Z世代に知ってほしい、上司世代の本音とは~なぜしっくりいかない異世代コミュニケーション

Z世代に知ってほしい、上司世代の本音とは
~なぜしっくりいかない異世代コミュニケーション

突然ですが、貴組織の新人や若手の皆さんは自分の上司や先輩たちとのコミュニケーションはうまく取れていますか?

上司・先輩からもっといろんなことを教わりたいと思っているのに、いざ話してみると、同世代の人と接する時のようにしっくりといかない......と感じるのは、ものの捉え方やコミュニケーションの取り方に大きな違いがあるからかもしれません。

そこで今回は、「Z世代」と呼ばれる新人・若手が、「X世代」や「Y世代」と呼ばれる上司・先輩世代とどうすればもっと距離を縮めていけるのか、世代別の特徴や価値観、さらにお互いの本音を探りながら、よい良い方策をお伝えしたいと思います。

1.上司・先輩世代のバックグラウンドにあるもの

今の新人・若手世代の皆さんが「Z世代」と呼ばれているのはよく知られていますが、それに対して上司・先輩にあたる世代を「X世代」「Y世代」と呼ぶのはご存じでしょうか。

【日本とアメリカでの世代区分の対比】
日本とアメリカでの世代区分の対比

もともとアメリカでの世代区分名称として広まったもので、日本では「団塊ジュニア世代」「ポスト団塊ジュニア世代」「ゆとり世代」といった名称の方が一般的かもしれません。

①X世代(1965~1980生まれ)

<時代背景>
社会・経済の大きな変革の中で、石油危機という不景気を幼少期に経験しているものの、比較的好景気の中で成長した世代です。一方で、バブル経済の崩壊を若い時期に経験し、景気や雇用情勢の急速な悪化を肌で感じてきました。また、ビデオゲームやパソコン、インターネットの普及によって、デジタル技術に親しんだ最初の世代でもあります。

<価値観や考え方の特徴>
長時間労働や終身雇用など、昭和期の労働環境に育った世代であり、組織への忠誠心はそれ以降の世代よりも強いと考えられます。加えて、日本の人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代は、激しい競争社会の中でメンタルの強さも身につけてきています。また、核家族化・少子化が進んだ影響から、自立心の強さや、自分の時間やプライバシーを大切にするなどの個人主義的な考え方を持つのも、X世代の特徴と言えます。

②Y世代(1981~1996生まれ)

<時代背景>
子供時代にバブルが崩壊し、不景気や雇用情勢の悪化の影響を受けた親世代を目の当たりにしています。青年期においても「失われた20年」と呼ばれる景気の長期低迷は続き、就職難に苦労した世代と言えます。一方、デジタル革命の進展とともに育ち、子供の頃からデジタルツールを使いこなすようになった最初の世代です。X世代と比べると、ネットやSNSの活用にさらに抵抗がなくなっています。

<価値観や考え方の特徴>
ネットの活用により海外の文化や情報へのアクセスが容易になったことから、グローバル志向や地球規模の社会課題に対して関心が高いといった特徴が、それまでの世代より強く見られます。また、性別や年齢、人種、国籍などの違いを認めるなど、多様性を尊重する傾向も。そのため、従来の常識にとらわれず様々な意見を取り入れたり、働き方や生き方を自由に考えることができます。

2.上司・先輩世代が好むコミュニケーションの取り方

Z世代にとって、SNSやチャットアプリなどのデジタルツールを活用してコミュニケーションを取るのは当たり前のこと。初対面の相手とは、まずお互いのSNSのアカウントを交換し、"自分を知ってもらう"、"相手との共通項を見つける"ことを通じて、心の距離を縮めていきます。

しかし、X世代やY世代の上司・先輩ともそのやり方でコミュニケーションがすんなり取れるとは限りません。デジタルツールの活用に対して、上の世代より抵抗が少ないとはいえ、Z世代とは少し"温度差"があるからです。どういうことに気をつければよいのでしょうか。

①X世代

できるだけ対面で話すことを重視します。普段メールやSNSも使っていますが、若い頃から"顔の見える"リアルなコミュニケーションを通じて人間関係を築いてきたため、今でも同じスタイルを好む傾向が強いです。
そこで、X世代の上司との関係性を深めたいと思ったら、とにかく職場で積極的に話しかけるのが最も効果的です。リモートでも、メールをした後に電話を入れる、チャットで済ませず通話もすると安心してもらえます。ただし、非効率だと思われないよう、一度で話す内容は短く簡潔に、わかりやすく伝えることを心がけましょう。

②Y世代

X世代よりさらにデジタルツールに対する抵抗は少なく、SNSを通じたコミュニケーションにも慣れています。とは言え、短い文章で発信するTwitterや、"映える"画像や動画を通じて発信するInstagramやTikTokが主流であるZ世代のコミュニケーションと比べると、Y世代はFacebookやブログなど、長文で自分の考えを発信するスタイルに慣れ親しんでいます。
そこで、SNSを活用したコミュニケーションでも、ビジュアルだけで伝わるとは思わずに、言葉を尽くして自分の考えを伝えることを意識してみましょう。多様な考えや新しいアイデアを取り入れ、自分の成長につなげたいと思っているので、後輩からの積極的な発信はきっと喜ばれます。また、チームワークを重視する傾向があるので、仕事の進捗や問題点もこまめに共有し、気軽に相談してみましょう。

3.事例を通じて考える上司世代との付き合い方

①指摘も叱責もしないX世代の上司・Aさん(40代後半)と部下・Bさんの場合

<Bさんの本音>
Aさんはいつも難易度の高い案件を率先して引き受けてくれたり、メンバーからの信頼は厚い。若手の自分にも優しく接してくれる。Aさんから色々と教わりたいが、二人きりなると何を話していいかわからず、緊張してしまう。それに、他の部署の同期は上司からよく指摘をされ、叱られることもあるらしいが、Aさんは何も言ってくれない。このままでは自分が成長できないのではと不安......

<Aさんの本音>
自分の世代は割と上司から叱られて育ってきましたが、今の時代は考え方が変わっているので、同じ指導法ではいけないと思っています。それでも、お客さまに迷惑をかけている場合や、相手に失礼なことを言っているのに本人が気づいていない時など、指摘しなくてはいけない場合はしっかりと言うし、必要に応じて叱ります。つまり、Bさんはこれまで叱らなければならない点は特になかった、ということです。

実は、年の離れた若い人に気軽に話しかけるのは悪いかな、と遠慮していて、Bさんの方から話しかけてくれないかなとずっと待っているんですよ(笑)。普段の会話が増えたら、仕事についても話す機会が自然と増えるかもしれません。

でも、私の時代は、上司から細かく教えてもらうより、自分で考えて動くことの方が多かったと思います。だから自分の部下たちにも、上の人から教えてもらって効率よく正解にたどり着こうとせず、まずは自分で考え抜くことをやってほしいんですよね。それに対してのアドバイスやフィードバックはもちろんしますよ!

②意見を求めて来るY世代の先輩・Cさん(30代半ば)と後輩・Dさんの場合

<Dさんの本音>
Cさんは、日頃からプライベートのことを立ち入って聞いてきたりしないし、後輩の私の言うことも尊重してくれるなど、いい先輩だと思う。でも、仕事を任せる時にいちいち「この仕事を任せてもいい?」とか「他にやりたい仕事はある?」と意見を求めてくるのはなぜだろう。私は指示通りやっているだけなのに、「何か困っていることはない?」と頻繁に聞かれても、別に言うこともなくてつい黙ってしまう......

<Cさんの本音>
Dさんは真面目で仕事もよく頑張ってると思っています。でも最近、私が話しかけるばかりでDさんから何も言ってくれないのが少し気になっていました。私がもっと若い頃は、結構気軽に上司や先輩に「もっとこうしたらいいんじゃないですか」など意見を言っていたし、コミュニケーションを取りながら仕事を進めるのが普通だったんで......。

Dさんが何も言ってくれないと、何か困っているのかな、分からないことがあるのかもと心配になって、これまでつい過剰に聞き過ぎてしまっていたかもしれません。でも、Dさんが何を考えているか分からないのが一番困ります。なので、普段の業務のホウ・レン・ソウの時にでも、気になっていることがあれば何でも積極的に聞いてもらえると助かります。時間がなければメールやチャットでも構わないですから。

さらに、そこからもっと気軽にいろんな意見を交換できるようになったら嬉しいです。Dさんからのフィードバックで私が成長できることもあると思うし、新しいアイデアや技術を吸収し合って、お互いアップデートしていきましょう!

4.最後に~まずは一言でも、上司・先輩に自ら話しかけてみよう!

これまでうまくコミュニケーションを取れていなかった上司や先輩も、実は部下・後輩の方からもっと話しかけてくれるのを待っているということが、お分かりいただけたでしょうか?

仕事の場数を踏んできた上司・先輩の経験や知識と、それに裏付けられた判断力や洞察力を学ぶことは、新人・若手の成長には絶対必要です。なのに、上司・先輩世代に苦手意識を持ってしまい、吸収する機会を持てないでいるとしたら非常にもったいないことです。
逆に上司・先輩の方も、部下・後輩たちからTwitterやInstagramの効果的な使い方を教えてもらって販促活動につなげるなど、お互いの得意なことを活かして高め合う関係を築きたいと思っているものです。

いつの時代も、価値観や考え方の異なる世代とのコミュニケーションは難しいものですが、まずはその違いについて知ることが、建設的なコミュニケーションの第一歩です。そして、違いがあることを認めたうえで、一旦相手の立場に寄り添ってみてはいかがでしょうか。

もし、どうしても受け入れられないことがあれば、率直な意見をぶつけてみましょう。デジタル化やダイバーシティ推進など、様々な時代の変革の洗礼を受けてきた上司・先輩たちとなら、一時的なコンフリクトが生じても、きっとそれを乗り越え協調の糸口を見出していけるはずです。

自分の上司・先輩に対して「何を話していいか分からない......」と不安がらず、何気ない雑談でいいので、まずは一言でも話しかけることから始めてみましょう!きっと喜んで話に乗ってきてくれるはずですよ。

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