コンピテンシーとは一般的に、「職務上高い成果をあげている人材の思考・行動特性」のことを指します。
1970年代以降、世界的に認知度が高まっていますが、近年では特に人材育成・教育の分野においてコンピテンシーを活用することが注目されています。
通常の人材育成は、どちらかというと「相対的に成果の低い人材の課題」に注目しがちです。しかし、「コンピテンシーを活用した教育」では、高業績人材(=ハイパフォーマー)の成功要因や思考・行動の特性を分析・モデル化して、その成果を職場全体で再現させるものであるところが、大きな特徴です。
コンピテンシーが注目されるようになった理由として、日本企業が年功序列から成果主義へとシフトしたことがあげられます。知識やスキルがあるだけで評価された従来の基準から、実際に成果を出している人を評価する"新しい基準"が求められるようになったため、ハイパフォーマーの行動特性をモデル化し、以下のように採用や行動の指標として取り入れる組織が増えたと考えられます。
コンピテンシー活用の例
・採用活動
面接の場に取り入れることにより、「応募者が自社に合う能力やスキルを持っているか」が、従来のような"面接官の勘"ではなく、共通の基準で評価でき、応募者の持つ本来の能力を見抜くことができる。
・人材育成
「コンピテンシー」を研修やOJTの指導の指標として利用することで、本人がどのように行動すればよいか、また指導者がどう指導すべきかの明確な基準が確立され、組織全体の行動の質が向上できる。
・人事評価
「コンピテンシー」を行動評価基準として設定することで、それに向けて従業員一人ひとりが目標を設定して評価を受け、成果の出る「具体的な行動改善」に活用できる。
環境や人材の変化とともに、組織も変わっていく必要があります。従来の育成手法や制度が合わなくなってきている組織には、見直しとしてこの「コンピテンシー」の活用を視野に入れることを、ご検討してみてはいかがでしょうか。
「コンピテンシー」を採用や評価、育成などに活用するためには、コンピテンシーを「具体的な行動レベル」に落とし込んで整理したものが必要です。これを、「コンピテンシーモデル」と呼びます。
これは汎用的なものではなく、自組織の成果を出すための、自組織オリジナルの「コンピテンシーモデル」を設計しなければなりません。多くの労力と時間がかかりますが、「コンピテンシー」が組織にもたらす有用性を考えると、十分に労力をかける価値があります。
コンピテンシーモデルの作成にあたっては、まず従業員へのインタビューやアンケートを行うことが必要です。ハイパフォーマー複数名に対して、成果を上げるために必要な心構えや行動とその理由、具体的な仕事内容などを聴き、その共通点を抽出します。対象者となるハイパフォーマーを集めて、ワークショップとしてこの抽出を行うといった方法もあります。
また、特定部署の業務遂行に必要なスキルだけでなく、経営理念や社員(職員)行動規範などに基づいた行動・思考の特性もモデル化する必要もあります。業務遂行面と基本能力面の両方からコンピテンシーモデルを作ることで、より自組織とマッチしたハイパフォーマーの採用や育成に繋げることができます。
コンピテンシーモデルを作成した後は、組織への導入と定着です。せっかくコンピテンシーモデルを策定しても、現場の人材が納得感を持って実際に活用しなくては、意味がありません。
組織に導入するにあたりポイントとなるのは、現場の従業員を巻き込むことです。トップから一方的に制度や基準を押し付けるのではなく、現場の意見や要望を反映する形での浸透が理想です。そのためには、現場のリーダークラスを含んだプロジェクトチーム(推進チーム)を設置し、現場の当事者意識を醸成しながら導入していくことが有効です。
また導入と合わせ、実際にハイパフォーマーを採用・育成する方法についても考えなくてはなりません。採用活動であれば、面接時に応募者の特性を見抜き、自組織のコンピテンシーと合っているかを判断するスキルの習得が重要です。「自社が求める能力を相手が持っているか」を知るための質問の引き出しを増やすとともに、ロールプレイングなどで訓練する必要があります。
また、最近の学生の傾向なども知識として知っておくとベターです。 また育成においては、コンピテンシーモデルという行動基準の策定により、各人材の知能・技能などが現在、どの業務・どの段階・どの特性面で、どの達成度合いにあるかが明確になります。
これらを、どのような教育手法で高めていくかを教えていきます。例えば、実務スキルの定着やPDCAの回し方などに課題がある時はOJT、知識習得やマインド面強化が必要な時はOFF-JTというように、的確な教育手法を選択していきます。
コンピテンシー導入は、各従業員が具体的なアクションプランを立案するきっかけになります。これにより行動変容、従業員のモチベーション向上にもつながります。
人材不足の中で長期的に業績を維持するためにも、ぜひ自組織の「ハイパフォーマー」に焦点を当ててみてはいかがでしょうか。
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