2020年2月05日
パーソルキャリアがまとめた「doda転職求人倍率レポート」によると、2019年12月の転職求人数は前月比0.1%減、前年同月比6.5%増、転職希望者数は前月比10.6%減、前年同月比1.9%増だった。
転職求人倍率は前月比0.33ポイント増、前年同月比0.13ポイント増の3.14倍だった。12月の求人倍率は例年上昇する傾向にあるが、昨年の転職求人倍率は、2年前の2017年12月に記録した3.16倍に次ぐ高水準となった。
求人倍率の上昇は、転職希望者の減少によるもので、転職希望者数は前月比89.4%だった。一方、求人数は前月比99.99%の横ばいとなった。転職希望者数、求人数ともに前月比で減少したが、転職希望者数の減少幅が大きかったため、求人倍率は前月から0.33ポイント上昇した。
業種別にみると、求人数の前月比は8業種(その他を含まない)のうち「メディア」、「金融」、「小売・外食」、「サービス」の4業種で増加した。特に伸びたのは、「小売・外食」(前月比3.9%増)、「メディア」(同2.1%増)。
「小売・外食」では、飲食店の店長候補の求人が増加した。就業環境の改善のために店舗の社員の増員を図る動きは続いている。前年同月比でも13.1%増と特に求人数が増加している業種で、「サービス」「金融」に次ぐ水準だった。
「メディア」では、新しいマーケティングチャネルへの投資に積極的な企業が多いため、WebマーケティングやPR代理店の求人数が増加した。
【業種別 求人数増加率(前月比)】
小売・外食 3.9%増
メディア 2.1%増
サービス 0.9%増
金融 0.2%増
IT・通信 0.2%減
メーカー 1.4%減
商社・流通 2.9%減
メディカル 4.2%減
その他 1.2%減
職種別では、求人数の前月比は11職種のうち「営業系」、「技術系(電気・機械)」、「技術系(建築・土木)」、「販売・サービス系」、「事務・アシスタント系」の5職種で増加した。特に伸びたのは、「事務・アシスタント系」(同10.3%増)、「販売・サービス系」(前月比3.1%増)。
「事務・アシスタント系」では、一般事務や営業事務の仕事が増加している。背景には、求人倍率の上昇があり、ITエンジニアや施工管理をはじめ多くの職種で採用がしづらくなっているため、業務を細分化し、専門知識が必要な業務はもともとの職種の担当者に任せ、事務作業は新しく採用した事務スタッフに任せることで、業務量の増加に対応しようと考える企業が増えている。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのシステム化により、かつて多かった定型的な事務処理を行う求人は減少傾向にある。
「販売・サービス系」では、店長候補や販売スタッフの求人が増加した。前年同月比でも求人の増加率が2番目に高い職種となっており16.1%増だった。
【職種別 求人数増加率(前月比)】
事務・アシスタント系10.3%増
販売・サービス系 3.1%増
技術系(建築・土木)1.6%増
営業系 0.4%増
技術系(電気・機械)0.4%増
技術系(化学・食品)増減なし
企画・管理系 1.1%減
技術系(IT・通信) 1.3%減
専門職 1.9%減
クリエイティブ系 2.3%減
技術系(メディカル)7.5%減
2020年の転職市場についてパーソルキャリアでは、「求人数は引き続き多い状態が続くが、増加幅はなだらかになる」と指摘する。
「2013年以降、中途採用を強化し、既存事業のテコ入れや注力事業への投資のために増員する企業が多く、求人が右肩上がりに増加する時期が長く続いた。この期間に多くの社員を採用した企業の中には、今年は景気の見通しに対する慎重論もあるなかで、まずは採用した社員の定着や育成に力を注ぎ、既存の人員でより高い成果を出そうと、直近の2~3年に比べると中途採用を慎重に行うところがある」と予想している。
「そのため2020年4月以降は求人数の増加幅がより鈍化する可能性がある」とした。
配信元:日本人材ニュース
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