について、昨年秋のメガバンク3行による店舗の統廃合や人員スリム化方針の公表に注目して「今後も業績にかかわらず、企業競争力を高めるための人員の適正化や、新たな事業参入に向けた既存事業の見直しなど、次の事業展開を視野に、人員削減に踏み切る企業が続く可能性もある」と指摘した。
同調査は、1月18日公表分までの資料に基づき、2017年に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。
配信元:日本人材ニュース
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