研修を語る
2024/07/18更新
テレワークにおける仕事の進め方研修を語る ~孤独に打ち勝つタスク管理術
テレワークで「孤独」を抱えている人は多い!
―本日は、コロナ禍の影響もあり、多くの会社が取り入れている「テレワーク」の進め方についてお伺いします。まずは、この研修の概要をお教えください。
大きく分けて、二本の柱から構成されています。ひとつは、タイムマネジメントや報・連・相などコミュニケーションの方法。いわゆる仕事術に関連した項目です。 テレワークではオフィスでの業務と違って、一人で仕事を進めなくてはいけない場面が多いので、何が困るのかをピックアップし、その対処の方法を解説します。
そしてもうひとつは、タイトルにも「孤独に打ち勝つ」とあるように、テレワークにおけるストレス解消の仕方や、仕事がうまくいかないときの意識の変え方。 それらに対して、いかに自分自身をコントロールするか、というメッセージをポイントにしています。
―受講される方は、どのような背景や理由からお申込みになるのでしょうか。
一昨年からのコロナ禍で、テレワークを導入する企業が増えてきました。すでにテレワークが定着している企業もありましたが、 大半の会社では段階的な導入を進めている最中であったため、急激な変化に対応しきれていないケースが多いです。
また、中には就労環境が変わったことで不安や孤独を感じたり、業務効率が落ちていないか心配したりする方もおられます。 そのような方々が「うまくテレワークを進めたい」「不安を解消したいと」いった目的で受講されます。
―ターゲットは若手の社員、非管理職という事ですが、年代的にはどれくらいでしょうか。
中心は20代から30代くらいで、テレワークを始めて間もない方や、やってみたものの慣れない方、または進め方に悩んでおられる方、 そしてこれから始めようと考えておられる非管理職の方が主になります。業種等は特に限定しておりません。
まずは、時間の使い方を整理するところからスタート
―この研修で、どういった知識やスキルが得られるのか、メリットやベネフィットについてお教えください。
最も即効性を感じていただけるのは、時間の効率的な使い方ではないでしょうか。日々の業務に追われていると、「なかなか考える時間がない」という方が多いと思います。 それをきちんと洗い出して整理していただくことで、問題点や改善点が明確になり、翌日からすぐに効率的なタイムマネジメントを実践していただけます。
また、時間の使い方だけでなく、オンラインでの上手なコミュニケーションの取り方なども、そのまま翌日からの業務で活用していただける内容です。 それぞれの項目にも、演習やワークを多く取り入れています。非常に実践的な内容となっています。
―中でも、「ここが肝心」という部分は、どこになりますでしょうか。
タイムマネジメントに関して言えば、第二章「仕事がうまくいく時間の使い方を考える」になります。時間の管理は弊社の他の研修でも多く取り上げている、ビジネスの基本的な要素になるのですが、この研修では「職場勤務以上に重要になる事前準備」など、 テレワークならではのアレンジをプラスしています。また、ワークとしても「緊急度」と「重要度」で整理するコツを、実際に演習で学んでいただきます。
―逆に考えると、若手の方々にとっては、そのような管理が弱点と考えられるでしょうか。
周りに人がいる職場環境ですと、上司や先輩などに指導を受け、配慮してもらえることも多いです。しかし、テレワークであれば一人で判断して進める必要がありますから、 オフィスでの勤務よりもしっかり管理できるようになっておくことが重要だと言えます。
―そのほかに、特徴的なワークや演習はありますか?
研修テキストの第四章、「テレワークでは自分からコミュニケーションをとる」の中で、「実際にオンラインでのリアクションを確認する」というワークがありますが、これはテレワークならではの内容だと思います。 最近はオンラインのツールに慣れている方も増えてきましたが、面と向かって対話するときとオンラインでは、リアクションの差異に戸惑う場面も少なくありません。
このワークでは、実際にオンライン上でやりとりのシミュレーションをしながら、相手の反応を見てもらい、例えば「相手が無表情のままだと、どのように感じるか」など、体感していただくことでコミュニケーションのコツを理解することができます。
ツールとしてはZoomを使用し、受講者の皆さんはブレイクアウトルームに分かれてグループワークという形で行います。その中で、お一人に話をしていただき、 周りは指定された反応をする、といった流れです。オンラインツールの使い方や、独特のリアクションに慣れるという意味でも、有用なワークと言えます。
オンラインでのコミュニケーションのポイントは
―受講された皆さんから聞かれる、「私はこういうところで悩んでいる」「ここを不安に感じている」など、特に多いお声をいくつか教えていただけますか。
若手の方ですと「上司や先輩方とのコミュニケーション」でお悩みの方が多いかなと思います。テレワークになると、他の方々の状況がリアルタイムで把握できないため、 話しかけるタイミングで迷われる方が多いです。「いま忙しいんじゃないか」と気を遣ってしまい、うまく質問ができない方も少なくありません。そういう報・連・相のお悩みも、 この研修ではしっかりと解決策をお伝えしています。
―第一章の中にある、「コロナ禍以降の働き方の変化を捉える」という項目も、 環境の変化に順応する際の悩みをサポートしていますね。具体的には、どんなところが従来の手法ではアフターコロナに通用しない部分と言えるでしょうか。
この研修との関連度で言えば「成果の見せ方(報・連・相)」は、対面とオンラインでは大きく変化した部分だと思います。 例えばビフォアコロナでは「頑張っていれば誰かが必ず見てくれている(不言実行こそ尊い)」だったものが、アフターコロナでは「成果は自分から見せに行く(即座にアピール)」と変化します。
また、仕事の任せ方に関しても「横についての指導を前提とし、未経験者にも仕事を任せる」であったものが「スキルを持った人、一人で業務を完遂させられる人に仕事を任せる」にシフトしたことも、 コロナ禍で変わった大きな点でしょう。そのような変化をいかに素早く捉えて対応するかが、今後のビジネスシーンにおいて大きな課題と言えます。
―テレワーク向けにアレンジしてはありますが、それらはいずれオフィスでの業務に戻った時にも、応用できる内容と言えますね。
その通りです。特にタイムマネジメントに関しては、すべての業務においてベースとなる重要な自己管理スキルです。 一般の職場勤務にも対応している内容なので、この機会にしっかりと身につけて、将来長く役立てていただきたいと思います。
指示は納得いくまで確認、まめな報告も大切です
―テレワークでやってしまいがちな失敗の、代表例を教えてください。
わりと多いのは、コミュニケーションのミスですね。上司からの指示内容を、本人がきちんと理解できなかった場合に起こる失敗です。 上司の意図をくみ取れないまま、間違った状態で仕事を進めてしまい、成果物ができた後で「これは違う」となって、やり直すケースです。
―それは、非常に勿体ないミスですね。出来上がった後で「違う」と言われると、時間も労力も無駄になってショックが大きいと思います。
そうですね。それを防ぐためには、指示内容に疑問があれば、納得のいくまで確認することが重要ですし、こまめに報告することも大切です。研修教材の中で「QCDR=Q(quality:製品・サービス品質)C(cost:コスト)D(delivery:納期)R(risk:リスク)」という判断基準を掲載していますが、 上司から指示を受ける際や報告を行う際には、それらが役立つと考えています。
不安を解消し、ストレスをコントロールするには
―テレワークならではの悩みである、ストレスや孤独、不安が、研修の二本柱のひとつになっていますが、これは何が一番の原因なのでしょうか。
最も大きな原因は「プライベートとの差がつけにくい」ということでしょう。テレワークをされている方は多かれ少なかれ、私生活と仕事のメリハリが曖昧になると感じておられるのではないでしょうか。 会社の場合は「お疲れ様」で終われますけど、テレワークでは際限なく働いてしまう方も少なくありません。特に、まじめで責任感の強い方ほど、そうなる傾向が強いと感じます。
―逆に、だらだらと過ごしてしまう方もいそうな気がします。
そういう方もいらっしゃいます。働き過ぎてしまう方の方が多いように感じますが、やはり手を抜こうと思えばできてしまいますので、そう言う意味でもタイムマネジメント能力は大切です。 この研修では、生活リズムを整える、仕事をする環境を整える、家族との接し方を考える、などの具体案もアドバイスしています。
―ハラスメントに関する項目もありますね。
テレワークが増えてからは、テレワークハラスメント(リモートワークハラスメント)の問題も聞かれるようになりました。画面越しに、プライバシーを覗かれるケースが多いです。相手は何気ないコミュニケーションのつもりでも、プライベートなことを詮索されるのはストレスになりやすい点です。 自分がハラスメントをする立場にならないことはもちろん、ハラスメントだと感じることがあれば、一人で抱え込まずに相談することが大切です。
「一人じゃない!」困ったら助けを求めていいんです
―最後に「孤独」についてお聞きします。項目の最後に「困ったら助けを求めて良い」と書かれています。 職場にいれば、先輩なり上司なり、誰かにヘルプを頼みやすいと思いますが、テレワークでは難しい問題なのではないでしょうか。
そうですね。テレワークでは、つい「一人で仕事を進めている」感覚に陥ってしまいがちです。オンライン上でつながっていたり、ミーティングをしたりする機会はあるのですが、オフィスで周囲の顔を見ながら仕事をしているときに比べて「組織の人間である」「チームの一員である」 と意識しにくくなってしまいます。そこで、孤独を感じてしまう人は多いです。
―孤独感を抱いている方には、どういうアドバイスをされるのでしょうか。
テレワークは、実際には単純に働く場所が変わっただけなんです。自宅で仕事をしていようが、組織に所属していることは変わりませんし、同じ成果を求めてチームの人たちと一緒に働いていることは、オフィスにいたときと何も変化していません。しかし、意識しないと気づかなくなってしまうことがあるため、 孤独を感じている人に対しては「周囲に助けを求めましょう」「会社のデスクが自宅になっただけですよ」というメッセージを伝えるようにしています。
―コミュニケーションの項目に「雑談がリフレッシュの機会になる」というのがあります。この内容に「テレワークの孤独を解消する」 と書かれているのが興味深いです。オフィスであれば、ちょっとした雑談は日常的なことですが、テレワークでも必要なことなのですね。
もちろん、長くなりすぎないようにしないといけませんが、軽い雑談は気分転換や情報交換などのメリットがあり、生産性の向上にも一役買います。 ミーティングや朝礼の前後を利用して、参加者全員で順番にフリートークするのもいいでしょう。円滑な人間関係を築く助けにもなります。
―ストレスや孤独で精神的に追い込まれている人にとっては、ポジティブなアドバイスをもらえるだけでも心強いですね。自分ではどうしていいか、きっとわからないと思いますので。
ちょっと気が滅入るとか、失敗したとか、誰にでもあると思います。オフィスであれば発散できることでも、一人だとうまく消化できない場合もあるので、研修ではストレスが大きくなる前にコントロールできるよう、危険な兆候の例などもご紹介しています。また、ストレス発散のためのリラックス方法についても、アドバイスしています。 しっかり睡眠を取って、心身の健康を維持することも、テレワークをうまく進めるためには大切な条件です。
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