人事担当者の皆さまにおかれましては、内定を出した後、入社まで辞退者を出さないことが一番の気がかりなことと存じます。一方、内定者にとっては、ネット上の情報で他社や他人と比較してしまい、下記のような不安にかられがちです。
「この会社を選んで本当に良かったのだろうか」
「もっと自分に合った会社があったのではないか」
昨今、従業員が安心して働きやすい環境を企業側が整えることは、「エンゲージメント」(絆、愛社精神)を高め、離職を防ぐとして注目されています。エンゲージメントを高めるうえで欠かせないのが、従業員の不安に寄り添う共感力、「エンパシー」です。
そこで本日は、まず内定者の不安に寄り添うエンパシーを感じられるよう、今年の新人の傾向を知っていただきます。そのうえで、内定者の不安を安心に変える「3つの"知る"」についてご紹介します。ぜひ最後までお読みください!
インソースでは、新人研修に登壇した講師からのコメントを分析し「今年の新人の傾向」を発表しています。それによると、2022年の新入社員の傾向は下記のような結果が出ました。
・授業、就職活動とオンラインを活用しており、慣れてはいるが、緊張感に欠ける ・知識を吸収する意欲は高い一方で、教えてもらうことを待つ傾向がある ・「模範解答」「正解」を求める性質があり、自分で深く考える意欲は乏しい印象
例えば、研修中にスマートフォンを触る、オンライン上の画面を鏡代わりに使って髪を整えるなどの行動が見受けられました。オンラインに慣れているとはいえ、学生気分を切り替えて社会人として行動することがどういうことか、少しずつ覚える必要があります。
■何が不安? 内定者の気持ちに寄り添う時に役立つエンパシー(共感力) 最近の若者の傾向を見て、「イマドキの若者は何を考えているかわからない」「自分たちが新人の頃はもっと緊張感があったものだ」と思うことは仕方のないことかもしれません(人は誰しも自分が新人だった頃を忘れてしまうものです)。しかし、もしも自分が、激動のコロナ禍に内定者であったら。そんな風に想像してみたことはありますか?
若者の価値観に同意はできないとしても、いったん「自分だったら」と受け止め、想像してみましょう。コロナ前の社会とは比べ物にならないくらい激変した環境で就活し、準備をしなければならない内定者の心情に共感することがエンパシーのスタートです。
今年の新人の傾向三つ目の、「正解を求めがち」ということからもわかるように、自分の考えが周囲と合っているかどうかを確認して安心する傾向があります。
いわゆるデジタルネイティブとも称される彼・彼女らは、検索エンジンに言葉を打ち込めば正解(と思われる大多数意見)が得られる環境で育ってきました。ネットの情報に一喜一憂し、他者と比較して不安を抱える内定者がいることは想像に難くありません。
周囲の意見や、ネット上の情報ではなく、企業・組織側から先んじて「知って欲しいこと」を発信し、不安を安心に変えていく必要があります。
「未知」への不安を減らす第一歩は「同期を知る」です。
学生時代、慣れ親しんだ環境から飛び出し、新しい世界に飛び込む時は誰しもが不安です。その時、心強く感じることは、同じスタートラインに立つ仲間がいることです。
今まで個人戦で就活を戦いぬいてきたメンバーと、これからは団体戦で同じゴールに向かい汗をかくことになります。
皆さんもご存じのように、同期はこれからの社会人生活を送る上で特別な存在となります。
上司に叱られて悔しいこと、悲しいことがあった際には最良の相談相手となりますし、同期が活躍していれば「自分もやってやろう」と発奮します。
そうした意味で内定者の同期同士のつながりは重要です。会社としても、内定式の後の懇親会など、交流の場を用意しますが、なかなかそれだけでは打ち解けるのも難しいと思います。
ゲームを利用したチームビルディング研修なら、同じ目的を達成するために話し合いを重ね、成果物を創り上げる過程で、自然と同期の人となりを知ることができます。内定者の横のつながりを強化するとともに、協働して仕事を進める体験ができます。
内定者にとって同じ会社で成長を共にする仲間と打ち解けることは大きな安心材料となるでしょう。
同期を知り、横のつながりを深める研修
昨今の不安定な社会環境の中、内定者が自宅からでもオンラインで受講できるように構成された研修もございます。
・内定者研修~同期・会社について知り、入社までの不安を払拭する(半日間)
・(内定者向け)オンラインビジネスゲーム研修~チームワークの大切さを体感する(半日間)
新人に対して、どの企業・組織も新人研修でしっかりと教育されることと存じます。しかし、内定期間中にアプローチをすることで、以下のような効果を狙えます。
・学生から社会人への意識の切り替え ・仕事で必要なスキルにたいしてイメージを持ってもらう ・入社後の新人研修をスムーズに軌道に乗せる
迎える側には、一日も早く社会人としてのマインドを身につけ、スタートを切って欲しいという思いを叶えます。一方、学生側は「教育機会を与えられている」「入社後の実務をイメージできる」という満足感や安心感が得られます。
実務スキルと併せ、最低限のルールを遵守し、組織=チーム全体で気持ちよく、かつ効率よく仕事ができるような知識を得ることも、社会人としての心構えを育てるうえで重要です。
仕事を知り、社会人マインドを学ぶ研修
本年は、こちらの7つのテーマ18講座(各回120分)をオンライン形式で実施します。
(1)内定式に向けた準備 (2)ビジネスメールの基本編 (3)社会人の基礎知識編 (4)パソコンの活用術編 (5)言葉遣いと電話応対編 (6)職場でのコミュニケーション編 (7)入社直前の総仕上げと準備編
こちらのセミナーは、内定式直前の9月から入社直前の3月まで、毎月異なるテーマで複数回開催いたします。
社会人としては先輩にあたる弊社若手社員の「成功及び失敗経験談」を基に、社会人に求められる考え方や、業務に必要なスキルについてお伝えいたします。
離職にも大きく影響するとされ注目されている「従業員エンゲージメント」は、愛社精神といった言葉に置き換えられることもありますが、インソースでは以下のように定義しています。
従業員エンゲージメントとは
①働く人が幸福で ②会社に愛着を持ち ③成果をあげて自社で働き続けたいと思うこと
「働く人が幸福」と言っても、幸福の価値観は人によって違い、定義も異なります。最近では、幸せを測る基準の1つとして、非地位財への関心が高まっています。非地位材とは、収入や地位といった物質的豊かさ(地位材)ではなく、社会への帰属意識や良質な環境などです。
長引く景気の低迷により、地位財は頭打ちの傾向です。多様な人材がともに働くダイバーシティ推進や政府のすすめる働き方改革など、社会的要請として非地位財への重要性が高まりました。また、2020年より本格実施を迎える新学習指導要領には、「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されています※
このような背景からも、社会や人のためになる事業に関わることがモチベーショントリガー(やりがい)である場合もあります。
企業・組織として、生み出す商品やサービスがどんな風に社会の役に立つのかを内定者がイメージできると、大きなやる気につながります。実際のお客さまの感想や、自組織の関わるCSR活動など、WEB上などで発信していきましょう。内定者だけでなく、組織に関わる全ての人のイメージアップにつながります。
もちろん、WEB上だけでなく、座談会や交流会など、一緒に働く人々の様子がリアルに感じられる機会があると良いですね。実際に働いている先輩の生き生きとした姿を感じることで、自身のなりたい社会人像を具体的にイメージでき、入社が現実味をおびていきます。
会社を知ることで帰属意識が高まると、ネット上の不確定な情報に翻弄される危険性を軽減します。「4月からここで働くんだ」と学生がワクワクできるような情報を発信しましょう。
※参考:文部科学省 SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業
https://www.mext.go.jp/unesco/018/index.html
不安というのは「未知」の世界に飛び込むときに必ず出るものです。結婚や、転居時の物件探しなど、人生における重大決心をしなければならない時ほど、「自分の判断は正しかったのか」「もっと良い選択肢があったのではないか」と不安を感じます。
結婚の場合は相手の家族を知る、転居の場合は地域の環境を知る、といったように、知識を得ることで少しずつその準備ができ、これから属する新しい環境に順応していきます。
内定者にとって、就職は初めて迎える人生の一大転機であり、学校から社会への転換期には多大なストレスを感じます。受け入れ側からの発信や教育で、注意深くケアする必要があります。特筆すべきは、最初に申し上げた新人の傾向の1つに、「安心して発言できる環境であればのびのびと個性を発揮し意見を交換できる」という特徴があることです。実際に働いてみなければ分からないことももちろんありますが、会社に上手く馴染めるように、受け入れ側から積極的に働きかけ、フォローしていくことが重要です。
一緒に頑張る仲間、実際に携わる社会人としての業務、そして、ともに業績を達成していく舞台である企業・組織を知ることは、内定者の不安を軽減することに役立つことでしょう。
「ここで本当に良かったのかな」というモヤモヤが「ここで春から自分は働くんだ」に変わるようサポートしていけたらいいですね。
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