2月のトレンドワード
パーパス
パーパス(purpose)とは、元々は「目的」や「意図」といった意味の言葉ですが、ビジネスの分野においては「存在意義」や「志」という意味でよく使われています。最近では、経営戦略やブランディングの指針として、企業がこの社会に存在する意義、すなわちパーパスを打ち出す企業が増えています。
パーパスと似た言葉に「ビジョン」があります。ビジョン(vision)とは経営理念を指す言葉として使われますが、元々は「見通し」や「展望」といった意味であり、企業が将来的に目指す「理想の姿」を対外的に説明するものです。それに対しパーパスは、企業が「今現在あるべき姿」であり、 創業時の強い思いや姿勢がより強く反映されています。それを確実に実行しようという決意表明としてのパーパスには、共鳴する社員のベクトルを揃え、大きな力に変える効果があります。
近年では、多くの企業でSDGsやESGを念頭に置いた事業活動を展開していますが、これらとも密接に関わるのがパーパスです。様々な社会課題の解決に向け企業ができることをパーパスとして表明し、多くの人の共感を呼び込むことは、企業価値の向上や顧客層の拡大、従業員のエンゲージメント強化につながります。特にミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若い人は、世界の環境破壊や人権侵害などの社会問題に敏感であり、 彼ら彼女らの関心に沿うようなパーパスを打ち出すことで、企業の事業活動に対してより多くの賛同者を持続的に獲得できるようになります。これがいわゆる「パーパス経営」と呼ばれる企業戦略です。
幕末から明治の激動の時代に活躍した渋沢栄一は、自身の財産を増やすより、多くの会社を興すことで国を豊かにするという「志」を貫いたことで、日本の近代化において偉大な功績を残しました。渋沢のように、混迷が続く現代においてもブレないパーパスを持てる企業や経営者は、絶え間ない環境変化にさらされても本来の目的を見失わず、社会に対しての存在意義を発揮することができます。進むべき道に迷った時にこそ立ち戻ることができる原点となるような価値あるパーパスを持つことが、経営者だけでなく、働くすべての人にとって求められています。
Pick UP
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- 変化の大きい時代でも前向きに働く
- 岩崎家の4人エピソードから学び、仕事へ取り組む姿勢を考える
- SDGsを含めた経営戦略の立て方、SDGs経営の実現の仕方を解説
- 顧客の抱える「非・不・未」を把握し、課題解決を目指す
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