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CSV
CSVとは、Creating Shared Value(クリエイティング シェアード バリュー)の略語で、「共有価値の創造」と訳されます。2011年、アメリカの経済学者M・E・ポーター教授らが発表した考えで、企業が利益をあげることと、社会に貢献することは同時に達成できるという概念を提唱しました。
1850年以前、「市場」は人間生活を豊かにするための社会的な経済システムの一部分でした。その後、商工業の急速な発展で市場は拡大し、次第に経済的利益と社会的問題解決は「利益」対「環境」のような二律背反の関係になります。やがて企業は利益至上主義に対する贖罪の意味を込めて、環境や社会への貢献としてCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)活動を経営戦略に導入するようになりました。
ボランティアや善意活動といった社会貢献が中心だったCSRに対し、CSVはもう一歩踏み込んで社会の課題を解決し、持続可能な世界経済への発展を目指します。自社の強みを製品開発やサービスに使用し、社会課題を解決することで株価を最大化させ、投資家たちを満足させる積極的な経営戦略なのです。
近年、SDGsなど、全世界的に地球の課題に取り組むことが求められています。若い世代ほどその傾向が強く、社会的課題の解決に誇りとやりがいを持っていることも特筆すべきことです。いまや社会的課題に向き合わない企業には人が集まりません。ステークホルダーや投資先としても社会の課題解決の一助を担うことは企業のイメージアップにかなり寄与します。
社会が求める価値をマーケティングし、それを実現するための商品開発やアイデア創出で「今までなかったものを生み出す」クリエイティブな思考や挑戦的な活動が期待されます。
また、激変する地球環境やビジネス環境において、共有できる「価値」は刻々と変わっていきます。先が読めない変化が激しい時代だからこそ、施策と試行を繰り返しながら社会が求める「価値」を自らが創造していくことが求められています。