「主張」に必要な3つのポイントとは?~プレゼンテクニックの本質を考える
2019.06.27
- ビジネス
多くのビジネスパーソンにとって、仕事上の交渉や面談の場で肝要となるのが、自分の考えをうまく相手に伝えるプレゼンテーションの場です。
お客さまに対する営業プレゼンのみならず、上司への報告、部下への指導など、ビジネスの現場はプレゼンの機会であふれています。まさに、ビジネスパーソンに必須スキルの1つが、プレゼンスキルであるといっても過言ではないでしょう。
どのようにすれば優れたプレゼンができるか、といったコツやテクニックは、多くのビジネス書や研修等で説明されています。しかし実は多くの場合、その本質的な部分についてはあまり語られていません。
そこで今回は、それらのコツの根底にある大前提と、最低限踏まえておくべき注意点について、ご紹介します。
主張するときに確認すべき、3つのポイント ~そもそも、何のためにプレゼンするのか
まずもっとも重要な点は、プレゼンは何のためにしなければならないのかについて、正確に理解することです。
ビジネスのさまざまな局面で、それぞれのプレゼンに期待されている目的を理解しなければならないのは、いうまでもありません。しかし、場面固有のプレゼンの目的に加え、そもそも一般論として「プレゼンとは何のためにあるか」について、しっかりと理解しておく必要があります。
プレゼンは、当然のことながら「コミュニケーション」の一種です。つまり、コミュニケーションは、何か自分の言おうとしていることを相手に伝えるために存在します。何らかの「言いたいこと」が存在するからこそ、プレゼンが求められるのです。裏返して言えば、「言いたいこと」のないプレゼンは、そもそもやってはいけないことになります。
この点は、あまりにも当たり前すぎて忘れられてしまいがちですが、実は非常に重要な、プレゼンの基本中の基本です。優れたプレゼンでは、「自分は何をプレゼンで主張したいのか」が必ず明確に、端的に述べられています。ひとことで伝えたいメッセージをまとめられるかどうか。これが、まずプレゼンで成功する重要なポイントとなります。
「自分は何をプレゼンで主張したいのか」ということを考える際、確認すべきポイントは以下の3つです。
①の主張の内容だけでなく、その主張の②「差別化ポイント」と③「主張そのものの意義」がセットになっている必要があるということです。
例えば自動車メーカーが新製品を紹介する場合、「うちの新しい車は、こんなに良いんです!」というだけでは、①のみに留まってしまいます。「他社の車/従来の車ではできない、〇〇機能がつきました」など、過去や現状からさらに良くなるということを明確にして興味を引くのが、②の差別化ポイントです。それだけでなく、例えば「この車を買うことで、さらに快適な家族旅行が実現できます!」というように、"聞き手にとっての"このプレゼンを聞く意義も明確に示すことで、はじめて「このプレゼンは聞いた方が良いかも」という姿勢になってもらえます。
逆に言えば①のみの、新たな発見や意義がない(と感じられる)プレゼンは、聞き手がそもそも聞く体勢にならず、退屈させてしまう可能性が高いということです。
まずは冒頭で、結論を”宣言”する
ではここからは、この3ポイントを踏まえて、プレゼンを行うときにどういった形で聞き手に伝えるべきかについて、ご説明します。
まず、自分なりの主張を聞き手へ伝える場合の最重要事項は、自分のプレゼンの要点(前述の3つのポイント)を、端的に、プレゼンの冒頭ではっきり伝えることです。
いわば、何の情報も持ち合わせていない聞き手に対し、「私は今からこういうテーマについて、(従来とは違う)こんなことを主張するんですよ」と冒頭で“宣言”します。そうすることで、初めて聞き手はプレゼンを聞く際の焦点を定めることができます。
もちろんビジネスのシチュエーションでは、どんなことをプレゼンターが話すのかについて、ある程度情報が共有されている場合も多々あります。ただそうした場合でも、プレゼンの冒頭は、結論を端的に「私の結論は○○○です」と明快に宣言することが必要です。
聞き手は、その“宣言”を受け、無意識に「自分なら、このテーマはこう論じる」と頭に思い描きます。そして、自分の思い描くストーリーと、プレゼンターの話との異同やその落差に照準を合わせながら、プレゼンターのストーリーを聞こうと努めることになるのです。
結論へのフィードバック
せっかく“冒頭の宣言”ができても、その後の詳細説明に「宣言につながる納得感」がなければ、プレゼンは失敗です。プレゼンに慣れていない方は、わかりやすい説明のために具体的な話から入ろうとしがちなのですが、これはいただけません。
具体的なトピックスが、いったいどんな主張に繋がるのかがわからないうちにディテールばかりを聞かされると、聞き手はわけがわからずイライラします。「それはわかった。でもそれは一体どういった主張に繋がるのだ!?」と訝(いぶか)しい思いを抱きながら、プレゼンを聞くことになってしまいます。そのうち聞き手の集中力が途切れ、せっかくいいことをプレゼンターが主張しようとしても聞く耳を持てなくなってしまいます。
ディテールを述べる際も、それぞれのディテールはどういった自分なりの言いたいことにつながるのか、都度都度、冒頭の宣言にフィードバックしながら進めていくことがコツです。
聞き手は常に集中力を持って聞いてくれているわけではありません。皆さんも経験があると思いますが、プレゼンの興味ある部分はきっちり聞いていますが、必ずしもプレゼンターの話の全てを網羅的に聞いているわけではありません。適当に取捨選択しながら聞いているのです。
「冒頭に主張を述べる」だけでなく、プレゼン全体を通して「主張とのつながり」を明確にすることで、聞き手の集中力を切らせず、宣言した主張をより印象づけることができるのです。
いかがでしたでしょうか。
苦手意識を持つ方も多いプレゼンスキルですが、その中身は特殊なテクニックではなく誰でも身につけられるものです。
相手を納得させ、時には行動変容をも促すプレゼンのために、ぜひ本質を見つめなおしながら、ポイントを確認してみてください。
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