研修を語る
2024/05/21更新
富裕層向け営業力強化研修を語る
富裕層への営業活動に関する悩みとは
―富裕層向の顧客に特化した、営業強化のための研修ということですが、どのような内容のプログラムなのでしょうか
ターゲットとする富裕層のタイプは、エリア・職業・性格等で様々ですが、この研修においては企業の経営者と開業医に対象を絞っています。いわゆるビッグと呼ばれる方やエグゼクティブなどと呼ばれる層であり、本研修ではそのような方々に対して、効果の高い営業アプローチの方法を学んでいきます。そして、そのために不可欠な「富裕層を知る」ことを、コンセプトとして盛り込みました。
特にこの研修では職歴の浅い若手の方や、営業の基本知識が不足している層を受講者に想定しており、自分たちが接触しようとしている富裕層とはどのような人々なのか、接する際に最低限は押さえていなければいけないポイントは何かということについても、しっかりと知識とノウハウを身につけていただけます。
―受講者のターゲットは若手ということですね。その中でもおよそ何年目くらいの社員を対象としているのですか
厳密には定めていませんが、だいたい入社から5~6年目くらいまでの、若手から中堅の前半あたりを想定してプログラムを開発しました。実はこちらの研修は、お客さまからの要望を受けて開発したプログラムなのです。
―そうでしたか。どのようなリクエストだったのですか
今まで一般の顧客に向けて営業をしていた方々が、人員削減などで一人が担当する対象の幅を広げなくてはいけなくなり、富裕層の顧客にもアプローチする機会が出てくることがあります。金融業界の若手ならまだしも、多くの若手・中堅層には、経営者の方に向けての営業活動に慣れておらず、何の知識や準備もないままに接触するとクレームやトラブルに発展しかねません。
経験の浅い営業担当者の不安を取り除きたい、会社として富裕層に対応する際の接客を一定レベルまでは担保したいというご希望があり、「富裕層に特化した営業トレーニングができないか」とご相談いただいたのが開発のきっかけです。
―ニーズから生まれたプログラムということですね。様々な理由で人員削減を検討する企業は多いですから、今後も受講を希望する若手は増え続けるのではないでしょうか。ちなみに受講された方々は、具体的にどのようなお悩みや不安を抱えていらっしゃいましたか
「自分のやり方は、正しいのだろうか」という疑問をお持ちの方が多いです。ほとんどの場合営業担当としてお客様に接する際は、1対1です。そのため他の営業メンバーのノウハウを見る・学ぶ機会がなく、効果的な話し方や共通点の探し方が分からないという方が少なくありません。
また、今まで自分はこれで成果が出せると思って実践してきたにもかかわらず、「どうしても成果が出ない、お客さまと話が続かない」ことが明らかになってきて、自分のやり方は間違っているのだろうかと悩んでいる方もおられます。
特別であることがスタンダードだと心得る
―この研修で得られるスキルやメリットを教えてください。インソースの研修は5章から7章くらいのボリュームの構成が多いですが、こちらは全4章で最後はまとめなので、実質3つのテーマが集約されているということになるのでしょうか
その通りです。第1章で富裕層のリアルな特徴を知り、第2章でそういった方々から求められる営業担当の特徴を理解し、第3章でコミュニケーションのポイントを学びます。この中で、第2章を最も厚くしました。
これは相手がどなたであっても言え、第三者と接するときの基準にもなってきますが、やはりマニュアル通りの対応では難しいということを改めて認識してもらいます。富裕層の方は、特別であることがスタンダードですので、特にここを理解しなくては始まりません。第1章ではお金持ちの特徴をしっかりとつかんでいただきます。
―テキストを拝見すると、とても詳しく富裕層の特徴や意外な攻略ポイントが書かれていますね
ええ、受講者の皆さんも驚かれる部分です。「意外と普通の人が多い」「趣味・好きなもの」という項目は、普通の方々が思っていた富裕層のイメージが覆されるポイントだと思います。この点を頭に入れてもらって、そのうえでメインとなる第2章に進んでいただく流れです。
―私も読んでいて目からうろこでした。こういった部分を理解できていないために失敗している人が多いのかもしれませんね
はい、かなり多くいらっしゃると感じています。「ブランド品で全身を固めている」方は、実はそんなにお金持ちではない可能性があります。本当の富裕層というのは、要所には投資を惜しみませんが、高級品を身につけることがご自身をアピールすることにはならないと思っておいでのようです。意外と自分たちに近い部分や、共感できることもあるのだと怖がりすぎないことが最初のステップです。
営業の原理原則をワークで体感
―研修の核となる2章ですが、ワークが7つもありますね
そうですね。経験を重ねるうちに自分の営業スタイルが良くも悪くも固まってしまう方が多いのですが、それを見直すために有効なワークをちりばめました。自分の活動がうまくいかない理由、他の人が成功している可能性など、情報をお互いに共有することで考えを整理できます。
会社によっては、「営業はライバルだから社内であっても情報公開しない」というケースもありますが、研修の場では全体の利益を上げるために情報の共有は必須だとインソースは考えます。チームメンバーで一緒にワークケーススタディに取り組むことによる効果は非常に大きいです。
―同じ会社の同年代とワークに取り組むこと自体が、良い刺激をもらえたり、反省点を浮き彫りにできたりする機会になるというわけですね
はい、おっしゃるように「他のメンバーの話が聞けてよかった」「成績が伸びている人との違いを痛感した」と、皆さん手ごたえを感じていただいています。営業職は、数字に追われて自分の過去の活動を考える余裕がない方も多いですから、有意義な振り返りになるのではないでしょうか。
―この2章に「求められる担当とは」というワークがあります。受講者が自分の考えを書くようですが、皆さんどのような意見をお持ちなのでしょうか
いいものを提供しようとして、お客さまをリードするのが良い営業だと思っていらっしゃる方がたまにおられます。しかしそこに「この商品を売りたい」という気配が見えると、ターゲットとなる富裕層からは敬遠される傾向にあることを、その後の講義で理解します。
―積極的にどんどん商材を紹介するのが正解だと思っていた方はショックを受けるかもしれませんね。他に、重要な学びにつながるワークはどんなものがありますか
今回かなり力を入れたのが共感力のワークです。富裕層の方に向けた自己開示に好ましいテーマや開示する内容を書き出すものなのですが、多くの若手営業が悩む「アタックしているのになかなか取引に繋がらない顧客」を改めて考える機会になるのではないでしょうか。
自己開示は嫌味なく自然に行うことが大切であって、「自分を認知して欲しいから・売り上げに何としても繋げたいから」という意識が透けて見えるアプローチでは、営業慣れしている富裕層には響きません。自分の価値観の押し付けやマニュアル通りのトークではなく、富裕層の中でも「このお客さまに好まれるテーマは何だろう」と分析することが極めて重要なプロセスだとお伝えしています。
―それが共感力ということですね。どんな仕事にも必要でしょうが、特にお客さまと直に接する営業担当には、なくてはならない要素だと感じました
そうですね。お客さまに応じたお役立ち・スピード・共感力は、営業の基本だと考えます。それに加えて先ほどお伝えした通り営業慣れしている富裕層には「特別感」の演出も大事です。顧客と長期複数の関係性を構築したいと思うなら、単純にアタックするだけでは難しいのです。
―受講翌日から行動が変わりそうですね。ちなみに、この2章で最も盛り上がるワークはどれでしょう
「メンバーの長所を伝える」というワークが大変人気です。普段はなかなか口に出して言うことでないので、自分では気づかない長所を発見できる方も少なくありません。
諦めずに粘り強くやりとりする
―第3章では、どのようなことを学ぶのでしょうか
こちらでは先の章で学んだことを「では、どうするか」と実践に落とし込むフェーズです。
第2章では顧客に心を開いてもらい、初回の商談でうまく関係を構築するためのコミュニケーションをメインに学びました。第3章では、2回目、3回目と接触の機会を重ねるためのヒントをお伝えします。一度も会えない状態にある方にどうすればアポイントが取れるのかをご紹介します。富裕層とのコミュニケーションは初回の面談と定期接触が重要です。たった1回断られたからと尻込みしてはいけません。無駄かもしれないと思いつつも、その扉をノックし続けることの重要性を説きます。
―研修後のアンケートでは、どのような感想が寄せられていますか
「自分の経験をもとに営業をしてきたが、何が必要かを具体化できた」「お客さまにメリットを感じてもらうためには、何を求められているかを考えて実践することが重要だと分かった」など、目標を明確にできた方が多いです。
また「自己プロデュースをこの機会に行ってみようと思う」「自分の特徴を掴み、切磋琢磨しながら、お客さまから強く求められる営業担当者を目指す」など自らを振り返り、営業に求められる要素を発見できた方もいらっしゃいました。
―皆さんしっかりと研修の意義を感じておられますね。この研修は富裕層に特化しているとはいえ、受講者となる営業職の方が担当する全てのお客さまに通じる、満足度を高める秘訣が網羅されていると思いました
ありがとうございます。受講者からも「富裕層に限らず、基本的な動きをいかに継続できるかが営業として重要であることを再認識できた」「共感力は自分の引き出しを増やすことで高められると感じた」といったご意見を頂戴しています。ぜひ、多くの企業さまでお役立ていただきたいです。