「テレワーク・在宅勤務」の導入で私たちの生活はどう変わる?
2020.05.26
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安倍総理が掲げる「働き方改革」。「働き方改革」は、国民全員が活躍できる社会である「一億総活躍社会」の実現に欠かせないもの。この記事では、「働き方改革」の重要なテーマのひとつである「テレワーク・在宅勤務の促進」について解説する。
「テレワーク・在宅勤務」が登場した背景
パソコンだけでなくスマートフォンなどのモバイルツールの普及によって、どこにいても仕事ができる環境が整いつつある。
例えば、自宅のパソコンで書類を作成しメールで上司に送ることもできる。スカイプやチャットワークなどのコミュニケーションツールを使用すれば、遠隔地にいても円滑に会議を行うことができる。
つまり、ICTの発達により「いつでもどこでも」仕事ができるということだ。このため、毎朝オフィスに出てこなくても、仕事をこなすことが可能。育児や介護などに直面、生活に制限があり、オフィスに来られない人にとってありがたい話だろう。
離職者減に役立つ「テレワーク・在宅勤務」
政府はこれまで育児・介護休業制度や看護休業制度などを整えてきたものの、取得率は低迷中。介護休業の取得率は、古いデータであるが0.06%(2011年度)に留まっている。
育児・介護休業制度の取得率が低迷している理由は主にふたつ考えられる。ひとつは「キャリアに悪影響がある」こと。長期休暇を取ることで、重要な仕事にアサインされる機会を逃すことになり、結果出世が遅れてしまう懸念がある。
もうひとつは「生活難に陥る」こと。育児・介護休業制度による休暇中、企業から給与は原則支払われない。そのため、貯金を切り崩して生活する必要があり、十分に蓄えがない場合、生活難に陥る可能性もある。
こうしたふたつの理由から、育児や介護に直面してもそう簡単には仕事を休めない現状が垣間見える。「テレワーク・在宅勤務」は、育児や介護などの誰もが経験する可能性のあるライフイベントの最中でも働き続けられる制度である。
「テレワーク・在宅勤務」を取り入れた企業
三井住友銀行は、2016年7月末から全従事者の3分の2にあたる約1万8千人を対象に在宅勤務制度をスタートさせた。希望者は、上司に在宅勤務を申請、許可されれば在宅勤務専用の端末を受け取り自宅で仕事ができる。
日本航空や三菱東京UFJ銀行、NTTコミュニケーションズ、トヨタ自動車、日本IBM、富士通などでも「テレワーク・在宅勤務」が導入されています。現在のところ、人材、資金とも余裕のある大企業での導入が中心だ。
中小企業にテレワーク導入を促す助成金も登場
日本企業の98%は中小企業である。「働き方改革」を実現するためには、中小企業にも「テレワーク・在宅勤務」が広がらなければならない。
政府は、中小企業へのテレワーク導入を促すため「職場意識改善助成金」などの“アメ”を用意。テレワーク導入に伴う就業規則の整備にかかる費用や専門家によるコンサルティングフィーなどを助成しており、中小企業にとってもテレワークを検討する絶好の機会となっている。
「テレワーク・在宅勤務」のメリット、デメリット
「テレワーク・在宅勤務」は多様性のある働き方を実現するもの。メリットばかりが注目されがちだが、デメリットも当然存在する。メリット、デメリットを簡単にまとめておきたい。
【メリット】
1.多様性のある働き方を実現
従業員の育児離職や介護離職などを防ぎ、従業員個人が希望する働き方を実現できる。仕事と生活を両立させることが可能となる。
2.優秀な人材を確保できる
従来のように、がむしゃらに働けば輝かしい未来が訪れると思っている人は少ないだろう。優秀な人材ほどこのことに気づいており、仕事の効率化を真剣に考えている。「テレワーク・在宅勤務」は優秀な人材を呼び込む格好の材料となるだろう。また、「テレワーク・在宅勤務」を導入することにより、企業の柔軟性を表現することもできる。
【デメリット】
1.情報漏えいの可能性がある
「テレワーク・在宅勤務」はICTの発達により実現するもの。メールなどにより仕事を行うこととなるが、セキュリティをしっかりと構築しなければ情報漏えいが起こる可能性もあるだろう。
2.強制力が働かない
「テレワーク・在宅勤務」の場合、自宅において一人で仕事をすることになる。つまり、管理する人がいない状態。
このような状態で仕事に集中できる人は限られている。やはり、誰かに管理されているからこそ、仕事がはかどるというものだ。ある経営者は「オフィスに人を集めるのはほかでもない。管理しやすくするためだ」と言っている。
上司の監視が働かないため、よっぽど自律的な人材でなければ「テレワーク・在宅勤務」は難しいという声もある。
「テレワーク・在宅勤務」を利用する?しない?
「テレワーク・在宅勤務」を利用すると、通勤時間が減り、仕事やプライベートに使える時間が増えるだろう。一方で仕事の進捗を自分で管理する必要があり、自律性が求められることも事実だ。
今後、政府の後押しなどもあり「テレワーク・在宅勤務」を導入する企業数は増えるだろう。育児や介護などライフイベントに直面した際、「テレワーク・在宅勤務」のメリット、デメリットを理解したうえで利用を検討したい。
配信元:日本人材ニュース
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