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ビジネスパーソンなら必ず覚えておきたい!「労働災害」に関する基礎知識

2020.03.09

  • ビジネス

会社員は経営者と異なり、雇用保険や労災保険などに守られている。したがって、業務中にケガをしても、「労働災害」(業務に起因するケガは「業務災害」、通勤中のケガは「通勤災害」)が基本的に適用され、何らかの補償を受けられる。しかしながら、場合によっては補償の対象にならないケースもある。この記事では、「労働災害」になるケースとならないケースにはどのような違いがあるのか解説する。

そもそも「労働災害」とは何か?

「労働災害」とは、「労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた業務上の災害のことで、業務上の負傷、業務上の疾病および死亡をいう。ただし業務上の疾病であっても、遅発性のもの(疾病の発生が、事故、災害など突発的なものによるものではなく、緩慢に進行して発生した疾病をいう。例えば、じん肺、鉛中毒症、振動障害などがある」(厚生労働省ホームページより)。

「労働災害」を考えるうえで重要なことは2つある。ひとつは「業務遂行中」であること、もうひとつは「業務に起因して受けたもの」であること。この2つを満たしていなければ「労働災害」とはならないため注意が必要だ。

「労働災害」にならないケースまとめ

どのような災害が「労働災害」になるかは、一般的に労働基準法の個別判断になる。ここで紹介する例は、「労働災害」(ここで紹介しているのは「業務災害」)にならない一般的なものだと捉えていただきたい。

1.休憩時間中に同僚とサッカーをしていたところ、ゴールポストに顔面直撃、鼻の骨が折れてしまった

休憩時間中は自由時間であるため「労働災害」にはならない。しかし、休憩時間中にかかってきた電話に対応している最中にサッカーボールが飛んできてケガをした場合は、業務中と判断されるので「労働災害」になる。

2.部署の新入社員歓迎会で飲み過ぎ、急性アルコール中毒になった

基本的に「労働災害」にはならない。しかしながら、この歓迎会が全員参加を強制された「仕事に近いもの」であれば、「労働災害」になるケースも考えられる。

通勤中にケガをした場合は「通勤災害」になる

毎日職場まで一時間以上かけて通勤している人も多いだろう。この通勤時間中に事故に遭い、ケガをした場合も「労働災害」(ここでは「通勤災害」)となる。

「通勤」には定義がある。「通勤」とは、就業に関し、(1)~(3)に該当する移動を言う。
(1)住居と就業場所との間の往復
(2)就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動

この移動を合理的な経路および方法により行うことを言い、業務の性質を有するものを除くとされている(「業務災害」にあたるため)。

しかし、移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合には、逸脱または中断の間およびその後の移動は「通勤」とはならない。

実はここが「通勤災害」を理解するうえでの最大のポイントなのだ。

「通勤災害」になる? ならない? ケース別詳解

さて、定義を踏まえたうえで「通勤災害」とならないケースをいくつか見ていこう。

1.自転車通勤者が会社帰りに病院に寄った。その際、車に追突されケガをした。通った道はいつも通勤に使う道だった

「通勤」とは、就業に関し、住居と就業場所との間を合理的な経路および方法により往復することを意味する。

病院に寄った場合、その経路を逸脱したと考えられるが、日常生活上必要と認められる程度の逸脱であれば、問題ないと一般的に解釈されている。そのため、この場合は「通勤災害」にあたると判断される。しかし、診察時間が3時間に及ぶなど長時間だった場合は、逸脱と考えられる。

2.麻雀好きの営業マンAは、帰宅途中に雀荘に寄った。2時間ほど麻雀を打った後、いつもの帰り道で自転車に追突されケガをした

会社帰りにパチンコや麻雀、飲酒などをエンジョイしている人も多いだろう。これらを終えた後、負ったケガは「通勤災害」になるのだろうか。

結論から言うと、この場合は「通勤災害」にはならない。というのも、合理的な経路から逸脱していると認められるからだ。そのため、会社員として身を守るためには寄り道をせずに帰宅するのがベター。では、次の事例はどうだろうか。

3.帰宅途中、最寄りのスーパーで買い物をした。スーパーを出た後、階段でつまずき、左足の小指を骨折した

この場合、「スーパーでの買い物」という行為が日常生活上必要な行為とみなされるため、逸脱にはあたらないと解釈される。そのため、「通勤災害」として認められる。

「通勤災害」では、合理的な経路を通っているか、そして逸脱していないかが焦点となる。会社帰りに頻繁に長時間の寄り道をする人は、ケガをしないよう注意したほうがよいだろう。

「労災隠し」が認められることも。「労働災害」の知識は社会人に必須

「労働災害」が発生すると、労働基準監督署から指導が入るだけでなく、企業が支払う労災保険料もアップする。そのため、たとえ「労働災害」が起きても届け出たくないという誘惑が企業に働く。

そんなとき、泣きを見るのは労働者。「労働災害」に関する正しい知識があれば、そんな場合でもしっかりと対処できるはずだ。この記事では、エッセンスのみ紹介した。興味があれば各々事例をあたってほしい。

配信元:日本人材ニュース

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