2022年2月16日
東京商工リサーチの調査によると、2021年に早期・希望退職者募集を開示した上場企業は84社となったことが分かった。前年の93社から9社減少したが、2年連続の80社超えは、リーマンショック後の2009年(191社)、2010年(85社)以来。
2021年に早期・希望退職者の募集実施を公表した上場企業数は84社だった。
募集人数は、人数を公表した69社で1万5892人。前年の1万8635人から2743人減少したが、2年連続で1万5000人を超えた。2年連続で1万5000人超は、2002年(3万9732人)、2003年(1万6833人)以来。
最多は日本たばこ産業の2950人(パートタイマー、子会社の従業員含む)。次いで、本田技研工業(約2000人)、KNT-CTホールディングス(HD、1376人)と続く。1000人以上の募集は5社だった。
業種別では、新型コロナの影響が長引くアパレル・繊維製品が11社で、前年(18社)に続き2年連続で最多となった。次いで、電気機器が10社、観光(4社)を含むサービスが7社と続いた。
観光関連(4社)の退職募集は2010年以来。また、コロナ禍で乗客・稼働数の落ち込みが深刻だった交通インフラでも、空運は2013年以来、鉄道も2003年以来の退職募集となった。
2020年にそれぞれ7社だった外食と小売は、21年はともに4社に減少した。両業種とも上半期に集中的に募集し、外食は緊急事態宣言が全面解除された10月以降の募集はなかった。
【業種別 早期・希望退職者の募集実施を公表した上場企業数 上位10業種】
1位 アパレル・繊維製品 11社
2位 電気機器 10社
3位 サービス 7社(うち観光4社)
4位 運送 6社
4位 食料品製造 6社
6位 自動車関連 5社
7位 外食 4社
7位 化学 4社
7位 卸売 4社
7位 小売 4社
7位 機械 4社
募集企業の直近本決算の当期損益は、56.0%(47社)が赤字だった。
アパレル関連は、各社の募集発表直近で11社すべて赤字。サービス業でも、観光4社はいずれも赤字だった。外食も実施の4社はすべて赤字。また、空運・鉄道の交通インフラ5社もすべて赤字だった。
一方、募集人数1000人以上の5社では、観光のKNT-CTHDを除き、4社は黒字だった。
繊維製品を除く製造42社では、黒字が23社、赤字が19社と黒字が赤字を上回っており、東京商工リサーチでは「"年齢構成是正"や、先行きの需給動向を見通した"先行型"、"製造・営業拠点の集約"などを目的にした黒字企業の募集が散見された」と指摘している。
調査は、早期・希望退職者募集の実施を開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象とした。対象期間は、実施期間が2021年1月1日以降、あるいは応募社員の退職日が2021年12月末までの募集とした。実施期間が2022年1月1日以降の企業は対象外。
配信元:日本人材ニュース
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