オンラインコミュニケーションでの工夫とは? ツールごとに気をつけたい6つのポイント
2022.03.22
- ビジネス
近年、テレワークなどの働き方の多様化に加え、メール以外のコミュニケーションツールが発展しています。 そのためオンラインコミュニケーションは、組織内の情報伝達やお客様とのやりとりに活用されており、仕事上の重要なスキルのひとつです。
しかし、オンラインコミュニケーションの普及にともない、情報の伝達不足や誤解によって思わぬ手戻りが起きたり、情報が届いているのかがすぐに分からないため確認作業が多くなったりと様々な課題が生じています。
ここで、「オンラインコミュニケーション」とは、インターネットを介して行われるコミュニケーション全般のことを指します。そのうち、仕事においてよく使用されるウェブ会議など映像を用いて行われるビデオでのコミュニケーションと、文字情報で行われるチャットでのコミュニケーションを取り上げます。まず、オンラインコミュニケーション一般の特徴・コツについて解説したのち、ビデオとチャットでのコミュニケーションにおける特徴・コツについて解説していきます。
オンラインコミュニケーションとは
オンラインではコミュニケーションのあり方が対面と異なります。なぜなら、オフィスでの対面のやりとりは常に、基本的に同じ空間・時間を共有することができるのに比べ、オンラインにおいてはそれが必要な時に限られるからです。 そのため、オンラインでは、意図や目的がより明確になり、また、雑談などのカジュアルなやりとりが自然には起こりません。
オンラインコミュニケーションは、まず公開型と非公開型という軸で分類できます。
公開型とは、組織内の人なら誰でも、どんなやり取りをしているかがわかる、みえるコミュニケーションです。 非公開型は、組織内の限られたメンバーだけがどんなやり取りをしているかがわかる、みえるコミュニケーションです。
次に同期型と非同期型という軸でも分類できます。同期型とは、自分と相手が同じタイミング、時間にやりとりをするコミュニケーションのことを指します。非同期型とは、自分と相手が違うタイミングや時間にやりとりをするコミュニケーションのことを指します。公開・非公開軸、同期・非同期軸を用いるとオンラインコミュニケーションの手段は下図のように分類できます。
オンラインコミュニケーションのメリットとデメリット
オンラインでのやりとりを円滑に、効果的に行うことにより、合意形成のスピードアップ 、効率・生産性の向上 、多様な働き方の実現というメリットがあります。
しかし、こうしたオンラインコミュニケーションにも課題が2つあります。 1つ目は、執務室内で自然に生まれていたやりとりが生まれにくくなること。2つ目は、相手から得られる情報が少なくなりやすいことです。
まず、執務室内で自然に生まれていたやりとりが生まれにくくなる、についてです。 非公開に偏るオンラインでは、執務室内で自然と行われたやりとりが少なくなります。 その結果、ちょっとした報連相や、困っている様子を察したり、問題のあるやりとりに介入したり、ちょっとした雑談をすることためには、意識的な努力が必要です。 すなわち、こうしたささいなコミュニケーションを促す環境づくりが重要なのです。
次に、相手から得られる情報が少なくなりやすい、についてです。 対面のやりとりで使用するのは視覚情報(表情や態度など)、聴覚情報(声色や口調など)、言語情報(発言内容や文字内容など)です。 しかしこれらの情報は、オンラインにおいて不足しがちです。 そのため、意識的に視覚・聴覚・言語情報を用いたり、コンタクトをとる機会を増やすなどの伝える・受け取る工夫が求められます。
このようにオンラインコミュニケーションが抱える課題を解決するために環境づくりと伝える・受け取る工夫が必要になります。
オンラインコミュニケーションでの工夫のポイント
では、具体的にどのような点に気を付けて環境づくりや伝える・受け取る工夫をしていけばよいのでしょうか。
環境づくりを考えるにあたり「心理的安全性」という要素を中心に考えていきます。 心理的安全性とは、「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できる」という思いが共有されている状態」のことです。
心理的安全性のあるチームは経験や役職に限らず意見が交わされるため、メンバー間の学習が進み、中長期的に生産性が向上することが知られています。 注意点は、心理的安全性は「目的」ではなく「結果」であるということです。日常のコミュニケーションの積み重ねによってできていくので、心理的安全性を高めようとするのではなく、自分が今関わっている相手や、チームが今臨んでいる問題に対して真摯に向き合うことが重要です。
自分のチームに心理的安全性があるのかどうかを考えるときに参考になるのが、4つの不安です。心理的安全性が不足しているチームではこれらの不安が引き起こされます。
1つめは無知だと思われる不安です。 何か発言したときに、周りから「こんなことも知らないのか」と思われるのではないかという不安です。 2つ目は無能だと思われる不安です。これは、自分が失敗したときなどに「こんなこともできないのか」と周りに思われるのではないかという不安です。 3つ目は邪魔をしていると思われる不安です。 自分のせいで仕事が遅れている、進まないと周りに思われるんじゃないかという不安です。 最後はネガティブだと思われる不安です。 これは、自分の発言や行動によってチームの和を乱してしまうのではないかという不安です。
こうした不安を軽減するのは何よりもコミュニケーションの取り方が重要です。 もし、自分のチームの不安を軽減したいと思ったなら、どのようなコミュニケーションが不安を駆り立てており、どのようなコミュニケーションなら不安を軽減できるのか、考え、実践してみましょう。
伝える・受け取る工夫のポイントは大きく3つです。 「意識的にコミュニケーション機会を設ける」と「伝える情報の種類と量を調節する」、そして「情報へアクセスする、アクセスしやすくする」です。
まず「意識的にコミュニケーション機会を設ける」です。 オンラインコミュニケーションは非公開になる傾向があり、ささいなコミュニケーションも生まれにくいです。そのため、メンバー同士がこまめにやりとりできる短いミーティングや、互いの業務状況が確認できるアプリケーションを活用したりして意識的にコミュニケーションの機会を設けましょう。
次に、「伝える情報の種類と量を調節する」です。オンラインでは相手の理解度が分かりにくいため、つい「わかっているだろう」で済ましてしまいます。 自分が伝えたいことを正確に伝えるために情報の種類や量を調整することが重要です。例えば、文字だけでなく図表を用いたり、文章ではなく箇条書きで書くなどといった方法があげられます。自分が受け手の場合は相手が話している内容をわかったつもりで聞き流すのではなく、相手が伝えようとしていることは何かを理解して情報を整理するようにしましょう。
最後に、「情報へアクセスする、アクセスしやすくする」です。 オンラインでのやりとりは、あらゆる情報が日々更新され、埋もれていきます。そのため、自分に必要な情報がないか日常的に確認し、アクセスする意識が重要です。また、自分が情報を発信する立場の時には、後からその情報へのアクセスができるように、情報の分類と整理をしておきましょう。
a. ビデオでのコミュニケーション
ビデオでのコミュニケーションは、同期・非公開に該当します。
ビデオを用いたコミュニケーションのポイントは3つです。
・適切な時間・人数で行う
・アジェンダをデザインする
・ファシリテーションをする
1つずつ確認していきましょう。
最初に、「適切な時間・人数でおこなう」です。ここで気を付けたいことは2つです。 まず、ビデオでは話し合いの時間がつい長くなりがちなため、短く30分を目安に終わらせましょう。 そして、インターネット空間では100人以上の人が入ることもできてしまうため、ウェブ会議に呼ぶ人数は必要最低人数での開催を目指しましょう。
次に、「アジェンダをデザインする」です。これは対面においても重要ですが、オンラインでは「長時間になる」ことや「参加人数が多くなってしまう」などの問題もあり、進行自体が難しくなるので特に重要なポイントです。具体的には5つの要素を決めておくことです。「目的」、「目標」、「進め方」、「役割」、「ルール」の5つです。
最後に「ファシリテーションをする」です。 ビデオでのやりとりでよく起こる、ファシリテーションが必要になる3つのケースと対策を紹介します。1つめはずっと沈黙が続き、話し合いで誰も発言しないという状況です。 この場合は、ファシリテーターが「まるまるさん、お願いします」と発言者を指名するのが有効です。 2つめは、話し合いがなかなか始まらなかったり、終わっているのかが曖昧になるような状態です。 この場合は、ファシリテーターが会議の開始と終了を合図したり、時間を設定し、タイムキープするのが有効です。3つめは議論が脇道にそれて、 話し合いたいことが話せずに議論の行先が不透明になる状況です。 この場合は、何のトピックについて話しているか確認したり、議事録を画面共有するなどが有効です。
b. テキストでのコミュニケーション
チャットでのコミュニケーションは非同期型で、公開にも非公開にも該当します。
チャットでのコミュニケーションのポイントは3つです。
・正確に書く
・スレッドに分ける
・リアクションをする
まずは「正確に書く」です。必要なことは2つです。1つ目は「必要な情報を省略せずに書く」です。自分は分かっている内容でも相手は全く知らないことを想定して書きましょう。 2つ目は「事実と解釈を分けて書く」です。どこまでが客観的な事実で、どこからが自分の解釈として話しているのかを明確にしましょう。
次は「スレッドに分ける」です。スレッドとは特定の話題を話し合うために設けられたチャットスペースのことを指します。 スレッドをうまく利用することで、話題が錯綜するのを避けることができ、情報へのアクセスのしやすさが向上します。
スレッドに分けるときに必要なことは3つです。 1つ目は、「1スレッド1トピック」です。経費精算用のスレッドの中で、提案書のデザインなどの関係ない話をしてしまうと重要な情報が埋もれてしまうので、1つのスレッドには話題は1つに限定しましょう。 2つ目は「要点を整理して書く」です。文字で情報を伝えるとき、つい長い文章を書いてしまうので、見出しなどで要点を整理しましょう。3つ目は「過去のやりとりを遡ってから返答する」です。会話の途中から参加した場合、それまでどのようなコミュニケーションがされているのかを確認しないままに発言すると、話題が重複します。そのため、発言を記入する前に、可能な限り過去のやりとりを見てから意見を書くようにしましょう。
チャットでのコミュニケーションのポイント3つ目は「リアクションをする」です。チャットでのやりとりは、相手が自分のメッセージを読んでいるのか、どのような反応をしているのか分かりません。そのため、短い言葉や、「いいね」ボタンでリアクションを返すことをして、自分が読んでいることと、自分のリアクションを知ってもらいましょう。
その時のリアクションはポジティブなものだけでなく、ネガティブなリアクションも正直に返すようにしましょう。ただしチャットでは互いに攻撃的になりやすいため、ネガティブな情報では特に「私はまるまると思う」など文体を工夫しましょう。 そして、リアクションの際にはニュアンスを補足するために感嘆符を用いることも効果的です。 もちろんこうした感嘆符などはTPOによって使い分けることも必要です。
映像教材でオンラインコミュニケーションを学ぶ
いかがでしたか?オンラインコミュニケーションの特徴やコツについてつかめたでしょうか?ミテモでは本コラムの内容をより深めて学ぶことのできる映像教材をご用意しております。これからの社会の変化に向けて、オンラインコミュニケーションの仕方を身につけておくことをおすすめいたします。