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HRM

HRMとはHuman Resource Managementの略称で、人的資源管理または人材マネジメントをいいます。具体的には、企業の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報のうち、ヒトを最も重要な資源と位置づけ、経営戦略の実現に活かすための人事管理手法です。

■人的資源の活用が注目される理由とは

企業にとって従業員は、もっぱらコスト(人件費)要因として捉えられており、人事の仕事も安定した労働力を確保するために採用や教育、労務管理を行うPM(Personal Management)が主流でした。その発想が転換したのは、1980年代以降です。

なぜヒトが企業の成長の源であるかというと、そもそもヒトがいないと組織のモノやカネを動かすことができず、ヒトが他の資産を有効活用することで組織の利益が生み出されるからです。さらに、他の資源と違い、ヒトは育てることができる唯一の資源でもあります。教育訓練投資をかけて学習させ成長させることを通じて、企業にとって富をもたらす存在、いわば「競争優位の源泉」であると認識されるようになってきたのです。

■アメリカで広まったHRMが日本で注目されるまで

1980年代のアメリカでは、人的資源を最大限に活用するための仕組みとして、HRMのフレームワークが広まりました。採用・育成・評価・報酬の4つの機能を経営戦略と直結させパフォーマンスの最大化を図るミシガンモデルや、組織と従業員との協調的な関係性を維持することでモチベーション向上を目指すハーバードモデルなどが有名です。

日本でHRMが注目されるようになったのは、バブル経済が崩壊した1990年以降のことです。年功序列から成果主義へ移行するに伴い、画一的な教育や横並びの人材登用で成果を上げてきたこれまでのPMは見直され、個々の能力に応じた教育や適材適所の配置で人的資源を有効に生かすHRMへシフトしていきました。

■HRMのメリットとは

これまでの従業員と組織の関係性は、与えられた仕事に対して規定上定められた賃金を受け取るという経済的なつながりが主でした。現在では、両者の間に「心理的契約」が成立することの重要性が指摘されています。HRMによる管理手法は、個々の動機づけを考慮しながら組織目的の達成を目指すもので、従業員と組織との間の相互期待や相互コミットメントが向上し、組織全体の一体感が醸成されると期待されています。

近年では、HRMの手法と一つとして、従業員のスキルや能力を一元管理し適材適所に配置する「タレントマネジメント」が注目されています。タレントマネジメントでは、ハイパフォーマーの発掘や育成がフォーカスされがちですが、効果的な教育によって従業員全体のスキルを底上げすることも、人材資源の有効活用には欠かせません。多くの従業員を、ただ組織に存在するだけの「人在」から、自律的に動いて組織の利益を生みだす「人財」へと成長させ、相互に価値を高めていけるよう、戦略的に育成することが人事の重要なミッションと言えます。

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