5月のトレンドワード
ESG
「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、企業価値を測る指標として注目されています。
2006年に、国際連合のアナン事務総長(当時)が、投資にESGの視点を組み入れることを原則として掲げる国連責任投資原則(PRI)を提唱しました。日本においても、2015年には「世界最大の機関投資家」とも呼ばれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がこれに署名したことを受け、その他の機関でも「ESG投資」が急速に広まりました。また、ESG投資は、2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)達成に必要な資金を供給する仕組みとしても知られています。
長期投資には、直近や過去の実績しか読み取ることのできない財務情報だけでなく、中長期的な戦略やビジネスモデル、重要なKPIなど企業に関する様々な「非財務情報」を考慮した判断が求められます。さらに昨今では、環境問題や社会で起きている出来事によって、企業の業績や持続的な成長性が大きく左右されるケースも多く、年金運用資産の元本割れのリスクを回避するためも、機関投資家には「ESGの視点」が欠かせなくなっています。
企業が多くの投資を呼び込むためには、ESGの視点に基づく経営を行うことが大変重要となります。例えば、環境問題への配慮や社会全体の課題の解決につながるような商品・サービスの提供・開発、あるいは粉飾決算や公表データの偽装といったコンプライアンス違反を発生させないためのガバナンス(内部統制)強化に注力することが考えられます。そのためには、時代に合った新たなアイデアを生み出し実現へとつなげる「思考力」や「企画力」、今まさに起こっていることに対する現場での「判断力」を身につけた人材の育成、業務をブラックボックス化させない「風通しの良い組織づくり」などが求められます。
社会的に評価され、価値ある企業と認められることで、企業に対する株主の満足度や信頼度が高まり、安定した経営を続けることができます。また、人手不足が叫ばれるなか、優秀な人材確保につなげるためにも、ESGの視点に基づき企業価値を高めていくことが肝要です。
Pick UP
- 自社のESG戦略を管理職が具体的活動に咀嚼して自部門に展開する
- 「自ら発想し、課題解決や新たな企画を実現させる」ためのステップを学ぶ
- 時代に合った新たなアイデアを生み出し実現へとつなげる
- 激動の時代に「スピードと集中」で動ける人材と組織をつくる
- コーポレートガバナンスの基本的な知識や考え方を身につける
- 適切な情報が共有される職場環境を整え、「不正の起こりにくい組織づくり」を実現する