研修を語る
2024/10/ 9更新
20代向けキャリア研修を語る ~偶然の出会いを活かし、人生100年を充実させる~
◆対談者
◇N.A(テキスト作成部門)
◆M.S(テキスト作成部門)
部署異動に対する抵抗感は人それぞれ
◇N.A
このたび公開講座「20代向けキャリア研修~偶然の出会いを活かし、人生100年を充実させる」がリリースされました。こちらは、20代の方々がどのように自身のキャリアを充実させていくかにスポットを当てた内容です。
今回は、そのテキストを担当させていただいた私と、同じテキスト開発部門のSさんで、研修内容を踏まえながら20代のキャリアについて語ってみたいと思います。早速ですがSさん、入社してからのキャリア変遷について、お聞かせいただけますでしょうか。
◆M.S
ありがとうございます。私は新卒で入社して7年目になります。入社後4年半ほど営業をしており、その時代に池袋から京都へ大きな異動を経験しました。その後はテキスト開発部門に異動して現在に至ります。
営業の頃は、拠点の異動はありましたが、担当エリアに大きな変更はなく、北陸エリアを中心に担当していました。そのため仕事内容の大きな変化は、部署異動後になります。Aさんも部署を異動されていますよね。
◇N.A
はい、私は6年目になりますが、入社時は営業職でした。1年目の秋に異動になり、池袋でSさんと一緒になりました。そして冬にまた異動して、それからずっと現在のテキスト開発部門です。
営業の期間は短かったのですが、当時は車で群馬や埼玉を回っていました。自宅が都内なので、私の場合はそう遠くはなかったですが、Sさんは「京都に行って下さい」と言われて、びっくりされませんでしたか?
◆M.S
実は、二つ返事で「はい」と答えたんです(笑)後日、「普通は受けるにしても、一旦持ち帰る人が殆どだよ」と周囲から驚かれました。ただ、入社した時に異動が多いと聞いていたので、私としては「いよいよだな」という気持ちの方が強かったです。
◇N.A
では、もとから異動に対する抵抗感というのはなかったんですね。
◆M.S
そうですね。転居を伴うのと、異動先が知り合いのいない関西だったので、そういう意味では心配もありました。ただ、大学時代から一人暮らしだったこともあってか、知らない土地に行くことについては「何とかなるだろう」と楽観的にとらえていました。
◇N.A
私だったら「持ち帰らせてください!」と言うはずです(笑)みなさんはどうなんでしょう。異動に対して抵抗感のある人って、半々くらいですかね。
◆M.S
言われるタイミングにもよるかなと思います。私の場合は同期が異動し始めている時期だったので「自分も時間の問題」という心構えができていましたけど、入社直後の仕事に慣れていない段階で、知らない土地に配属されたら抵抗があるでしょうね。そこは人によって反応の別れるところかなと思います。
柔軟に学ぶ姿勢が、新部署で成功するコツ
◇N.A
人によっては異動で不安になったり、モチベーションが下がったりするケースもあるかと思いますが、Sさんは部署を異動した感想はいかがでしたか。
◆M.S
営業の時もテキスト開発部門とはやり取りする機会があったので、仕事の側面は見えていたのですが、いざ入ってみると想像よりも「深い」と感じました。同じ研修という事業でも、営業とは考える視点や頭の使い方、気の使い方まで違うため「頑張らないと」と思いました。
◇N.A
実際にテキストを作ってみて初めて「時間配分はこういう風に決めるのか」「ワークの設計に気を遣ってくれている」みたいなことが分かりますよね。
◆M.S
異動した時は年次的にも新人ではなかったので、部署には自分より若い方もおられました。しかし皆さんの方が経験豊富なので、素直に「わかりません」と言って教えていただきました。そういう働き方の姿勢が、もう一度新人の立場に戻る新鮮さはありますね。
◇N.A
私がコンテンツに異動したのは1年目の終わりだったので、まだ新人の延長みたいな感じで受け入れてもらえました。少し年次が上がってからの異動となると「ここまではできるはず」とハードルが上がる一方で、業務がわからないから周りに教わる必要がありますね。それについて、モヤモヤした気持ちはありましたか?
◆M.S
その点はあまり気になりませんでした。今までの常識を一旦取り払って、柔軟に新しく学ぶ気持ちじゃないといけないなと思ったのと、周囲のメンバーが私の分からないを受け止めて教えてくれたからだと思います。
◇N.A
素晴らしいです。前の部署の経験を活かしつつ、学ぶ姿勢が大切ですね。私はテキスト開発部門では年齢が若かったので、柔軟に学びやすかったと思います。Sさんは、環境の変化がネガティブではなくポジティブに作用している印象を受けました。
◆M.S
そうですね。毎回「大変だな」という気持ちは付きまとっているんですが、「やってみてから考えよう」と思っています。
「やってみる」精神がキャリアを広げる
◇N.A
私は、異動した当時は右も左もわからなくて、若干モチベーションが下がっていました。積極的に「新作をつくろう!」という勢いはなかったのですが、ある時に転機が訪れたんです。コンテンツを開発する部門が立ち上がり、新作を専門で作る機会に恵まれたのがきっかけでした。
「とりあえずやってみて」「やり方は自分で考えて」という、ステップアップのための大きなお題が来て、社長と一緒に新作を作ったりもしました。その当時は気づいていませんでしたが、振り返ればそれが自分の強みと合致していたのだと思います。
◆M.S
思いがけず、良い経験につながったんですね。
◇N.A
もちろん「ええっ、やり方教えてください!」みたいな感じだったんですけど(笑)、上司から「わからなかったらいつでも相談してね」と言われて、相談しながら少しずつ進めました。この経験は非常に大きかったです。
自分のコンフォートゾーンから抜け出す課題が降って来て、最初は「本当にできるの?」と思いましたが、途中から前向きな気持ちになりました。「できないかも」ではなく「なんとかなる」という方に持って行ければ、自分のキャリアを広げることになるんだなと学びました。
◆M.S
自分がその仕事に適性があるかどうかは、実際やってみないとわからないですね。
◇N.A
ちなみにSさんは、入社するとき営業を希望されていたんですか?
◆M.S
いえ、営業はあんまり(笑)
◇N.A
私は営業希望でしたが、実際やってみると「合ってるのかな?」という感じでした。テキスト開発部門に異動した時に「これかも!」と感じました。仕事で大変なことを乗り越えるには、強みと合致していることが大事だと思います。Sさんは、入社時はどこの部署が希望でしたか?
◆M.S
実は最初、テキスト開発部門を希望していました。ただ、「お客さまのことがわからない状態でテキストを作るのは難しいので、志望しているとしても最初は営業になると思うよ」と言われました。なので、営業に配属されたときも、納得していました。
◇N.A
志望している部署とは違っても、それも次のステップへの土台になるという、前向きな考えですね。
◆M.S
社会人になりたてで、自分のやりたいことにたどり着くには、何をしなければいけないのかわからなかったので、それを教えてもらって「そうだな」と思いました。私、営業の人って「コミュニケーション能力が高い」「前向きな明るい」というイメージがあって、自分はそうではないので大丈夫かなと思いましたが、逆にステップを会社から示してもらえたのは有難かったです。
◇N.A
やってみると意外と自分に合っていたりするので、そういう経験はキャリアを積んでいくときには大事だと思いますね。
◆M.S
「ガンガン売ります」みたいな営業にはなれないけれど、丁寧に対応するとか、早く問合せに回答するとか、自分でもできることがあると思いました。それが今の仕事のやり方につながっていると思いますし、その中で強みや特性といった、自分に合うものが見つかっていくのかなと思います。
変化にどう対応するかでその後の道が分かれる
◇N.A
私たちに共通しているのは、異動や何らかの変化を迎えた時に、どう反応するかということが、キャリアの転換点として非常に重要だったということでしょうね。
◆M.S
「こうしたい」という想い通りにはいかない、という前提でキャリアを考えるというのが、今の時代には合っているのかなと思います。
◇N.A
そうですよね。10年先どころか一年先もわからない中で、自分に今できることにしっかり向き合うことが大事だと思います。ふっと心持ちを変えただけで、キャリアが拓けることもありますしね。
特に20代の人は、明確な目標に向かって邁進するのも大事だと思いますが、目標は常に変わるものですから、現在向き合っている仕事にどう取り組むか、外的な要因で起こる変化にどう前向きに対応するか。それが、今の時代に合っている概念かなと思います。
◆M.S
目標がうまく定められない人は、こういう風にありたいという目的を自分で持っておけば、それはどの仕事にも生かせると思います。異動や直面する問題に対しても、前向きにとらえていくことが大切ですね。
注目を集めるキャリア理論、プランド・ハプンスタンス・セオリー
◇N.A
最近、お客さまから「プランド・ハプンスタンス・セオリー※」を取り入れた研修のご要望が多く、新作のテキストでも第三章で大きく扱っています。キャリア戦略は目的(パーパス)あってこそ機能するもので、柔軟に変化に対応しながら進んでいくというのが、今後の社会を生きる20代のキャリアの築き方なのかなと思います。
ちなみに、プランド・ハプンスタンス・セオリーには好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心(リスクテイキング)という5つのポイントがありますが、この中で特に今の20代に「これは持っておいたほうがいい」というものはありますか?
◆M.S
ひとつ選ぶのは難しそうですね。Aさんだったら、どれですか?
◇N.A
個人的には、リスクテイキング(冒険)が大事かなと考えています。新人や若手の中には「失敗したくない」と考える人が多いかと思いますが、私もその一人です。でも、リスクを取るからこそ見えてくるその先、というのがあると思います。
上司からプロジェクトを任せられて「ええ~っ」と(笑)思うかもしれませんが、それを前向きにチャンスと受け止められたら、何か得ることがあります。また、それを周囲が見て評価が高まることで、さらなる仕事につながる「良い循環」が生まれます。新入社員だけでなく少し仕事に慣れてきた2~3年目などは特に、その後どうなるかの分かれ道なんじゃないでしょうか。
◆M.S
自分がやりたい仕事をするには、周りの人に「任せたい」と思ってもらえることが大切で、そこに至るだけの経験や実績を積むには、安全なところだけは通り切れないわけだから、果敢に挑戦してみることも必要ですよね。
ちなみに、私は5つの中でひとつ挙げるとしたら、楽観性ですね。若手のうちは、チャレンジして失敗しても、周りの人がフォローしてくれるし、一回で終わりじゃないです。良くないことを想像するよりも、一回やってみようと楽観的に考える方が私には合っている気がします。
◇N.A
楽観性は、もとから持っている人もいますよね。私は意識して楽観的にならないと、悲観的に考えがちになりますが、新人や若手は過度に失敗を恐れないで、若手のうちに周りを頼りながら成長して欲しいです。
◆M.S
周囲に頼れるのは若手の特権ですからね。
◇N.A
あとは、テキストでも取り上げている「偶然の出会いを自ら作り出す力」も、非常に大事だと思います。与えられた仕事に前向きに取り組んで、様々なチャレンジをする中で人脈が広がり、いいパフォーマンスに周囲からの信頼が集まって、さらに仕事が回ってくる。こういう良い循環が生まれると、より規模の大きい仕事ができるようになると思います。
◆M.S
出会いを自ら作り出すと言うと、自分から誰かに積極的に話しかけて、人脈を作るための活動をイメージする人もいるかもしれませんが、個々の仕事を誠実にやるということが起点ですね。
◇N.A
結局は目の前の仕事への向き合い方が、将来のキャリアに多大な影響与えていると思います。今は20代でも、年齢を重ねると周りが注意してくれなくなり、学ぶ機会がどんどん減っていきますから、今こそ足場固めをしておくべきです。
◆M.S
年を重ねると周囲からの期待のハードルが上がりますが、若いうちだと何かできたら比較的プラスの成長と捉えていただけることが多いので、やはり今のうちが大事ですね。
※プランド・ハプンスタンス・セオリー
1999年スタンフォード大学のクランボルツ教授によって提唱された理論。日本語では「意図された偶然」や「計画された偶発性理論」と訳される。
人生100年を豊かに生きるために20代がやるべきこと
◇N.A
Sさんはキャリアに関するテキストを長く担当されていますが、20代向けのキャリア研修に関して、ニーズの変化を感じておられますか?
◆M.S
少し前までは、自分のキャリアを主体的に考える、というご要望が多かったです。最近では、それに加え、ありたい姿を実現するための壁をどう捉え、乗り越えるかを学ぶご要望も増えています。今回の「20代向けキャリア研修」が出てからは、この研修を全編受けたいというお声と共に、「偶然の出会いを活かす」や「異動を前向きにとらえる」といったキーワードを打ち出した研修を受けたい、というお客さまが増えています。
◇N.A
人事や組織からのメッセージを伝える手段として、研修の中で変化を前向きにとらえるトレーニングはニーズとして多いですよね。
◆M.S
そうですね。ちなみに今回の「20代向けキャリア研修」を開発されたのはAさんですが、お客さまからのご要望がきっかけだったのですか?
◇N.A
以前から「プランド・ハプンスタンス・セオリーをベースにした研修を作って欲しい」というお客さまの要望が、営業を通じて上がっていました。20代キャリアの研修は長らく作っていなかったので、昨今のキャリア観や時代背景など、今の時世に合うキャリア研修って何だろうと考えるところが出発点でした。
その結果、主軸はプランド・ハプンスタンス・セオリー、そしてキャリア形成において様々な所で話題になっている、人生100年を豊かに生きるために、20代で考えておきたいことを組み込んでテキストを作りました。
◆M.S
私たちも20代として共感する内容であり、お客さまが従業員に伝えたいメッセージやニーズも組み込まれていますので、まさに今の20代の方にぴったりの内容だなと感じました。
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