研修を語る
2024/05/21更新
整理力向上研修を語る
【ニーズ】
良い仕事をするには、やはり頭の中で重要事項や優先順位が整理されている必要があります
昔ながらのQC活動に「整理・整頓」というものが含まれていました。これが単独で取り上げられるようになってきたのは、ごく最近の傾向です。そういえば、日常生活の場面でも『思考の整理学(外山滋比古/筑摩書房/1986年)』が刊行から20数年を経てミリオンセラーになったり、「片付けられない症候群」という言葉が出てきたりなど、「整理する力」が注目されてきています。それだけ世の中が複雑になり、きちんと整理しないままでは、うまく運べないことが増えてきたのかもしれません。
実際、片づいていないオフィスでは仕事もはかどりませんし、時間の使い方が下手では生産性が上がりません。一口に「生産性」と言っても、仕事の"量"である場合も"質"である場合もあります。いずれの場合であっても、やはり頭の中で重要事項や優先順位が整理されている必要があります。加えて、いろんなことがすっきりしていると、心理的にも気持ちの良いものです。
【効果】
「身の周りの整理力」「仕事の整理力」「頭の整理力」が身につきます。業務改善につながる観点も得られます
すっきり整理された状態がどういうものかが深く分かり、それをいかにして実現するかという様々な手法が身につきます。これは足元からの業務改善につながる観点も手に入るということでもあります。意外に日常業務の中で、無駄な時間や不便なことがあっても、「現実的にはこんなものかな」「これは仕方がない。以前からの習慣だから」と受け入れてしまっていることは多いです。まず、「これが片づいていないから上手くいっていない」と把握することが肝要です。実際に整理するには、「整理できたらこうなるんだ」という、いわば理想的な状態をイメージすることも大事です。具体的なイメージがなければ、そこを目指すのは難しいからです。ゴールが見えた上で、個々のスキルを身につけていきます。
この研修で身につくのは、「身の周りの整理力」「仕事の整理力」「頭の整理力」です。研修の最初に取り上げる「身の周りの整理」は、書類、名刺、カバンの中の整理など、やった方が良いと分かっていても、なかなか着手できないものを含んでいます。次に、「仕事の整理」では、時間の管理方法を扱います。タイムマネジメントの基本や、IT化による省力化を行おうということです。最後に、「頭の整理」については、論理的なものの考え方、すっきりとアイディアを整理するフレームワークを身につけます。これらのモノ、仕事、頭が整理できるようになったところで、「総合的に明日から何をすっきりさせていこうか」というワークにつなげます。
【特徴】
特定の業務でなく、あらゆる場面で役に立つ内容だという点が特徴です。もうひとつは、現状打破のモチベーションアップにもつながることです
「業務のどの部分にも横断的に関わっていて、仕事を離れた日常生活にも役立つ内容である」ということがひとつの特徴です。そして、「上手くいっていないはずなのに、なんとなく受け入れてしまっている、悪い意味での現状肯定を打破するきっかけになる」ことが、もうひとつの特徴です。これは、物事がすっきり整理されていると起こるはずの効果を、研修の中で明確にするためです。例えば、「仕事の方針が明確になってはかどる」「必要なものがすぐ見つかって苦労しない」ということがあります。皆さんの意見のなかにはもっと具体的に、「清々しく片づいた環境だと気持ち良く働ける」「残業は減るがアイディアは増やせる」「コミュニケーションが充実する」など、いろんな観点の「整理の効果」が出てきます。
このように、上手く整理できれば、いろんな面で楽になり、上手くすれば楽しくイキイキ働けるんだ、ということを各自で強くイメージしていただきます。そうすることで、「整理もちょっと頑張ってみよう」とモチベーションが上がります。また理想的な状態と現状とのギャップが見えてきますから、どうやってそのギャップを埋めようかと、具体的な場面ごとに考えられるようになります。こうした個人でできる小さな改善が積み重なって、組織全体で大きな効果となるはずです。
【研修の流れ】
「整理できず困っていること」と「整理できると起こる効果」を考え、具体的な個々のスキルを身につけていきます
まず、「整理できていないために困っていること」を改めて考えていただきます。個人とグループで意見を出し合って、自分たちの職場や業務を振り返るのです。ここは「必要なものがすぐ見つからない」など定番のものもあれば、「書類を回すルートが分からず、いつも立ち止まって悩む」など、組織ごとに特徴的なものもあります。研修という場で改めて考えることで、意外に「止むを得ない」「どこでもそんなものだ」と受け入れてしまっている不便さが身近にあることを浮き彫りにします。その上で、「十分に整理できればどんな効果があるか」を考えていきます。やはり個々に考えて、グループでその理想的な状態を共有します。もちろん講師から、コスト削減や業務の効率化につながる話も具体的に解説します。ごちゃごちゃしてしまっている現実と、すっきり整理された理想的な状態とのギャップを、ありありと感じることが大切なのです。
それから、「では、どうすれば良いのか」ということで、講師が整理の基礎を説明します。そして「身の周りの整理力」「仕事の整理力」「頭の整理力」について、それぞれノウハウを交えながら解説し、ワークを行っていただきます。受講者の方それぞれが既に身につけている「整理力」を明らかにして共有するのです。誰にでもある「そういえば、いつもやっているけれど人には教えていないこと」を、みんなが使えるスキルとして浮かび上がらせるということです。最後に「明日からの目標を立てる」というワークをやっていただきます。研修を受けて、「なるほどと思った」というところで終わらせてしまってはいけません。即座に取り掛かる、研修で身につけたことを職場に戻って実践できるための流れを作ってから終了です。
【演習】
「1分あればなにができるか」を考えて、グループで共有します。思わぬアイディアが出て、職場ですぐ活かせるワークです
ワークで特に盛り上がるのは、「ちりも積もれば」のワークです。これは「仕事の整理力」ということで、タイムマネジメントに関するワークです。効率的な時間の使い方として、例えば1分の空き時間があったら何をするか、何ができるかについて考えていただきます。自分の業務を振り返って、細切れの時間をいかに活用しているかを振り返る良い機会でもあります。そして、ちょっとした時間に、いつもやっていること以外に何かできることはないか、ということも考えられます。ここもグループワークで何ができるかを共有していきます。意外に、1分なり3分なりでできる、と思っていることには差があります。そこで、「確かにそれもできるなあ」「あれはもっと早く済ませられるのかも」といったことを発見できます。
どこの組織でも、みんなでやるような大きなことなら、効率化を業務の一環として図っています。ところが案外、このような小さなこと、細かいことは、個人の工夫という段階でとどまってしまっています。あえてそこに光を当てて、全体でうまく時間を使うことにつなげるというわけです。もちろん全体でも発表します。「朝礼で発表することを1分でまとめておきます」といった真面目で役に立つものが多い中に、たまに「1分あったらお茶を入れます」などといった意見もあったり、面白くてためになるワークです。
【ひと言】
「整理力」をモノにするためには日々の努力が重要
「整理力」を完全に身につけるためには、研修だけではなく現場での日々の実践が重要です。自然と整理ができる社員・職員へと成長する、その良いきっかけをつかんでいただけたら幸いです。
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